表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/238

残る不安~慎次が抱えるもの~

異形に取り込まれている人々を救出するべく力を行使する慎次。

無事取り込まれた人々を救出し安堵する──




「かなり数が多いな」

「俺がやる」


 無数の目玉のと手を持つ異形がいる場所に、零と荒井、ニルスにレオンがいた。

 荒井が一歩前に出ると、目玉より多くの数を持つ、黒い影の手が地面から現れ、引きずり込み始めた。


 異形は耳障りな悲鳴を上げて、引きずり込まれまいと抵抗するが、全て引きずり込まれた。


 影の手がもぞもぞとうごめき、ドーム状を形成すると、消えた。

 そこから十数名の人達が現れた。


「あら、私何をしてたのかしら」

「ヤバい会社に遅れる!」

「パパ、ママ、どこー?」


 その様を見て荒井は疲れたように息を吐いた。


「うん、17人。ちょうどだ、居なくなった人数とぴったりだ。荒井良くやってくれた」

「なんとか、な」

「警察には連絡を通して起きました」

「レオン助かる」

「一応異形対策機関にも連絡しておいたとも」

「……どう連絡したかがきになるな」

「普通に連絡しましたよ」


 ニルスが肩をすくめて言うと、レオンがふぅと息を吐いて補足した。


「大丈夫です、聞いていましたから」

「そうか、なら良かった」

「信頼がないですなぁ」

「お前が信頼されていると思えるのか」


 レオンがそう言うとニルスは肩をすくめた。





 探偵事務所の自室に戻ると、零はソファーに座った。

「疲れた……」

「仕方ないな、何か食うか」

「甘い物が食べたい」

「ホットケーキでいいか?」

「うん」


 荒井はホットケーキミックスの袋を取り出し調理を開始する。


 ホットケーキを焼いていると──


「うー」

「ほっとけーき?」

「けーき、けーき」

「お前ら……」


 エルとりら、マヨイがいつの間にかやって来ていた。


「もう少し焼かないとな」

「う!」


 マヨイは瓶を取り出した。


「メープルシロップに、イチゴジャムか」


「うー!」

「マヨイはイチゴジャムか」

「わたしめーぷる!」

「わたしはいちご」

「分かった分かった。零、お前は?」

「メープル」

「分かった」


 荒井はホットケーキをどんどん焼いていき、段重ねにしたものにメープル、イチゴジャムを乗せてやった。

「ほらたべな」

 と、それぞれの目の前に置いていく。

「うー♩」

「おいしいー♩」

「おいしい!」

「うむ、美味いな……」

「それは良かった」


 荒井は疲れたような息を吐いた。


「どうした、荒井」

「いや、何でも無い」


 荒井はそう言って姿を消した。





「慎次、上出来じゃない、取り込まれた人全員救出なんて」

「ああ、俺もできたのが驚きだ」


 住処に戻り、慎次はフエと話していた。

 フエはにっこりと笑う。


「だから言ったでしょう、零さんが側にいれば安心だって」

「ああ……」

「なに、やっぱりまだ不満?」

「当然だ」


 疲れたため息をつく慎次にフエは言う。


「あんまりため息をつくと幸せが逃げていくよ」

「……善処する」


 フエの言葉に、慎次は疲れたように笑った──







力の暴走の過去が慎次を不安にさせていますが、「花嫁」である零が居れば平気とフエは言い切っています。

実際そうなので、零に全てがかかっていると言えます。

責任重大ですね、零は。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ