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脱出の手助け~異形の子等の力フル活用~

異形案件ではない依頼が零に来る。

それは夫と義実家が幼い我が子の結婚相手をかってに決めるというもので──




「はい、分かりました、はい」


 スマートフォンの通話を切る。


「どうしたんだ?」

「幼い娘を年離れた甥の妻にすると夫と義両親が言い出してどうしようもないから実家まで連れて帰って欲しいと」

「そういう依頼も多いな」

「緊急性が高いらしい慎次転移を」

「わかった、行くぞお前ら、目ぇ閉じろ」


 零、レオン、ニルスが目を閉じると、影から手が出て四人を包み込む。

 影の手が消えると目的の家の前に来ていた。


 零が電話をかけ直す。


「今、居るのは貴方とお子さん達だけですか、分かりました」


 零はチャイムを鳴らすすると荷物を抱えた女性を幼い子どもが二人居た。

 零は女性の手を取り、影に隠れる。


「両親は頼れますか」

「はい、相談しました。両親からも説得したようですが聞き入れられず、こういう形に」

「では両親の家へ、貴方の実家へ戻りましょう、遠いのでしょう?」

「はい」

「なら、大丈夫だな。慎次」

「目を閉じてください、お嬢ちゃんも僕もな」

「二人とも目を閉じるのよ」

「はい」

「あい」


 慎次以外の全員が目を閉じると影から手が伸び、包み込んだ。

 影の手が消えるとその場から全員が消えていた。

 代わりに、別の家の前に姿を現した。


「私の、実家……⁈ あのどうやって⁈」

「それは秘密です、これここの弁護士で腕利きで私からの依頼だと安くしてくれる弁護士です、そこに連絡して離婚へ」

「はい」

「それとこの封筒の中身、役にたつと思います、弁護士と共に見てください」

「有り難うございます」


 封筒を受け取ると女性は家に子どもと共に入って行った、両親らしき年老いた男女が出迎えた。



「あの封筒の中身は?」

「女性の旦那と浮気相手の写真と二人のやりとりと嫁いびりとセクハラの証拠録音さ」


 慎次が尋ねると、零は何でも無いように述べた。


「いつの間に」

「フエに頼んだ」

「ああ、なるほど」


 零の言葉に慎次とレオンは納得して頷いた。


「さて、帰ろうと思うが土産を買ってから帰るとしよう」

「いいですねぇ」

「伊賀さんと高嶺さん、瑞穂さんも頑張ってますからね」

「まぁ、いいか」


 零はタクシーを捕まえ、乗り込むとそのまま駅に向かい、土産物コーナーを物色して買い込んでから、人気のないところでニルスが視覚操作の結界を張り、その後慎次の力を使って転移して事務所の二階の自室に転移した。


「はー無事に戻れたな」

「高嶺さんと伊賀さんはいるでしょうか」

「居なかったら戻ってくるまで待てばいい」

「瑞穂さんはいるでしょう」


 ぞろぞろと下へ下りてくる。


「あ、所長さん‼」

「零さん!」

「零さん‼」


「不義理を働く義実家から女性を一人救出してきた、帰りの土産だ」


 零はそう言ってクッキーやらパイやら食べ物を置く。


「わー! ちょうどお茶にしようと思ったんです!」

「零さん、有り難うございますわ」

「零さん、どうもっす!」


 そうやって和やかに一時を過ごしてから、零達は見廻りへ戻った。





 それから一ヶ月後、女性から無事離婚できたと報告があり、これで娘達を守れると安堵の声を聞けた。


「さて、元義実家側はどうなってる?」

「ああ、小さい女の子をひきニートに嫁がせようとか馬鹿考えるのもいい加減にしろって親戚達に怒鳴られて、ひきニートも余計なお世話だってキレて孤立して、義実家連中は遠くに逃げていったよ、元旦那が左遷された場所に一緒ににげていったみたい」


 フエが現れてそう説明した。


「なるほど。馬鹿は元義実家連中だけだったという訳か」

「そゆこと」


 零は頷くとフエにクッキーとパイの箱を二つ渡した。


「マヨイ達と共に食べるといい」

「うん、そうする!」


 フエはにこりと笑ってその場から姿を消した。





「みんなー零さんからの差し入れだよー!」

「おかし?」

「そう、お菓子」

「わーい!」

「おかしすきー!」


 箱を開けて菓子を皆に分けながら、フエはお茶を入れ、菓子を口にした。


「こういうのも悪くないね」


 そう呟いて──







異形の力フルに使ってお母さんと子どもを守る方向に行きました。

そして不倫の証拠も私きっと離婚できたことでしょう。

義実家と元夫は奈落いきでしょうが。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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