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眠る花嫁~夢の国の王と夢見る邪神の子~

零が目を覚まさなくなったと瑞穂から聞いたフエ。

その魂がドリームランドに囚われていると知り──




「零さんが目覚めない?」

「はい、昨日からずっと……」


 瑞穂がフエにそう説明すると、フエは零を見て眉をひそめた。


「ドリームランドに魂持って行かれてるわ」

「ドリームランド、ですか?」

「文字通り『夢の国』だけども、そこにも異形の王がいる」

「じゃ、じゃあもしかして零さんは──」

「その王様にとっ捕まったってことね」

「ど、どうしよう」


 瑞穂は泣き出した。

 恩人を助ける方法が全く思いつかないのだ。


「大丈夫よ、瑞穂ちゃん、私が行ってくるから」


 フエはそう言って姿を消した。





「んじゃ、ドリームランドに行ってくるから」


 住処の特殊な部屋のベッドにフエは横になり、目を閉じた。


「大丈夫なのー?」


 マヨイが不安そうに言う。


「安心しろ、この件はフエが一番適任だ、ドリームランドの王とは言え、フエには勝てんなぜならば──」


 紅がマヨイの頭を撫でながら言う。


「この世界そのものがフエの夢なのだ、そのまた夢の王国など一瞬で滅ぼせよう」





「久々に来たわねドリームランド」


 住人達が歩き回り、猫がたくさん彷徨いている。


 フエは迷うことなく王がいる城へと侵入した。


『異形の子か』


「その通りよ、ドリームランドの王様」


 巨大な男がいた。

 そしてその男の手の中の球体に零は捕らわれていた。

 目をつぶっている。


『「花嫁」は私にふさわしい、もう時期種も植え付けられよう』

「へーそんな事言っていいんだ」

『たかが異形の子が何を抜かす』

「何をほざくか」


 明るい世界が暗い世界へと侵食されていく。


『貴様何をした』

『何をした? 夢を「夢」で侵食しただけだ』


 フエは声を恐ろしいほど低くぞっと寒気のする声で話し始めた。

 人間が聞いたら発狂するような声で。


『「花嫁」を返せ、さもなくば夢を全て喰らってやる』

『やめよ、やめよ! 我が国を滅ぼす気か‼』

『お前はたかが夢の国の王、私は夢で世界を創造する邪神の子、格の違いが分からぬか?』

『⁈』

『二度は言わぬ「花嫁」を返せ』


 王は唇を噛み、零をフエへと渡した。

 球体は割れ、零を抱きかかえる。


「んじゃ、二度と『花嫁』にちょっかい出すなよ」


 元の声に戻ってフエは言うとその場から姿を消した──





 ばちり、とフエは目を開ける。


「あー疲れた」

「どうだった」

「ばっちし、今頃零さん起きてるよ」

「そうか」


 フエはそう言うと、その場を後にした。





「腹が減った……」

「少し待て、今できるから」


 二日も寝ていた為絶食していた零に、胃に優しいお粥を荒井は作っていた。

 そして作ると、零の元に持ってくる。


「いただきます」


 零はふーふーっと冷ましながらゆっくりと食べ始めた。


「零さんおはよ!」

「フエか、何があったかさっぱり覚えてないんだが」

「そりゃ魂も寝させられてたんだもん分かるわけないよ」

「そうか……しかし何故今?」

「零さん、この間ペンダント木っ端みじんにしたから修理中でしょ? だから狙われたんだよ」

「ああ、そうか」


 零は納得したように頷いた。

 そしてそんな零にフエは赤い飾りのペンダントを首にかけてやった。


「これで大丈夫でしょう」

「いつもすまないな」

「いーのよ、後、これからはもうちょっと気をつかって動いてね」


 フエはそう言って居なくなった。


「そうだぞ、もう少し自分の事を大事にしろ」


 こつんと荒井に頭を叩かれて、零は少しばつ悪そうに頷いた──







相変わらずのフエ無双。

そして無理してることを怒られる零、当然ですね。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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