表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/238

不調の「花嫁」~異形性の発露の相手をした結果~

零は寝込んでいた。

慎次が来て事情を聞くと──




「うーん……」

「大丈夫か、零」


 ベッドの上で布団にくるまり呻いている零に慎次は声をかけた。


「慎次か……」

「ああ、どうした?」


 零は布団から顔を出した。


「昨日レラとフエが異形性の発露でやってきてな……体に負担がかかりまくってしんどいのだ……」

「あの二人か……それは相当だな」


 慎次は椅子をベッドに近づけて座った。


「だが、大変なのを分かってて体使わせてやってくれたんだろう、感謝する」


 そう言って頭を下げた。


「慎次」

「何だ?」

「鳥雑炊とゼリーが食べたい」

「ゼリーはあるから、鳥雑炊な、分かった」


 慎次は立ち上がり、料理を開始し始めた。


 鳥肉の良い香りがし始める。

 鳥肉に火がとおり、卵にも火が通ったのを見て、ぱらっとネギを散らして、よそって零の所へと持って行く。


 零は少し辛そうだが、体を起こしていた。


 零の側のテーブルに雑炊の入ったお椀を置くと、レンゲを持たせ、零はふーふーっと冷ましながら鳥雑炊を食べ始めた。


「おかわり」

「おう」


 空になったお椀を受け取り、雑炊をよそい、テーブルに置く慎次。

 零は同じように冷ましながら食べた。


 三杯おかわりした零の側のテーブルに、慎次はスプーンと冷えたゼリーを置いた。


「有り難う」

「こんくらい気にすんな」


 零はゼリーのぷるぷるとした食感と、中の果物を堪能した。

 イチゴの甘酸っぱさがたまらなかった。


「ごちそう様、さて仕事──」

「今日は寝てろ」


 起き上がろうとする零を慎次は寝かしつけた。


「見廻りは、レオンとニルスに任せる」

「むぅ……」

「それにこの間のフエの行動もあるから異形連中もそうそう出てこねぇだろう、このあたりでは」

「それは分かっているが……」

「なら休め、無理するとしばらく体にくるぞ」

「……分かった」


 零は目をつぶった、しばらくしてから静かな寝息が聞こえてきた。


「さて、俺はちょっくら戻るか」


 慎次はそう言ってその場から姿を消した。





「レラ、フエ。異形性の発露が同時なのは運が悪かったが、もう少し零を労れ」

「できたらそうしてるってのー!」

「できなくてごめんなさーい!」


 住処の会議室では紅にフエとレラが説教されていた。


「よぉ」

「おお、慎次。零の容態は?」

「しばらく絶対安静」

「よし分かった、と言うわけでお前達二人は説教コース継続だ」

「げぇ!」

「なんでぇ!」

「加減を知らぬ馬鹿にはこれしかあるまい!」

「じゃ頼んだぜ」


 慎次はそう言ってその場を立ち去った。





 再び、零の部屋に戻ってきた慎次は、汗まみれの零の体を拭いてやる。

「元気になるまで面倒はしっかりみてやるよ」


 眠っている零に、慎次は静かに告げた──







異形性の発露の解消は「花嫁」である零さんに多大な負担をかけてしまうのです。

だからレラとフエは怒られています。

少しは加減できるようになれ、と。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ