表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/59

第四章(6) 妻の為のケーキ By ハロルド・レイルズ

「まさかハルがケーキを買うとはね」

スタンは笑いながら俺に話しかけてきた。

「何か文句があるなら、素直にそう言え」

「全く無いけど〜。だって今晩は家に帰るって事でしょ?」

俺は何も言えなかった。

今日も仕事場にスタンが押しかけてきて、俺を無理やり連れ出した。

けれど、今日のお店はとても人気だった。

接客も完璧で、料理も美味しかった。

そして俺はいつの間にかケーキを購入していた。

「ねえ、僕もついていっていい?」

「はぁ?何で?」

「僕、一度もハルの奥さんにご挨拶してないから、良い機会だと思って」

挨拶なんて、必要ない。そういう名目で彼女に近づくつもり、という可能性も・・・・

「それに、奥さん、心配してると思うんだ」

「何を」

俺は今、幼馴染に彼女が取られないかと心配しているんだが?

「ハルこと。この一年間、仕事仕事で全く家に帰らなかった訳じゃん?安心させてあげないと困るのハルでしょ?」

「俺は・・・・」

困らない。その言葉は頭にはあったものの、発することは出来なかった。もしかしたら、本当に心配してくれているのかもしれないと、僅かだが思ったからだった。

「ハルの幼馴染である僕が、ハルの話をしてあげることも何か役に立つと思うんだけど?」

「・・・・わかったよ」

正直、来てほしくなかった。

だけど、こいつが何かやらかした時は俺が処分すればいいだけのことだ。

「やった〜!」

「・・・・夕方、俺の仕事場に来い」

「了解!さっさと仕事終わらせてくる〜!」

そう言うと、スタンは俺を置いて一人騎士団の事務所の方向へ走っていった。

『奥さんの為』

その言葉に、俺は負けた。

このままじゃあ、彼女が俺の弱点ではないか。

弱点なんかじゃない、絶対に。俺は、彼女は俺の・・・・。


いや、考える前に俺も仕事終わらないとな。

そう思い立った俺は、仕事場に向かって歩き始めた。走りたくてもケーキを持っているから走れない、ということがとても残念でならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ