連日の異形性の発露~疲労困憊の「花嫁」~
連日、異形の子等の異形性の発露、その相手をする羽目になった零。
結果零は疲労困憊で寝込んでいた──
「なんで連日で異形性の発露が起きるんだ……」
ベッドの上で毛布にくるまった、零がかすれた声で荒井に言う。
「さぁな、それは異形の子の俺にも分からない」
とお粥を持ってきた。
零はくるまったまま、お粥をレンゲで掬い、ふーふーと冷ましながら食べていた。
ここレオンと荒井が異形性の発露で零を求めてからこの数日間。
連日のように他の異形の子達もやってきたのだ。
異形性の発露を鎮めたいと。
零はためらうことなく体を差し出したが──
連日の行為で体がぐたぐたに疲れ果てて仕舞っていたのだ。
異形性の発露を性的行為で発散させられる「花嫁」であるのだが、それ故体の負担が大きかった。
結果、零は寝込む羽目になったのだ。
「フエのが最期のとどめになったな」
「フエ……」
「『ごめーん、零さん、しんどいだろうけど、お願いー!』と押し倒された私の気持ちを答えてくれ誰か」
「……計画性をもってくれ?」
「ちがう『セックスで殺される』だ」
「……そうか」
「いや、本当、性的行為で死にかけるとか腹上死じゃないか」
「……」
「その上向こうは発散させたいから、ねちっこいし、がっついてもくるし、私の脳みそ溶けるかと思ったぞ」
「そ、そうか」
荒井はなんとも言えない顔をした。
零はお粥を食べ終わると、スポーツドリンクを飲み干し、再びベッドに横になる。
「レオンとニルスに今日の件は任せた、私は寝る、見張りを頼む」
「分かった」
そう言って十数分後にすぅすぅと寝息を立て始めた。
後片付けを終えた慎次は、眠る零にそっと近づき、頬を撫でた。
そして窓の外を見る。
「雨、か」
ざあざあと降る雨を見て、寒がりな零が寒さを感じないよう、タオルケットをそっと掛けてやった。
毛布にくるまってるから大丈夫だろうが念のため。
「慎次──零さんの様子は?」
フエが天井から現れ、回転してふんわりと床に静かに着地した。
「セックスで殺されると思った、だそうだ」
「マジごめん」
フエは零に向かって土下座をした。
「今土下座しても分からないだろう」
「うん、分かった。後で起きてから土下座する」
「ところでその袋は何だ?」
「マヨイの果樹園と畑でとれた果物を使った作ったフルーツゼリーの詰め合わせ」
「冷蔵庫にしまおう」
「うん、お願い」
慎次は冷蔵庫に袋の中にゼリー達を仕舞った。
「それにしても、こんな時に連日起きるなんてどうしてなんだろう?」
「しらん、俺が聞きたい」
「異形案件で何かとんでもないことは起きてないし、他の方も大丈夫だし……うーん偶然?」
「お前の見ている『夢』なのだろう、これは」
「そうだけどー……」
「なら、何が起きても普通だろう?」
「……確かに」
慎次に言われ納得するフエ。
「それよりも、番いはどうした?」
「浮気者発現が多いので抱き潰してきました」
「またか……恋愛じゃなく依存じゃないかお前の所は」
「諸事情がございまして……」
「康陽だったか? 蓮の番いを見習え、彼奴はそんな事言わず、そうするしかない蓮を励ましたり慰めたりしてるぞ」
「本当、偉いよね、康陽さん」
「少しは見習わせろ」
「うーん、でも、可愛いしー……」
「はー……俺はもうしらん」
慎次はあきれのため息をついた。
フエは何か言いたげだったが、言葉が思いつかないのか頭を抱えていた──
「フエの夢」の話が出て来ました。
この世界は「フエ」の本体が見る「夢」ですが、夢だからこそどうなるか分からないですよね。
後、番い。
フエの番いは事情を理解しても納得はしたくないようです、依存ですからね、だからフエは抱き潰します、反省していません。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
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