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撃てるんデス! ~自衛官の異世界魔法戦記~  作者: 井出 弾正 (いで だんじょう)
第1章 異世界へ
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第7話 修了

「君たち冒険者や探索者が、野山やラビリンスの魔物(モンスター)生物(クリーチャー)を狩ってくれることで、町や村、田畑が襲われることが減るわけだ。そして有事の際には、希望者だが、軍の指揮下で活動してもらうこともある。

 自由な冒険をしながら、人の役にもたつ。素晴らしい仕事だろう? もっとも、それなりの危険や責任はともなうが、それを手助けするために、我々ギルドの職員がいる。さらに職能(クラス)を得たならば、それに合わせた研修もあるし、能力の維持や飛躍のためにもう一度同じコースを復習するのも有りだ。納税している善良な市民ならば困りごとを行政に相談しても良い。

 君たちの活躍に期待している。頑張ってくれたまえ。」


 教官の代表者に有難いお言葉をいただき講習は終了した。どうやら半月ほど掛かって全てのコースで及第点を取れたらしい。


 では、講習を受けたことによって、どんな知識や情報を得たのか、何が違うのか、ここで整理しておきたい。状況や装備を把握しないと作戦行動はできないだろう。


 不思議に思っていた事柄から。まあ、全て魔法でなんとかなっているのだと納得するしかないのだが。継続魔法(エンチャント)という技術、いや魔法を掛けられることによって永続的な超能力のようなモノを付与されるそうだ。礼三が言っていた「呪いを掛けられる」というヤツだ。役所にギルド、町を守る騎士団の詰め所などにはエンチャンターと呼ばれる術者がいて、様々な行政サービスとして活かされているそうだ。


 俺のような異世界転移者にとっては、まずは、言葉。何故この世界で話せるようになったのかいうと、共通語を使えるようにする継続魔法(エンチャント)のおかげだ。


 そして、出たり消えたりしてIDカードとなる金属片。これも魔法によって必要なときにだけ現れるわけだ。改めて確認すると表には「氏名」「性別」「年齢」「本籍地」「居留地」「身分」と裏側には「職業(ジョブ)」「職能(クラス)」「備考」と全部で10項目ある。裏側の3項目については記入欄が大きく採られている。書き込む事柄が多いのか。俺の職能にも四つ書かれているしな。


 順に読んで行くと「氏名」リョウ・クツギ、「性別」男、「年齢」24歳、「本籍地」ミッドガーランド 転移者、「居留地」セント・アイブス、「身分」名誉臣民 自由民、裏側には「職業(ジョブ)冒険者(アドベンチャー)、「職能(クラス)戦士(ファイター) 射手(アーチャー) 魔導士(ウィザード) 黒魔術士(ブラックマジシャン)、「備考」ミッドガーランド騎士団予備役(よびえき)となっている。この国はミッドガーランド、町の名前がセント・アイブス。異世界転移者で、英雄レイゾー・サカガミの保証が付いたために優遇されるが、いざとなったら、お国ミッドガーランドのため騎士団の一員として働けってことだ。


 で、同様にもう一枚持たされることとなった。こちらは冒険者管理組合アドベンチャーズ・ギルドから。IDカードに対してレジスターカードと呼ばれる。表側には「所属組合(ギルド)冒険者(アドベンチャーズ)セント・アイブス支部 探索者(シーカーズ)セント・アイブス支部、「所属パーティ」AGI METAL(階級(ランク)S)とあり、裏側は、ほぼ同じなのだが、「職能(クラス)」では魔導士(ウィザード)が一番上になっており、「階級(ランク)」F と加えられている。


 階級(ランク)とは、冒険者、探索者のパーティ、または個人としての実力実績を組合(ギルド)が評価したもので、S、A~Gの8段階ある。Sランクなど、通常はありえない。3年前の戦争を終結に導いた英雄レイゾーの率いるパーティは特別なのだそうだ。凄い人だったんだなあ。俺はたまたま入ってしまったパーティなんだが。Dランクで中堅の一人前、Cランクでベテランと謂われるので普通は頑張ってもCランクまでしか上がらない。


 そして個人の評価では俺は初級者相当のFランク。この階級制度では、登録したばかりの新人では初心者相当のGランク。初歩的な仕事をこなせるか、講習を受けることなどで、Fランクへと上がる。


それならばFランクスタートで良いように思うが。ギルドへの登録手数料などを後払いにしてもらえる為、とりあえず探索者(シーカー)となる者も多いそうだ。戦争やモンスターの襲撃の後、農業が不作の年、働き手が亡くなった家庭など。もともと定住して副業として探索者(シーカー)をやっている者は多くいるが、他にも理由がある。探索者(シーカー)冒険者(アドベンチャー)にエンチャントしてもらえるジョブ固有のスキル「アイテム保管庫(ストレージャー)」のためだ。


 四極魔術(ダイヤグラム)の一種、時空魔法によって、魔法のトランクを持てる。この魔法のトランクを開けられるのは、本人のみ。例外として「混沌の迷宮ラビリンス・オブ・ドゥームの中で持ち主が死亡した場合、その迷宮の中でトランク内の所持品が戦利品として出現することがある。が、ラビリンス内で人が殺し合いをしても、それは無駄なことで、ストレージャーを開けられない。クリーチャーやモンスターと戦った、罠に掛かった場合などに限られる。


 住む家を無くしたりした者でも、このアイテム保管庫(ストレージャー)に残った家財や金を入れておけば、盗まれる心配はないわけだ。かくして、失業者や孤児などがGランクの探索者(シーカー)として存在するし、探索者(シーカー)から冒険者(アドベンチャー)になっても、腕に覚えのある者、パーティメンバーが優秀な場合などには、講習を受けないこともあり、やはりGランクの冒険者(アドベンチャー)もいるわけだ。


 修了証書を持ってレストラン取調室へ報告に。有難いことに、まずは良くやったとお褒めの言葉をいただくが、ずっと気になっていたことをこちらから切り出して質問してみる。ギルドへの登録や講習の費用の支払いについてだ。


「ああ、それね。恩に着せちゃうのもどうかと思うから、分割で払ってもらおうかな。この店の従業員なんだから、給料から毎月天引きにしようか。店の2階奥の寮の部屋は使っていいし、まかないは出すから、生活には困らないよね。」

「旦那の言う通りでいいんじゃねえか?若いの。」


 タムラも賛成しているようだ。ちょっとホッとした。この世界の金の価値がどれくらいなのか、まだよく分からない。


「まあ、レイゾーさんもタムラさんも、そうおっしゃるのでしたら、ご厚意に甘えさせていただきます。ありがとうございます。」


 レイゾーが話を続ける。なんだかニヤけているが。


「これでクッキーは、もし一人になったとしても探索者(シーカー)冒険者(アドベンチャー)として食っていける。取調室の従業員としては、前にも言ったように食材を集めてもらうよ。

 その都度、必要な食材や、目的地は伝えるが、今は胡麻の調達先を探すことだね。近くのラビリンスで戦利品として入手できるかもしれないし、遠い場所で商人との取引によるのかもしれない。

 そのためにも探索者(シーカー)だけでなく冒険者(アドベンチャー)の講習も受けてもらったんだからね。ただ・・・。」

「ただ、なんですか?」

「それと並行して、クララの手伝いもやってもらおう。希少金属の鉱物探し。忘れてない?」

「忘れてません!」


 美しい女性のことですので、忘れませんとも。鉱石探しますよ。掘りますよ。


「ん、OK。探索、冒険での戦利品だけど、その鉱物と食材以外は、そっちで売ったり使ったり処分して構わないんだよ。それで収入が得られる。それから、パーティとしては、うちのAGI METALの所属にしておくよ。同じパーティメンバーになっていれば、魔法で居場所を探れるんだ。もしもの場合にそなえてね。クララとは一時的なチーム、レイドとして活動してね。」


 これで、今後どうすれば良いのか目的がハッキリした。やるべき事が分からないってのは、精神的に辛いものがある。当てもなく筋トレして走りこむしかない生活は嫌だよ。


「レイゾーさん。タムラさん。ひとまずは単独で南側のダンジョンに入ってみます。戦力にならずにレイドの足を引っ張るのは嫌ですから。講習の成果を確かめて、魔法のテストをしてきますよ。」


 いよいよ、この世界での活動開始だ。勢い良く店を飛び出しダンジョンへと向かった。




今回はストーリーが進んでないのですが、情報整理のために。

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