フエへの仕置き~「花嫁」を大事に~
フエが零への手伝いの報償として性行為を求めていたことを柊に確かめられる。
誰に聞いたと問えば慎次と答えられ──
「フエ、零に仕事の報償として、性行為求めたと聞いた」
柊からの言葉に、一瞬硬直するが、すぐ笑顔になってフエは問いかけた。
「誰から?」
「慎次」
「慎次ー⁈」
「お前は一回くらい痛い目見た方がいいと思ってな」
「理不尽だわ!」
慎次の言葉にフエは噛みついた。
「いや、私も同意見だ」
「紅姉さんまで⁈」
紅まで慎次と同意見であることに驚きを隠せないフエ。
「なんでぇ?」
「お前は零に負荷をかけすぎてる」
「昨日お前がヤった所為で零は今日寝込んでるんだぞ」
「うー……」
「そんなにヤりたければ、番いとやればいいだろう?」
紅がきっぱりと言うと、フエはばつ悪そうな顔をした。
「いや、その……」
「何だ?」
「柊さんとばっかだとちょっとマンネリが……」
「ギルティ」
「ギルティだな」
「えー! そんなぁ!」
フエは驚愕の声を上げる。
「お前はしばらく異形生が発露するまでヤルないいな、ヤりたいなら柊とやれ」
「ああ、そうだ。俺は戻るからな、レオンに今看病頼んでニルスを動けさせられない状態だからな」
「ああ、頼んだぞ」
「じゃあな」
慎次はその場から姿を消した。
「うう~~!」
「うう~じゃない。少しは花嫁依存を引っ込めろ!」
「無理じゃん親父からの異形性なんだから!」
「だったら番いにどうにかしてもらえ」
紅は、フエの首根っこを掴んで、フエの部屋へと移動した。
ベッドに顔を埋めている柊にぽいっとフエを投げる。
「性欲が有り余ってるそうだ、空っぽになるまで相手をしてやってくれ」
紅がそう言うと、フエを抱きしめたまま、柊は淫靡に微笑んだ。
「分かりました」
「頼んだぞ」
「ちょ、ちょっとー!」
扉が閉められる。
柊はフエをベッドに押し倒した。
「私の相手をしてくれ、私を愛してくれ、フエ」
うっとりとした表情で言われて、フエはそのときは観念した。
柊のあえぎ声が部屋中に響き渡るのにそう時間はかからなかった。
「今頃、番いに絞られてるだろうよ」
「げほっ……そうか」
ベッドに寝込んでいる零の冷却シートを交換し、慎次は言う。
「お前もあんまりフエを甘やかすな」
「……すまん」
「分かればいい」
そう言って慎次は椅子をベッドの側に持ってきて、零の頭を撫でた。
「いいから寝ろ」
「ああ、そうする」
慎次に頭を撫でられ落ち着いたのか、零は眠りに落ちていった。
「……本当心配かける『花嫁』だぜ」
ぽつりと慎次は呟いたが、誰もそれを聞くことはなかった──
慎次は零の事を大切に思うから、フエにあんまりヤって欲しくないのがあります。
異形性の発露は仕方ありませんが、それ以外は。
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