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「花嫁」の発情期

零は体調を崩していた。

その体調不良の原因を慎次達は知っているようで──




「眠い……」


 零は毛布にくるまりながら言った。


「ああ、そんな時期か」


 慎次が暖かな白湯をテーブルに置き、零の頭を撫でる。


「『花嫁』の体調不良の時期だからな」

「体調不良ですめばいいのだが……」

「俺が護衛しておくから、レオンとニルスに異形案件は任せておけ」

「分かった……」


 零はそう言うと目を閉じて眠りに落ちた。





「『花嫁』の発情の時期とは大変だな」


「結界を張ってないと異形が近寄ってくるし……」


「そうそう、当分は私達で零さんを守らないと」


 慎次が一人呟いているとフエが姿を現した。


「いきなり出てくるな驚くだろう」

「あ、ごめん」

「で、他の異形の子連中は?」

「ロナの影に封印中のロナクが『零に会わせろ』と駄々こねたから御子様ーズにナイフ持たせてぐっさぐっさしてもらってる」

「何考えてるんだ、ロナクの奴」

「零さんとヤって発情期終わらせようとしてるんじゃない?」

「まぁ、私もやったことあるけど、私の場合自分の意思で妊娠とかさせられるからこそできた芸当であって」

「なるほど、そういうことか」


 フエの言葉に、慎次は額を抑える。


「だが今回はやる気はないんだろう」

「柊さんに浮気者言われるのは堪えるからね……」

「反省してるようでなによりだ」

「私だって反省するわよ」


 フエはむくれる。


「まぁいい、今回は発情期が終わるまで安静にして貰おう、普段無理してるからな」

「言えてるー」


 そう言ってフエはソファーに寝転び、慎次は椅子に腰をかけて目をつぶった。





 深夜、ざわざわと黒い影が眠る零の元へ近づいてきていた。

 大量の蟲のような生き物──異形だった。


「五月蠅い」

「させるか」


 その異形をフエが囲い、慎次が影で捕食する。

 逃げだそうとするも、異形はもう手遅れ。

 慎次の影に沈んでいった。


「やれやれ、隙を見せてやるのも疲れる」

「そだねー、少しやすもうか」


 慎次はパンを焼きジャムを塗ったものと牛乳の入ったコップをフエに渡した。


「マヨイ印の小麦、果実、牛乳だ」

「あー、美味しい」


 慎次もさくりと食べる。


「うむ、イチゴジャムが美味いな」

「だね」


 食べ終わると、二人は零に近づき頭を撫でる。


「ゆっくり休んでね、守るから」

「ああ、休めよ」


 眠ったままの零は答えず、すぅすぅと寝息だけが聞こえた。





「あーさっぱりした」


 二週間後、調子の戻った零は起きるとそう言った。


「調子が戻ったか、だが無理するなよ」

「分かっている」


 お粥を食べながら零は慎次に言うと指示をだした。


「先にレオンとニルスに見廻りに行かせろ、私とお前は別方向から調べるぞ」

「へいへい……」


 慎次は肩をすくめていいつつ、零を見つめた。

 どこか微笑ましそうに──







花嫁の発情期です。

人間とは若干異なるので発情期があります。

でも今回は何かせず、見守り、保護する方針でいったようです。


ここまで読んでくださり有り難うございました!

次回も読んでくださると嬉しいです。


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