第五章(12) 妻の事を知らない俺と嬉しい報告 Byハロルド・レイルズ
「ねえ、ハル」
「なんだ?」
「最後に母親が言ってたセリフ、意味、わかった?」
「いや」
俺達は二人がきちんと騎士団に連行されていったのを見届けてから、帰路へついていた。
スタン達騎士団がバレないようにするために俺は馬車で来なければいけなくて、その結果、馬車で帰らなければいけなくなったことを俺は後悔していた。
「公爵夫人を殺そうとしたなら、もっとちゃんとした動機があるよね。『生き返った奴隷を殺した』なんて、テキトーな動機が本当とは、信じられないけど・・・・」
「そりゃあそうだろ。妻を殺したい理由は、家族関係とか、だろうか・・・・」
「・・・・ねえ、ハルは何も知らないの?」
「何をだ?」
「奥さんの事」
俺が妻について知ってること・・・・。
ケーキを美味しそうに食べる。着ないドレスをリメイクしている。刺繍が得意。
いや、スタンが聞いてきているのは、そういうことじゃない。
それなら・・・・
「俺だけが知ってることは、何も・・・・」
「副団長様、お話中失礼します、騎士団です。レイルズ邸より連絡が入りました」
「伝えて!」
「レイルズ夫人の意識が戻られたそうです!」
「ハル!良かったね!」
良かった、生きていてくれて。
「うん、そうだな」
妻には、謝らなければいけないことが沢山ある。聞きたいことが沢山ある。
「少し、急げるかな?親友が早く奥さんの所に向かいたいらしいから」
「もちろんです!」
スタンが運転士にそう伝えてくれたお陰で、スピードが早くなり、俺達は少し酔いそうになりながらも、屋敷へ向かうのだった。




