もう一つの「世界」にて~偽装の結婚式~
フエは「世界の果て」でもう一人の「フエ」と会話をしていた。
もう一人のフエが語った内容とは──
フエは「世界」の果てに居た。
板のような境目越しにもう一人の「フエ」に話しかける。
「ねぇ『フエ』そっちでは何かあった?」
「うん、あったよ。零さんが花嫁衣装を着たの!」
「何々どういうこと⁈」
フエは興味津々で「フエ」に問いかける。
そして「フエ」は語り出す──
「結婚式を挙げている者達ばかりが行方不明だと?」
「はい、証言だと皆共通して式場で真っ暗になりそしたら花嫁と花婿が消えていると」
「ふむ……音とかは」
「何も聞こえなくなったぞうです」
「式場は密室か?」
「はい……」
「花嫁と花婿は若い者ばかりか?」
「はい」
「花嫁と、花婿、なんだな」
「はい」
「わかった、こちらでもなんとか対応してみよう」
「お願いします」
そう言って警察の上層部の物が居なくなると零はレオンを呼んだ。
「レオン」
「何でしょう」
「私と偽装結婚するぞ」
「え?」
レオンは目を丸くした。
「零さんきれーい!」
フエは花嫁姿の零を見て目をきらめかせる。
「式前に婚姻届けを出したとか、何か二人の間にトラブルがあったとかないからな、偽装結婚で引き寄せることにした」
「れいさんきれい!」
「マヨイ、ありがとう」
「おねえちゃんきれい!」
「おねえちゃんきれい!」
「リラもエルもありがとう、だがこれは偽装、本当の結婚式じゃないんだ」
「ほんとうじゃないの?」
「ああ、事件を解決するための結婚式だ」
「所長……」
「ああ、レオン。すまんなお前に貧乏くじを引かせて」
「いいえ……」
零は困ったように微笑んだ。
「だがこれが手っ取り早いと思ったんだ」
「零さん、ウェディング姿見せてー! わー綺麗!」
蓮が入ってきて零のドレス姿に感激する。
「本当はパンツスタイルも考えたんだがな被害者全員ドレススタイルだったらしいからこうした」
「皆様、準備ができました」
「よし、行くか」
「はい」
偽りの結婚式に、それを知る参列者達が並ぶ。
式が進行していきそして──
真っ暗になった。
零とレオンは互いの手を握り合っていた。
「なんだこれは⁈」
ぬるりとした物体が零を包み込む。
それをレオンは逃さなかった。
彼の異形の目が逃さなかった。
他の者達の異形の目が許さなかった。
異形につかみかかり一緒に転移する。
転移先は空調機能などは稼働しているが人気の無いコロニーだった。
「ここは……」
「コロニー002、初期のものだね」
「うへぇ、アレ見て」
フエが指指す。
連れ去られたと思う男女達は裸で性行為に没頭していた。
男の男性器には何かつけられ、女性は時折卵のようなものを産み落としては性行為に没頭していた。
「なーんでわざわざ花嫁と花婿を誘拐したんだか……まぁ、いいか全員救助するだけだし」
フエがそう言うと、獣のように性行為に励んでいた男女達は倒れ体に付着していた物体は剥がれて消滅した。
「待て、レオンと零は?」
「ニルスーアームドで中に入って来やがれ」
『やれやれ手荒い主人だ』
巨大ロボット──アームドがコロニー内部にはいってきた。
「其処いろよ」
『了解しました』
フエはそう言って姿を消す。
「グルルルル……」
レオンは花嫁衣装のまま倒れている零を守っていた。
無数の触手イソギンチャクのような先端と牙と持つ異形と。
まるで芋虫のような巨大な異形と。
「レオンでかした」
フエと紅が現れる。
紅は青い煙を吐いて異形を包み込む。
すると異形の悲鳴のような不気味な音が聞こえてきた。
同時に咀嚼音も。
両方が病むと、紅は再び煙管を吸った。
「これでここはいいだろう」
「紅ねえさん、このコロニー中あの異形の分身が彷徨いてるからコロニー毎喰ってくれる? 全員脱出したら」
「分かった」
「零行きますよ」
意識がまだ戻らない零を抱きかかえてフエと共にレオンは姿を消した。
「被害者は?」
「宇宙服を着せてシャトルで脱出させました」
蓮が言う。
「じゃあ私達も脱出するよー、零とレオンはニルスのアームドに乗ってねー」
「はい……」
レオンは不服そうだったが、ニルスのアームドに乗り込み、ぎゅうぎゅう詰めになりながらコロニーから離れた。
しばらくするとコロニー002を青い靄が包み込み、そして消えると消滅していた。
「被害者達は何も覚えてないから、何もなかったで通そう」
「ですね」
「体の方もマヨイがなんとかしましたし、問題なし」
「うー♩」
マヨイが機嫌よさげに笑う。
「しかし連中何がしたかったんですかね?」
「とりあえず、人間の男女を捕まえて自分達の分身を増産させるのが目的だったのはわかった」
零は提出する報告書を見ながら、報告書には記載されていない事を呟く。
「で、今回異形の花嫁とっ捕まえたから犯そうとしたと……」
「所長、もう少し自分の身を大事に」
「レオンすまないな」
零は苦笑した。
「コロニー002が丸々無くなった事だが……」
「異形の子が喰ったで報告いいのか?」
「コロニー002が異形だらけになってたからそうしたって報告書にも書いたでしょう」
「まぁそうだな」
フエの言葉に零は納得する。
「異形の考えることはわからんよ」
「それは私もおんなじだよ」
「異形の子なのにか?」
「異形の子だからだよ」
「そうか」
零は納得したように言ってデータ化した報告書を送信した──
「という話」
「なーんだ偽装結婚か、でも綺麗だったんでしょう?」
「うん、とっても!」
フエの問いかけに『フエ』は満面の笑みで頷く。
「あーあ、私も見たいなぁ」
フエは残念そうにそういった──
異形の子らと、零がやってる事は別世界でも変わらない。
ただ規模がちょっと大きくなるだけですね。
被害者達は悲惨でしたが、記憶抹消、体も綺麗にされたので丸く収まりましたね。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




