激務期間の対応
零が食事や睡眠をおろそかにしようとしはじめた。
その事を会議の議題として話合うが──
「おい零」
「なんだ」
固形物を食べている零に、慎次が非常に嫌そうな顔で言った。
「忙しくても飯は食え、用意してある」
「だが……」
「それだけだと栄養不足に陥るぞ」
「……分かった」
着替えながら食べているそれを慎次は奪うと口に放り込む。
零は何か言いたげだったが、慎次の用意した朝食を食べた。
「最近依頼やらなにやら多くて零さんが飯食おうとしなくなりだした⁈」
会議室でマヨイの顎をごろごろと撫でるフエは驚いたように言った。
「仕事やらが忙しくて食べてる時間も惜しいんだとよ」
慎次がはぁとため息をついた。
「その上睡眠時間も削ろうとしやがる」
「マジで?」
「本当だ、だがクラル印の睡眠薬で朝までぐっすりだ」
「どうやってのませている?」
クラルが会話に混じってきた。
「いや。料理に細かく刻んでな、お前の薬ならそれしても大丈夫だろう」
「確かに」
「しっかし零さんの無理っぷりが出て来たわね……」
フエは疲れたように呟いた。
「でも、今私は癇癪起こしまくってる柊さんのお世話に忙しいし……」
「何したんだ一体?」
「いやぁ、今まで零さん基『花嫁』関係でかり出されてたから、自分なんて、きぃー‼ ってなってさ」
「ああ……」
「そうじゃないって言ったんだけど、会議室に呼び出しされたからまた癇癪起こしてるよきっと……」
フエは空笑いを浮かべた。
「私フエ姉さんや紅姉さんみたく万能じゃないからなぁ、潜入捜査は得意だけど」
「蓮も相当有能だと思うけどねぇ」
パフェを食べている蓮の近くにより、フエはお裾分けしてもらう。
「うん、美味い」
「でしょう? まぁ、パフェが美味しいのは置いといて、どうやって零さんの環境を作り直すかだよね……」
「作り直すねぇ」
フエは何か考えているようだった。
「そうだ、慎次!」
「何だ?」
「零さんの首に縄つければ? もしくは首輪」
「奇異の目で見られるだろう」
「やっぱりだめか」
「駄目だろう」
「駄目でしょ」
会議室の皆にダメ出しを喰らうフエ。
「もう、今のままやっていくしかないんじゃない?」
「だよねぇ……」
「そうだな……」
結果、慎次が監視の目を光らせて激務期間が終わるまで対応することとなった。
余談だが、会議室から戻ったフエを待っていたのはこれでもかという位癇癪を起こして泣き叫びわめいていた柊だったという──
零は無理をするので、誰かが目を光らせないと駄目、という奴ですね。
あと、フエはどんまい、柊はある種の癇癪持ちに成長しました。
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