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邪教集団襲撃~エルの食料集めと紅とフエの食事~

悪人の「肉」が足りなくなってきて焦っているジン。

しかし、フエや紅に何も言われてないのでどうにもできないと返すロナク。

しょぼくれてその場を去るジン、そんな中フエが現れて──




「悪人が足りない、なんとかしろ」

「だからー紅の姉貴から言われてできないんだってばー!」

「ちっ」

 ジンはロナクに舌打ちすると、その場から離れた。

「あの焦りよう、肉が足りなくなってきたということか」

「そういうことだよなぁ」

「じゃっじゃっじゃーん!」

 紅とロナクが悩んでいるところに、フエが飛び出すように現れた。

「うっわ、びびった! 何だよ、フエ!」

「こんなタイミング良く現れたということは……」

「邪教集団はっけーん! 生け贄とか誘拐ばっちりしてるからエルのお肉を補充できるよ」

「──それは本当か!」

「うわ、地獄耳」

 遠くに行ったと思ったはずのジンが猛スピードでやってきて、フエに尋ねた。

「うん、まぁ、そうだよー」

「マヨイ達は留守番だな、蓮とその番いには来て貰おう、生け贄にされそうな人の救出を頼みたいしな」

「では、私は肉の調達を」

「んじゃあ、俺はそいつらの悪意の増大を」

「今回は許可する、だが人外にはするなよ。そしたらエルはあまり食えなくなる」

「分かってるって」

「んじゃあ、ついてきて、蓮ちゃんと康陽さんには既に配置についてもらってるから」

「準備早いな」

「ちょっと待ってくれ、器具を──」

「はい」

 銃や、分厚いナイフなどをがついた腰に巻くホルダーをフエはジンに差し出した。

「……助かる」

「いえいえ、じゃあしゅっぱーつ!」

「本当ノリ軽いよなぁ、フエの奴」

「ロナク、後で殴る」

「理不尽!」

 わいわいと言い合いながら、四人はその場から姿を消した。





「誘拐された方々ですか! 救助に来ました!」

「ほ、本当に⁈」

「助けが来てくれたの⁈」

 蓮と康陽は出口までの信者を無力化してから生け贄として誘拐されてきた人々の救出に向かっていた。

 また、他の信者達は蓮の使い魔に襲われていてここに来ることは出来ない状況にされている。

「皆さん、急いで!」

「は、はい!」

 蓮と康陽はこの人々を解放しなければならなかった。

 この場所が血みどろの場所になる前に。


「よし、全員救出完了! ……だよね」

「ああ、合っているはずだ」

「よし出すぞ」

 車を走らせその場から去って行った。





「蓮ちゃんと、康陽さんは上手くやったみたいねー」

 邪教集団の施設の入り口にフエは立つ。

 そして扉が自動で開いた。

 フエが足を踏み入れると、銃を持った集団が現れ、フエを狙い撃つ。

 フエの体が蜂の巣状になるが、フエは倒れない。

 そのままにたりとわらった。

 黒くドロドロとした肉塊があふれ出し、そこから触手が伸びて信者達を喰らっていく。

 信者は貫かれ、引き裂かれながら食い殺されていく。

 その場所が血のにおいで満たされること、フエは喰い終わった。

「玄関はこれでオッケー。さて他はどうなってるかな?」

 フエはそのままホールに居座った。





「漸く変な虫や鳥が居なくなった!」

「だが生け贄達が全員居なくなった、畜生!」

「もう一度さらってくればいい!」

 邪教信者達が動き出すと、ロナクとジンが姿を現した。

「……悪意が足りない」

「オッケー」

「何をいってるるるるる⁈」

 信者達が頭を抱えだした、そして目つきを鋭くし、にやけた顔をなった。

「そうだこいつらを生け贄にして俺たちの願いを叶えて貰えばいい!」

「そうだそうだ!」

「その後町の連中も生け贄だ、子どもと赤ん坊を念入りにさらうぞ!」

 信者達がそう言い出したのを見て、ロナクはジンを見る。

「どうよ」

「合格ラインだ」

「そりゃどうも」

 襲いかかってくる信者達の攻撃をよけ、ジンは分厚いナイフを取り、ざっしゅと首を切り落とした。

 ロナクも、頭を鷲掴みにしてねじ切った。

「肉残せばいいんだろう?」

「脳みそもエル様は召し上がる」

「へいへい、わかったよ、おらよっと」

 そう言ってロナクは首をねじ切った。

 血がなるべく出ないように。

「血もエル様はお飲みになる、感謝する」

「へいへい」

 二人がそうして死体の山を築いていく。

 信者達がいなくなると、ジンは死体達を何の変哲もなさそうな大きい袋に詰めていく。

 死体を詰めていくのに、袋は膨らまずそのままだった。

「私の仕事は終了だ、帰るから案内してくれ」

「へいよー」

 ロナクは扉を出現させ、ジンと共に扉の向こう側へと姿を消した。





「おお、我らが神よ、お静まりください」

「ええい、生け贄はまだか!」

 邪教の信者が神──異形の前で頭を垂れる。

 そして生け贄を連れてこさせようとした信者の首を、白い手がつかんだ。

 紅の手だった。

「こんな異形がお前達の神か」

 紅は片手で煙管を吸い、青い煙を吐き出す。

 そして首をつかんだ手でごきゃりと音を立てさせ、その場に放り投げた。

「異形⁈ まさか貴様異形の子等か⁈」

「ほほぉ、私達の事を知っている邪教連中は珍しいな」

「殺せ、神を徒なす悪魔だ!」

 その場の信者達が銃を紅に向ける。

「つまらん」

 紅がそう言って青い煙を吐くと銃がどろりと溶けた。

「ひぃ⁈」

 信者達は悲鳴を上げる。

 紅は異形を見つめて呟いた。

「腹の足しにはなるか」

「何を言って──」

 異形よりも巨大な口が現れた、それが異形を噛み潰し食い殺した。

「わ、我らの神が──!」

「あまり足しにならんな」

 紅は赤い吐息を吐き出した。

 すると、信者達は血を体中から噴き出させて、バタバタと倒れて死んでいった。


「さて、戻るか」


 紅はそう言ってその場所から姿を消した。





「せめて一人くらい生きて残して証人にしてくれなかったか?」

「「すまない/ごめんなさい」」

 探偵事務所でフエと紅が零に謝罪していた。

 ただ二人の顔色に反省の色はない。

 零は深いため息をついた。

「信者の中に有名な議員の息子もいたから色々と大変だったんだぞ⁈」

「あー多分私が殺したか」

「私が殺したか」

「「エルの胃袋の中だな」」

「くそが……」

 零は頭を抱えた。

「どうにかするのが大変だったんだ、事前に私に連絡してくれ」

「だって零さんに連絡すると──」

「異形が何かしでかすしー」

「ならどうすればいいんだ‼」

「レオンに任せれば?」

「レオンに任せようとするとニルスが邪魔をする」

「あちゃー」

 フエは額に手を当てた。

「ニルスの相手を零さんにさせるのはやだなー」

「とお前が言うからできない」

「ニルスにロナクけしかけるか? 悪意VS悪意で案外バトれば面白そうだが」

「あーそうだね」

「面白そうだけで、けしかけるな」

 零は机に突っ伏した。

「言っておくが、今日はやらないぞ」

「えー」

「仕方ないだろう、私たちのやり方がまずかったんだから」

「ちぇーいいもん、柊さんとするもん」

「そうしてくれ」

 フエは居なくなった。

「零」

「一体何だ」

 顔を上げると、紅が零に口づけをした。

「不味いものを喰らったのでな、口直しだ」

「貴方は……」

「ちょっと紅姉さんずるいー私もー!」

 居なくなったはずのフエが現れ、同じく零に口づけをした。


 長くねちっこいキスに、零は酸欠になりかけ、フエの背中をたたく。


「ふー満足」

「お前なぁ」

「死ぬかと思った……」

「フエ、加減はしなさい」

「はぁい」


 そう言って今度こそ、二人がいなくなると、零は服を寝間着に着替え、ベッドに入り、疲れ切っていたのかすぐに眠りに落ちた。





「柊さん、させてー!」

「いいとも」

 フエは自分の領域である部屋に戻ると、柊に抱きついた。

 柊は妖艶に微笑み、フエは嬉しそうにキスをした。

 舌を絡ませ合い、唾液を交換し合う長いキスの後、柊の服を脱がせベッドに押し倒した。

 そしてまぐわいあい始める。

 柊の口からこぼれるあえぎ声を聞いて、満足そうにフエは柊を抱いた。


「柊さん、ねちゃった?」

 まぐわいつづけて疲れたのか、眠った柊を見て、フエは毛布を一緒にかけ、そのまま横になって目をつぶった。

「夢を見ているのに夢を見るなんておかしな話だけど、いいよね」

 そう言って眠りに落ちた──







エルの食事確保と、フエと紅の食事シーンです。

紅は異形を喰らいます、人間も喰らいますが。フエも同様です。

そうしなければならないのが異形の子等。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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