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花嫁は拘束中~代わりの見廻り~

エルはジンの豪華な食事を堪能した。

その後、体調が悪いと聞いていた零の元へと向かう──




「エル様、お食事でございます」

「わーい!」


 何かの肉の煮込み料理とサラダやパン、デザートらしきゼリーをテーブルにジンは並べる。

 エルは嬉々として肉を食べ、その後サラダとパンと食べて最期にゼリーを頬張り、満足げな顔をする。


「わたし、零さんのところいってくるね!」

「え……はい?」

「いってきます!」


 エルが突如居なくなったのに、ジンは困惑しつつも後片付けを始めた。





「零さん、元気ー……? おんやぁ? エルにりらに、それからマヨイどうしているの?」


 零の様子を見に来たフエが目を丸くする。


「零さんがたいちょーくずしたからおみまい!」


 エルが元気よくしゃべる。


「うん、おみまい!」

「う!」

「そうか偉いねー、で何で零さん拘束されてんの?」


 拘束されてベッドの上にいる零にフエは尋ねる。


「最近無茶しすぎだと慎次に拘束された、トイレと食事の時しか開放してもらえん……はぁ」

「いや、無理しすぎなのは事実でしょ」


 零の言葉にフエは呆れた。


 この「花嫁」は今までの「花嫁」と違う。


 フエは再度実感してため息をついた。


「おい、零飯だぞ」


 慎次が漸く姿を現す。


「ようやく拘束が解ける……これ地味に痛いんだが」

「精神科の病棟の拘束とかよりマシだと思え、あっちの場合トイレはおむつか、尿道に管入れるんだぞ」

「詳しいな」

「異形見て入院した奴のところにいったらそうなってた、治すのに苦労した」


 慎次がため息をつきながら言うと、料理を並べてから拘束を外す。


「ほれ、食え」

「もぐもぐ……」


 料理を食べる零をじーっと見つめる三名のちびっこ。

 それを見て苦笑するフエ。


「デザートのケーキがあるがお前らも食べるか?」

「「「!」」」

「たべる!」

「たべるー!」

「たべたいー! あ! うー!」

「マヨイ、一々言い直さなくても良いのよ」


 思わず住処での口調に戻ったマヨイを見て、フエは苦笑した。

 慎次はホールのケーキを丁寧に切り分け、皿にのせ、フォークを添えて提供した。


「どうぞ」

「わーい!」

「わーい!」

「うー!」

「あら、私の分も? 有り難う」

「お前だけ仲間はずれにしたらチビ達が文句言うだろ」

「確かに」


 フエはふふふっと笑うとケーキを口にした。

 フルーツがふんだんにのせられ、生クリームでコーティングされたフルーツケーキだった。


「うん、美味しい」

「美味い」

「それ食ったらまた拘束だからな」

「その前にトイレ……」

「構わんが逃げるなよ」

「信用ないな……」

「そりゃ零さんが無理しまくるからでしょう?」

「むりはだめー!」

「むりはめ!」

「う!」

「分かった分かった……」


 零は疲れたように言った。

 ケーキを食べ終えたフエが言う。


「私が見廻りしてくるから」

「頼むぞ」

「エル達は零さんの様子見てて、よさげなら帰っていいわよ」

「「はーい!」」

「う!」


 フエは皿とフォークを洗うと、片付けてその場を後にした。


「フエが見廻りか……」

「心配か?」

「いや、不良とかヤクザとか……まぁ、人様に迷惑をかけてる連中が死亡するのがなぁ……」

「それは仕方ないだろ、フエが気に食わないものなんだから」

「それがなぁ……」


 零はため息をついてケーキの最期の一切れを頬張った──


 翌日、新聞の記事には複数の場所で似たような殺され方をしている死者が多数出たと報じられた──







エル達はケーキを食べてほっこりしてますが、零は拘束されるので、あまりよい気分ではないんですよね。

零が無茶するのが全て悪いんですが、慎次は無茶しなきゃ拘束なんてしません。

拘束されるのって痛いですよ、マジで。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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