第五章(1) 公爵様への贈り物
公爵様が来店したあの日以降、公爵様とはよく一緒に夕食を頂くようになりました。
公爵様は、スタンリー・エリオット様から私が孤児院へ寄贈している作品を見せて頂いたというお話や、ハンカチの刺繍のお話を、私に向けてお話して下さいます。私は恥ずかしくなりながらも、きちんと感謝を伝えることを忘れないようにしていました。会話の間、時には沈黙になってしまうこともありましたが、それも私は好きでした。
公爵様は、怒っているわけではないのだとわかるようになったからです。
公爵様とのお時間は増えましたが、私は少なくなってしまった空白の時間で、しっかりと公爵様への贈り物の制作には励んでいました。何を贈ったら喜んでくださるのか、悩んでも悩んでも分からなくて、マントを作ることにしました。赤いドレスを見て、赤いマントを羽織った公爵様を想像してしまったという恥ずかしい理由ですが、カミラは賛成してくれたので、マントにしたのです。
ハンカチよりも時間も手間も掛かりましたが、カミラがドレスを縫いやすくしてくれるなど手伝ってくれたお陰でなんとか完成させることが出来ました。箱に詰めるまでは出来ましたが、渡す勇気が無くてまだ部屋においてあります。
まだ、少しなら私には時間があるので、カミラと一緒に予定を立てて渡そうという話になっているのです。
カミラは私のために、エリオット様と連絡を取ってくれています。私達はエリオット様に公爵様の予定を聞いてから、渡す日を決めることにしたのでした。




