第三章(6) もらったハンカチ By ハロルド・レイルズ
「やっと昨日、家に帰ったって?」
家に帰った次の日の昼、スタンは僕の仕事場である役所の副長官室に来ていた。
「あれ、ハルがハンカチ持ってる!」
珍し〜!とスタンは言った。確かに俺はいつもハンカチを持ち歩かない。役所のお手洗いには常に清潔なタオルが置いてあるからだ。
それにしても、スタンはなんでこんな細かいところに気がつくんだ?
「キレイなハンカチ〜。それにこれ、刺繍入りじゃん!どこのやつ?」
「昨日、もらった」
「へ〜。奥さん、センス良いね。てか、お金は持たせてるんだね」
「・・・・いや、手作りらしい」
本当はこいつには話したくなかったのだが、俺には刺繍入りのハンカチを売っているお店の知識なんかなかった。
「え、材料は?」
「詳しくは知らない。ただ、布はドレスのものだそうだ」
「は?ドレス?」
「俺の贈ったドレスで、着ないものをリメイクしているらしい」
スタンは全く理解出来ないという顔をしていた。
当たり前だ。俺だって、今でも理解出来ていないのだから。
「ってことは、家にハンカチが溢れてるってこと?」
「いや。作品として孤児院に寄贈しているらしい」
「ん?あれ、ハルの奥さんだったの?」
「何か知っているのか?」
「い、いや、大した話じゃないんだけど・・・・」
スタンが話し始めたのは、孤児院の職員から聞いたという話だった。




