第五章(8) 女中の指示で訪れた妻の実家 By ハロルド・レイルズ
「レイルズ公爵、お待ちしておりましたわ」
俺を出迎えたのは、派手なドレスに身を包んだ女だった。
「どうぞ、こちらへ」
女に案内された部屋に入った。その部屋の中にもこの女と同じく、派手なドレスに身を包んだ女がいた。
「この度は、私の娘がご迷惑をおかけしました」
そう、この屋敷は妻の実家だ。この二人の女は母親と姉妹だろうか。
「私は、謝罪など求めていない」
「いいえ、娘の行いを我々家族が謝罪しないでどうしましょう?」
「謝罪などはどうでもいい。そう、ご連絡したはずでは?」
「え、ええ、そうでしたわね」
だから、こういう女は嫌いなんだ。話が通じない。
「妻の居場所に心当たりは?」
俺は例の女中にこの二人に聞けと言われていたセリフを言った。
俺があの女中に指示されたこと、それは、妻の実家を訪ねろ、ということだった。
妻が見当たらなくて探しているという設定で。
「私達にも、心当たりがありませんの」
「そうですか」
そりゃあそうだろう。
俺の妻は、美しい人だ。妻とは全く違う、この女達がなんで妻のことを知っていると思ったのだろう?
この会話に意味がないのなら、さっさとここから去って、妻のもとに行こう。妻の隣にいたい。
そう思ったのに。




