第五章(11) 二人の逮捕と謎の発言 By ハロルド・レイルズ
「ジェイミー・ブルックス、殺人容疑で拘束する」
そう言いながら、何も無い空間から出てきたスタンは、俺と目を合わせた。
こいつのこういう所が、俺は好きだ。この、残酷さが。
「私の妻をゴミという人間の家族になんて、俺は死んでもなりたくない」
本当はここにいることですら、嫌なんだ。
「旦那様!お母様は何も悪いことをしてませんわ!開放してください!」
「旦那様?誰のことを呼んでいる。俺は貴様の夫ではないが」
こいつの発言には反吐が出る。
「っ、公爵様、お母様は何も・・・・」
「ブリアナ・ブルックス、不敬罪で署へ連行する」
不敬罪。
この国の身分制度で、身分の上の者に対して、過度な失礼な発言・行いがあった場合、その加害者を罰する為の制度。
あまりこの罪での逮捕者はいないが、こういう時には必要な罰則だろう。
「ふ、不敬罪?私は何もしておりませんわ!」
「まだ、無罪を主張するの?」
「もちろんですわ!私は何もしておりませんわ!公爵様の事を思って行動したまでですわ!不敬罪にあたる行為をした記憶はございません!」
「公爵夫人である姉への不敬罪だよ。それがわかっていない時点で、もう罪は確定なんだけどね」
二人を連れて行け、とスタンは部下に命じた。
「フフ、貴方達も馬鹿よねぇ〜」
連れて行かれる途中、母親の方が俺たちに声をかけてきた。
「何か?」
「私は、ただ、生き返った奴隷を殺しただけですわ!一度死んだ奴隷を殺す事の何が悪いのかしら?」
「・・・・連れて行け」
最後に俺達に話したことがなんのことを言っているのかわからなかった。




