拘束される「花嫁」
探偵事務所の二階のベッドに零は慎次によって拘束されていた。
それには訳があって──
「いつまで私は拘束されてるんだ」
「反省するまでだ」
ベッドに拘束されている零は遠い目をして、慎次に尋ねると慎次から即座に答えが返ってきた。
「反省している」
「してる人間は自分を犠牲にすんなつってるのにしねーよ」
慎次は新聞を読みながら零の言葉に対し返答する。
「だがあれが最善だった」
「最善? フエを即座に呼べば最善だったろ」
「ぐむぅ……」
慎次に論破されて、零は慎次から視線をそらす。
「はぁ、暇だ」
「俺もだよ」
暇そうにしている零の言葉に、見張りの慎次も返す。
「ただいま戻りました、今回は異形案件はありませんでした」
「そうか」
レオンが帰ってきて、報告にやって来た。
「……ところで、いつまで零さんを拘束してるんですか?」
「反省するまで」
「反省してるのに」
零の言葉に慎次ははぁ、とため息をつく。
「零、問題だ。お前は一人異形と、人質達の所に出くわした」
「うん?」
「お前がすべきことは?」
「花嫁だと明かして逃亡して異形を引きつける」
「反省してねぇ」
零の答えに静かに慎次は言う。
「そこは俺等かフエを呼ぶの二択だろうが」
「……」
「反省してないの分かったんで拘束は延長な。レオン、ニルスと二人な上、ニルスと見廻り全部やるのは大変だろうが任せた」
「え、ええ。大丈夫ですよ」
慎次の言葉にレオンは顔を引きつらせる。
「何故だ……」
「何故だ、じゃねぇよ。お前の頭には何が詰まってんだ?」
「脳みそ以外の何が詰まってると?」
「マジレスすんな」
慎次はあきれのため息をつく。
「全く、俺がいない間一体どうしてたんだか?」
「知りたい?」
フエが突如天井から、ぬるっと現れた。
レオンはびくっとしたが、慎次は動じずフエを見る。
「知りてぇよ」
「毎回命知らずの行動に出て負傷する日々、怪我はマヨイに直して貰えばOK、花嫁だから異形に首落とされても死ななーい! くっつければ生き返るー! の精神で無茶無謀しまくってたよ」
「よし決めた、その根性治らん限り俺はお前を拘束し続ける」
「酷くないか」
「酷くない」
フエから事情を聞いた慎次は即座に今後の事を決定し、零はむすっとした表情で反論したが、慎次に一蹴される。
「フエはしなかったのに」
「いや、私は嫌われるの嫌だったからやらなかっただけで、一応拘束とかは考えていたよ⁇」
「なんだと」
「という訳だ、零。お前は大人しく拘束されてろ」
「ぐむ……」
フエからの発言もきき、目を丸くした零。
そんな零に言い聞かせる慎次。
零の拘束期間はまだまだ終わりそうにない──
自分の身を省みず、無茶した結果零は拘束されました。
ついでに軟禁も。
一回反省してもまたやるでしょう、被害者を出さない為に。
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