力なき異形の子~慈悲深い故に~
エルは久々たくさんの「お肉」を食べることができた。
その理由は──
「わー! きょうはごはんごうか!」
いつもより肉料理が多く、豪華な事にエルは喜んでいた。
「今日は肉がいつもより大量に仕入れられたので、豪華にさせていただきました」
「ありがとー!」
そう言ってエルは肉を頬張る。
「おいしー!」
「それは何より」
大量に肉を仕入れたというのは、悪人を大量に殺したという事に他ならない。
ジンは新興宗教が異形のものであると知り、子どもを誘拐して生け贄にしようとしているということで、悪人が多い場所に行ってロナクと共に信者を殺し、肉を集めた。
その後、誘拐された子どもの多くが被虐待児であることから、その子等は全て異形の子等が管理する孤児院に入れられ、親はロナクと共にジンが殺し、肉にした。
結果、肉が大量に集まった。
「おなかいっぱい、はみがきしておやすみするね」
「はい、エル様」
エルが言うのでジンは支度をした。
エルは歯を磨き、ベッドですやすやと寝息を立てていた。
それを微笑ましそうに見送り、エルの部屋から出て行き、後片付けをして部屋を後にした。
「ロナク、感謝する。おかげでエル様は満足された」
「そりゃそうかい、よかったな」
どこかふてくされた表情のロナクに首をかしげ、ジンは問いかける。
「何かあったのか?」
「……姉ちゃんが、今回の事件を嘆いてるんだよ。多くの被虐待児を救うと言う名目で児童相談所の信者がリストを渡したんだと」
「その信者は?」
「見逃されたよ、事実知らされて、でも異形の事件だから取り扱ってもらえないから見ないふりをされた」
「そうか」
「でも、自殺した」
「……そうか」
「良心に耐えられなかったんだろうな」
ロナクは遠い目をしながら言う。
「そして姉ちゃんは、虐待する親の多さに嘆いたよ。姉ちゃん子ども好きだから」
「そうなのか……」
「だから虐待のニュースを見たりすると居ても立っても居られなくなるから俺が代わりに出るんだ」
「お前が?」
「姉ちゃん、見た目の異形性は強いけど、力の異形性は弱いから」
「そうなのか……」
「何も姉ちゃんが嫌いなのは虐待だけじゃない、DVとか、そう言った類いのものもだ」
「……」
ジンは無言になる。
「姉ちゃん、SNS上でも虐待されてたとか、されてるとかそういう被虐待者とか、DVを受けているとか、家族間に悩んで居る人をほっとけないから、俺等が動いて解決するんだ、姉ちゃんじゃできないから」
「……」
「異形の子らしくないよな、姉ちゃん、本当なんで姉ちゃんの姿が異形性の強い姿なんだよ、俺と交換してくれよ、どっちも強くていいからさ」
ロナクは嘆くように言った。
誰も救えない。
誰も助けられない。
どうして私は異形の子なのだろう。
助けてあげたいのに、そんな力がない。
殺す勇気もない。
助けることができない私は、どうして異形の子なのだろう。
「ロナ」
『フエ姉さん……』
「そう落ち込まないの」
フエはロナを抱きしめた。
「貴方は情報を集めて精一杯私達に救うべき相手を教えてくれてるわ」
『でも……』
「ロナ」
フエは背中をさする。
「異形の子の中でも貴方はとても優しいわ、だからその優しさをもっていて、汚れ役は私達力がある者がやる」
『でも……』
「それが異形の子の繋がり、でしょう?」
フエは慈悲深い微笑みでロナを見つめた──
私達は救世主でも何でもない、ただの異形の子。
でも、同じ異形の子の願いはなるべく叶えてあげたい、それが慈悲深い願いであるならなおさら──
異形の子にも慈悲深い子はいるんです、でもやっぱり異形の子であることは変わりない。
人とは別もの。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




