とある日~蓮と康陽、そして「花嫁」~
蓮と康陽は異形退治と人の救出を行っていた。
それが終わり帰ると、なんだかムラついてる蓮に康陽が──
巨大な蜘蛛とそれに似た小蜘蛛が異形を食い尽くしていた。
「蓮、誘拐されてた連中は全員避難させたぞ」
『あ、康陽さん、ちょっとまってあと少しで喰い終わるから』
「わかった」
生々しい音にも康陽は慣れた様子で、蜘蛛──蓮の食事が終えるのをまった。
蜘蛛の蓮は食事が終わると、小蜘蛛は姿を消し蓮はいつもの姿に戻った。
「じゃ、帰ろうか」
「ああ」
蓮と康陽は手を取ってその場から姿を消す。
「うーん……」
自分達の住処の自分の部屋にもどると、蓮は椅子に座ってぐったりしていた。
「どうした」
「……ちょっとムラムラする」
それを聞いた康陽はベッドに座り、手を広げる。
「ほら、おいで」
「康陽さん、いつもごめん」
「別にいいんだ、お前だからな」
「うん」
蓮は康陽を押し倒した。
康陽の低いあえぎ声が程なくして部屋に響いた。
「う゛ー!」
翌朝、蓮はベッドの中でじたばたともがいていた。
「発露か」
「康陽さんに相手してもらった直後に来るなんてー!」
「いや、異形化して異形をバリバリ食ってたんだから来る可能性は高いだろう」
「もうしわけないー!」
蓮は顔を枕に押しつけた。
「俺にか?」
蓮はこくりと頷いた。
「俺に申し訳ないと思うなら、急いで『花嫁』……零の所行って相手してもらえ」
「う゛ー……わかった」
蓮はベッドから起き上がり姿を消した。
康陽は蓮がいつ戻って来てもいいように朝食の準備を始めた。
「零さーん! 相手してー!」
蓮は半泣きになって零の前に姿を現す。
「朝食を取って見廻りに行く予定だったが、変更だな」
零はふぅと息を吐いてベッドに戻った、慎次は部屋を出て行く。
「ほら、おいで」
「いつもごめんなさーい!」
「わかってる、わかってるから」
蓮は零を押し倒した。
それからしばらくして、零の濁った声が部屋に響いた──
「零さんありがとう、お風呂入るの手伝おうか」
「そうしてくれると助かる……」
蓮は白い液体で汚れた裸体の零に肩を貸すと、風呂場まで連れて行き、シャワーで体の汚れを落とすのを手伝った。
そして体を拭いて、零に服を着せる。
「零さんありがとー! じゃあね!」
「ああ、またな」
蓮は姿を消した。
「ただいまー! 康陽さん!」
「お帰り、もうすぐ朝食ができる、食おう」
「うん、食べるー」
焼かれたパンとにジャムをのせて蓮はサクッと頬張った。
「美味しいー!」
「お前が戻ってくるまで焼くの待ってた甲斐があったよ」
「でも、なんで軽めなの?」
「朝までがっつり行くと、またお前がムラつくだろうからな」
「う゛ー康陽さんのセクハラー……」
「事実だろう?」
「反論できないー……」
蓮は不服そうな顔をしてシャキッとしているサラダをしゃくしゃくと食べ始めた。
今日も、二人の日常が始まる──
異形を食べると異形の子は異形性の発露を起こしやすくなるという話。
蓮と康陽は互いを理解しているから、零に発露の相手を蓮がしても嫉妬はしません。
蓮も好きで発露してるわけじゃないのですから。
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