第三章(7) 作品の評判と俺の気持ち By ハロルド・レイルズ
スタンがその話を聞いたのは、騎士団の副団長としての仕事で孤児院に行った時だったそうだ。
「お前が行くような仕事なのか?」
俺は本題に入る前に、その点が気になったので聞いた。
「騎士団が毎月行っているイベントの抜き打ちチェック」
「はぁ?」
「知らない?孤児院の子供達の為の体力づくりイベントのね」
そんなことまで騎士団は任されているのか?そんなことなら、ちゃんと一人一人の剣術の腕を上げてもらった方がいい。
「その時に、たまたま見かけた男の子がキレイなハンカチを持っててさ。他の子供もみんな持ってるし、女の子の中には可愛らしいリボンをつけてる子もいて」
それで気になって職員の人に質問したんだ〜、とスタンは言った。
「そしたら、『とある公爵婦人が毎月少しづつですけど、寄贈してくださるんです』って言うからさ。子供達に寄贈してるっていってもお金がかかりすぎてると思って、『同じものをこちらで手配して、寄贈しましょうか?』って言ったんだ」
確かに、このレベルのハンカチが子供達全員分寄贈していると考えると、多額の寄贈をしていると考えるのが当然だ。多額の寄贈は、今後の子供達の将来に良くも悪くも影響が出てしまう。子供の将来を考えたからこその、スタンの提案だったのだろう。
「そしたら、丁寧に断られたんだ。『子供達はこの公爵婦人が手作りされた物が届くことをとても楽しみにされていますので』って」
孤児院の子供達に、そこまで彼女の作品が好まれていただなんて、初めて知った。そもそも寄贈していること事体、昨日知ったことなわけだが・・・・。
「でもさ、ハルの奥さんだなんて思ってなかったよ。それに、ハルが届けたドレスがこんなキレイなハンカチになるなんてね!奥さん、裁縫の腕、すごく良いんじゃない?」
そんなことはこのハンカチを見たらすぐに分かる。俺は、そんなことより・・・・、傷ついていた。




