第一章(6) 奴隷の知識③
「奴隷は、売れるんです」
「え?」
「公爵様が貴方樣に品質の良いドレスを買われるように、奴隷も買えます」
何を言っているのか分からなかった。
「と、どういうこと?そもそも、妻にするのではないの?買うの?」
「例えを用いて説明しましょう。昔、買った古いグラスがあるとします。だけど、貴方はその後も沢山グラスを買っていて、グラス自体は沢山持っています」
私は言われた通りに想像した。
「そんなある時、古いグラスを見た人が『これを自分に譲ってほしい』と言ってきました」
「古いグラスでも、大切で使える物なら売らないわ」
「『貴方が買った時の値段の数倍の値段で譲ってほしい』と」
「・・・・!」
「貴方には新しいグラスが沢山あって、なおかつ古いグラスが当時の数倍の値段で売れるとなれば?それに、話を持ちかけられている人はお金に困っている人です」
「・・・・確実に売るわね」
「はい。この事が奴隷にも言えます」
「待って。十番目の奴隷って、新しくないの?四番目から奴隷なのでしょう?」
「早く奴隷となった人ほど早くいなくなります」
「つ、つまり、十番目は交代が一番遅いのね」
「はい。それに、この国の法律では十七歳未満は奴隷になれません」
「つまり、十番目の妻が十八歳ってことは、一年近くそこにいるから、古いってことなのね」
「はい。若い程働けますから、買われるのは十八歳の人の方がほとんどです」
「そ、そう。でも、働くことのにどうして十八歳である必要があるの?売られる為に働く訳ではないわ」
「雇い主のいる奴隷であることのアピールと集客の為です」
「アピール?集客?」
さっきまでの話と空気の違う単語に驚く。
「はい。偽装とはいえ、流石に婚約をするわけにはいきませんし、今のままではカフェが潰れてしまうかもしれませんので、その防止を、と」
「わ、わかったわ」
こうして、私はこの国の事を学んで、徹底的に奴隷として働けるように努力したのだった。




