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とある一日の始まり~慎次から見て~

デートもどきを行った翌日、慎次はロナクからそれを咎められる。

だがそれに割って入ったのはフエで──




「慎次! お前、零とデートしたって聞いたぞ⁈」

「誰からだ」


 慎次は口止めはしておいたはずなのに、一体誰から漏れたと心の中で舌打ちをする。


「ニルス」

「あの野郎」


 わざわざロナクが零の所に行ってニルスから聞いた事になる。


「デートじゃないわよ、男女が歩いていると女性だけいなくなるからその捜査していただけ」


 フエが天井からぶらんと現れ、くるっと回って着地する。


「なんだ、デートじゃねぇのかニルスの野郎誤解するような言い方しやがって」

「そういうことだ」

「そゆこと、さっさと戻りな!」


 フエがロナクをしっしと追い払う。


「まぁ、それとは関係なく俺も零とデートしたいなぁ」

「アンタとデートするとトラブルしか起きないから辞めなさい」

「畜生」


 ロナクは苦虫を噛み潰したような表情をするとそのまま自室へ戻っていった。


「疑似的とはいえデートしたとなると色々五月蠅いからねぇ、うちの連中」

「全くだ」

「あ、そろそろ零さん起きる時間じゃない?」

「そうだな、朝食の支度してくるか」


 慎次はそう言って姿を消した。


「……ニルスは後で締めておくか……」


 慎次が居なくなったのを確認すると、フエも同様に姿を消した。





「ん……」


 良い香りに零は目を覚ました。


「……荒井か」

「ああ、朝食できたぜ」

「すまないな、いつも」


 零はそう言って欠伸をし、頭を掻いた。


「そちらで騒動は起きなかったか?」

「ロナクの馬鹿にニルスがデートしてたと吹き込んでるのが発覚した」

「……なら今日はニルスは出てこないことも想定して動かねば」

「どうしてだ」

「フエ」

「ああ……」





 異形であるニルスと異形の子等は本来敵対関係にある。

 だがそう出なくしてしまったのはフエの存在である。

 元々の主であるフエの父親をフエが喰らってしまった為、ニルスの主としての権利がフエの物になった。

 その結果、ニルスはフエに、異形の子等に逆らえない状態にある。


 が、元の愉快犯気質もあってトラブルを多々起こす。

 レオンが側にいるが、それでもトラブルメーカーな気質を抑えるのに手一杯だそうだ。


 レオン曰く。


「私の胃袋が人間と同じものだったらストレス性の胃炎か胃潰瘍になって病院にお世話になってますね、今頃」


 とのことなので相当なのだ。





「もぐ……ん、美味かった」

「じゃあシャワー浴びてこい、その間に俺片付けしとくから」

「分かった」


 慎次は零にそう言うと、食器を洗い、拭き、片付け、ドライヤーを準備し、シャワーを浴び終わった零の髪を乾かし、服を着替えるのを待ち、着替え終わると一階に一緒に行った。


「おはよう、皆」

「おはようございます、所長!」

「おはようですわ、所長!」

「お早うございます、所長」

「お早うございます、零所長」

「ご機嫌よう、零」

「…ニルス、その腕はどうした?」

「諸事情にて、ね」

「そうか……」


 慎次は腕一本で済ませたのかと逆に感心した。

 てっきりボコボコに叩きのめすと思っていたからだ。


「……帰りにボコると言われましたよ」

「……そうかよ」


 ニルスに囁かれ、慎次は吐き捨てるように呟いた。

 ニルスなら、帰りにフエにボコられたとしても、明日には元気に此処に来るだろうと慎次は予測で予測できた。


「さぁ、今日も仕事だ」


 そして今日も仕事が始まる──







慎次視点からのとある一日。

慎次は慎次なりに探偵事務所に馴染んでいますね。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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