第五章(9) 最悪な可能性 By ハロルド・レイルズ
「今回のことは、妹である私が、姉の代わりに責任を取りますわ」
早く屋敷に帰り、妻の傍にいようと思った時、急に妻の姉妹が話しだした。
「責任、だと?」
「ええ。お姉様、公爵様のお役に立てていない事に、悩んでいらっしゃったの」
・・・・そう、なのか?
「きっと、思い詰めてしまったのです。あの子は、そういう所がありましたから」
「私に相談してくれたら、私も一緒に死んであげるからと、一人では無いのだと、伝えられましたのに・・・・」
あ、ああ、そうだ。
・・・・あれ?
「妻は、死んでいないぞ」
さっきの女の話だと、妻はもう死んでいるといいだけだ。ただ、妻はまだ死んでいない。生きている。死なせたくない。俺は、妻に死なれては困る。
「え、ええ。ゆ、行方不明でしたね」
「はい」
「けれど、残念ですけれど、この時期に昨晩から行方不明ですと、生きてはいられないと思いますわよ?」
こいつ、なんてことを・・・・。
「そ、そうですわ!誰かに見つかったとしても、それはもう、生きておられるか・・・・」
「黙れ」
なんで、こいつらはこんな事が言えるのだろうか?行方不明なのは自分の娘であろう?姉であろう?なのに、なぜ・・・・。
あ、ああ、わかった。
俺は、知りたくなかった、最悪の可能性を思いついてしまった。




