フエの異形狩りの後日談
フエが異形狩りを行った翌日。
ニュースになっているのを零はしかめて新聞を見ていた。
それに対してフエは──
「フエ、やり過ぎだ」
フエが異形狩りを行った翌日、ニュースを見ながら零はフエに苦言を呈した。
「人に被害が及ぶ前で良かったじゃない」
「人の被害も出たんだが?」
「あ、それはジンとロナクに任せた奴」
「エルの食料か……」
「うん!」
零は額に手を当てた。
「頭痛がする」
「えー、大丈夫ー?」
「お前が原因だ」
「むぅ」
フエが不服そうな顔をする。
「でも、当分依頼とかこなさそうで良かったじゃん」
「でも見廻りはする」
「そっか」
「あ」
フエは何か思い出したように声を上げた。
「見廻りのご褒美貰ってない」
「やり過ぎだといっているのに……」
「それはそれ、これはこれ」
フエは零をベッドまで連れて行き押し倒した。
「ねぇ、いいでしょう?」
「後で柊に叱られてこい」
「ひどーい!」
フエはむくれつつ零の服に手をかける。
しばらくして零の濁ったあえぎ声が聞こえてきた。
「お前にされると腹上死の危険性が出て来そうで怖い」
ヤる事をやられ終わった零が疲れた声でフエに抗議する。
「大丈夫だよ、そんなこと言わないでよ」
「大丈夫じゃないから言ってるんだ」
零はよたよたとタオルで体を隠しながら風呂場へ向かった。
そしてシャワーを浴びて汚れを落とし、体を拭いてから、着替えた。
「今日の私は動かんぞ、疲れた」
「おい、零。見廻り終わったぞ」
「荒井か、感謝する」
「それとフエ、お前は少し手加減しろ」
「慎次までなにさー」
荒井に言われ、フエはまたむくれる。
「番いの野郎ならともかく、零はまだ『花嫁』なんだ、負担がでかい」
そう言って荒井は零にスムージーを渡した。
「うん、美味い」
くぴくぴと飲んでいる零をどこか微笑ましそうに見つめる二人。
「あー少し楽になった、では寝る」
「それでいい、少し休め。見張りは俺がやる」
「え、私は?」
「帰った方が良いぞ、柊がカンカンになって嫉妬してやがる」
「げ」
荒井の言葉にフエは顔を引きつらせる。
「誰だ告げ口したの!」
「紅」
「紅姉さーん!」
フエは頭を抱える。
「調子乗ってるお前への罰だってよ」
「調子のってないのにー!」
「零とヤってるのが調子こいてると見なされたみたいだぞ」
「そんなー!」
「わかったら帰れ」
「うーくそー!」
フエは姿を消した。
「漸く静かになった……」
零はそう言って目をつぶると、ほどなくして眠りに落ちた。
零と自分しかいない部屋で慎次は、零に近づき、そっと額にキスをした。
「これ位は許してくれよ」
慎次は自嘲気味に笑って言った。
「浮気者ー‼」
「だから違うんだってばー‼」
「何が違うんだ‼」
「柊さんとヤルのと、零さんとヤルのは違うんだって‼」
「嘘をつかないでくれー‼」
「嘘じゃないんだってばー‼」
痴話喧嘩が会議室から響き渡る。
「これで少しは懲りてくれたらいいんだが」
「こりる?」
「多分懲りないだろうな」
マヨイの問いかけに、紅は若干諦めたように笑った──
少し調子に乗ってるフエにお仕置きがありましたね。
柊に責められたら困るフエ。
分かってて報告する紅。
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