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遠距離依頼~「花嫁」からのご褒美を~

異形案件ではない依頼を受ける零。

軟禁されている依頼人を助けるためにニルス達と共に目的地に向かい──




「はい、はい、分かりました。場所は──」

「何やってんだ?」


 電話越しに何か依頼の会話をしている零を見て、首をかしげる荒井。


「妊娠中の依頼主さんが家族に軟禁されてるから助けて欲しいって内容らしいんです」


 瑞穂がそう補足した。


「そう言う依頼もやってるのか」

「レオン、荒井、ニルス。行くぞ」

「異形案件か?」

「いや、念には念を入れてな」


 そう言って電車を使わず、ニルスの空間転移で目的地まで着く。


 一件普通そうな古民家だが、零は鍵がかかってないことを確認して開け放つ。


「ニルス、依頼人の確保を」

「わかったとも」


「何だお前ら!」

「いえ、この周囲で誘拐事件が起きたと聞きましてね、どうやら妊娠中の女性だとかで、病院から依頼を受けまして」


 妊娠中と聞いて、でてきた老婆は一瞬うろたえた。


「そ、そんなの知らないよ」

「そうですか、では」


 そう言って、扉を閉め、遠くへと移動した。

 人は居ない。


「ニルス、もう出て来ていいぞ」

「はい」


 妊娠中の女性を連れて、ニルスが姿を現した。


「あ、有り難うございます」

「それは安全な場所に避難できてから言ってください」

「は、はい」

「ご実家は?」

「実家は──」


 女性が説明すると、零は頷いた。


「実家は遠い。ならばそちらの方が安心でしょう」

「でも……」

「私がご家族にも説明します」

「有り難うございます」


 妊婦は少し大きなお腹をさすりながら言うと、零はニルスに合図を送る。


「少し目を閉じていてください」

「はい」


「ニルス」

「仰せの通りに」


 再度空間転移した。


「わ、私の実家……⁈」


 女性は驚いた顔を見せる。


「このことはご内密に」

「は、はい!」


 零はそう言って女性と共に、女性の実家へと入っていった。





 しばらくして、家から出て来た零はふぅと息を吐いた。

「理解のあるご両親で何よりだ」

「ところで、どういう案件だったんだ?」

「義実家での出産を強要されたんだと、義母と夫から、逃げだそうとしたけど軟禁されて逃げられなくて、隠し持ってたスマホで私の探偵事務所のサイトを見て助けを求めたんだとさ。ご両親は義実家には二度と渡さない、離婚させると息巻いていたよ」

「……人間も面倒ごと起こすな本当」

「そういうな」

 零はそう言って、苦笑する。


「こんな遠方に来たんだ、土産を買って帰るぞ、ニルスタクシーを呼んでくれ」

「かしこまり」


 零達は土産を買うと人気のない所に移動してニルスの空間転移で事務所の二階に戻って来た。


「ただいま」

「お帰りなさい」

「土産だ、高嶺と伊賀も食べるといい」

「所長、有り難うございます!」

「所長、有り難うございます!」

「あの、依頼人は……」

「バッチリ救出済みだ、ご両親も理解のある方で良かったよ」

「ええ、理解のある方で良かったです」


 土産のクッキーを一つ掴んでレオンも言う。


「じゃあ、私は二階に戻る」

「はい所長」


 零が二階に戻るとフエが居た。


「フエか」

「依頼人さんの義実家連中脅してきたよー! それと、連中のしようとしたこと噂にしてばらまいてやった!」

「姿を偽造してか」

「うん!」

「よくやった!」

「ふふふ、連中今頃針のむしろだよ!」

「それくらいの事をしたんだからな」

「うん!」


 其処まで会話をすると、フエはにたりと笑って──


「だからご褒美頂戴ー」

「柊にまた怒られるぞ」

「言わないもん」

「やれやれ……」


 ベッドに押し倒され、服を脱がされながら、零は諦めたように息を吐き出した。

 その後、濁った声が部屋にわずかに響いた──







異形案件じゃないけど、異形の力を使う零。

人間もタチが悪いのを知っていますからね。

そして相変わらずなフエ。


ここまで読んでくださり有り難うございました!

次回も読んでくださると嬉しいです。

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