90.違う気が
異世界に来てどの位時が経ったのだろう。
え?誰だって?
ばーん。
メグミ・ヒイラギ
HP778/873 職業:愛人強者 料理人 農場管理者 階級:領主の愛人恋人強者、料理学校校長。料理人のカリスマ、複数工房経営者、実験農場責任者 冒険者階級:青銅級
状態:(普通)
力:結構強い
体力:結構ある
魔力:383
精神:普通
スキル:鑑定Lv:5.923
ユニークスキル:言語理解
:言語翻訳
思えば遠くへ来たもんだ。このステータス。意味をようやく理解しかけている気がする。数字で表せない理由。
比較対象が必要な上に相手の能力を数字化出来るかって聞かれたら。普通の人が出来るわけがない。
結局周りを理解し、強さの予測をし脳内補完した結果こうなったのだろう。
彼氏周辺と町の人や余所者を比較してなんとなくそういうふうに思った。
なんでHPと魔力が数値化できているのかはサッパリわからん。
え?そうじゃない?階級説明しろ?
学校ですか。料理人目指す人が異様に増えた結果、料理教室が人で溢れかえった。学校作ってあげるよ。彼氏の一言で学校作ってもらって元生徒さんに講師になってもらって私が校長に納まった。
複数工房経営者。私が物を作る度に製品化する事が決まった。量産化のための工房建てた。資金は彼氏持ち。
実験農場も彼氏がやりかけだったのを引き継いだ。というかあそこが一番食材の種類が豊富だったから行きまくって植物の世話をしていたらあげるよって言われてもらった。
料理長は?領内に人が溢れてて、求職者多いから譲ってあげた。
青銅級とはって。冒険者ランク。普通に単独でオークが狩れる。文字読める。計算出来る。で成れる。次は赤。今度は書ける。護衛依頼3回問題無し達成で成れる。護衛依頼は2回達成済み。、、、彼氏の護衛依頼で。
全部愛人パワー乙って。良いじゃん。特権だよ!
ミネーヴァに入れ知恵した件についてって
なんで知ってんの!
、、、あの件ね。知らなかったのよ。落ちぶれ元貴族って聞いてたから。
貴族なんてやらないほうが良い。令嬢でなくて清々してるって言ってたから騙された。
そう!私は騙された!なんで普通に公爵令嬢が冒険者で金級なのよ!会話が面倒になると拳で語れって殴りかかるのよ!意味がわからないじゃない!
公爵令嬢ってそういう人達なの?貴族の令嬢ってもっとこうおしとやかでお茶飲みながらオホホホとかやってるんじゃないの?
私も貴族にならないかって誘われた事があった。正確には人伝で人伝に断ったけど。予防線張っといて良かったわ。
で、この人は貴族に戻りたくない人だと思って、貴族ならない?って聞かれたらこう答えると良いよって言っちゃった。
彼女の仲間から事の顛末聞いて血の気が引いたわよ。
彼氏が膝から崩れ落ちたって。そうよね確実な勝ち戦と思っていたらまさかの完全敗北だったと。
速攻でヴィルさんに頭下げに行った。そうしたら『もう仕方の無いことです。ロイ様がそれで良いと仰った。それがこの領での決定です。』って。他の部下の人も同じような反応だし。フェイさんなんか良くやった!みたいな反応だったし。もう良いかなって。
本日の特別講義を終えて森に向う。本日の講義は暑かった。いや熱かったなあ。対象は一般希望生徒と漁師。なんかマッチョ度合いが多かった。
異世界かあ。異世界ってさあ。異世界だと思ってたんだあ。細マッチョの獣人にか細いエルフ。筋肉だるまの低身長ドワーフ。普通体型の人間。
漁師は地黒。日に焼けた肌。うん、仕事上そうなるのは分かる。網で漁をするから力もいる。筋肉の付く職業。解ってはいる。
男女問わずに獣人も、エルフも、ドワーフも、人間も。
なんで、、、黒光りマッチョなのよーーーーー!
異世界、異世界。物語じゃない。分かってる。わかってるけどイメージ通りのそういった光景が見たい!見たかった。
そういう気持ちを押し殺しての本日の講義。
彼氏に氷をいっぱい作ってもらって新鮮な魚を輸送してもらい魚の捌き方の講習。
刺し身の切り方や盛り方。アラ汁の作り方。寄生虫の説明。毒持ちの判別や種類。可食部位の説明。
普通の料理教室だよ?そう。普通の。刺し身に醤油。アラ汁に味噌や酒粕。
日本だよ。ああ、日本料理だよ。異世界感ぶち壊しだよ!
だから最近友人になった冒険者達との待ち合わせ場所である森にこうして向かっているのだ。
なんでって。その人達。獣人、エルフ、ドワーフ、人間の混成グループだから。
異世界成分補充したいんだよ!マッチョ成分はもう嫌なの!別に嫌いじゃないけど異世界成分ゼロのマッチョが頭から離れないのよ!
マッチョは次元を超える。
ようやく合流。うん。見た目は完璧。見た目はね。早速森に入り始める。
背には特有の武器っぽいもの。イメージ通り。
獣人。ナックルグローブ。
エルフ。大弓。
ドワーフ。大斧。
人間。大剣。
私は。ショートソードを腰にぶら下げている。
ただね。この領特有の追加武装も有るのよ。腰にボウガン。背に追加で籠と籠に引っ掛けられた数本の木槍。さらに手に木槍。首に笛。
なんだろう。木槍って。お前等原始人か!、、、私も木槍だけど。
ファンタジーぶち壊しだよ!武器使えよ!
ハイ出ました!オークちゃん。ファンタジーのモンスターの代名詞の一つ。
今日はオークちゃんに会いたかったんだ。あまりにも現実世界過ぎて。ましてやマッチョデイズとかで終了とか勘弁願いたい。
うん、イメージ通りの豚野郎。一匹だからはぐれだな。
速攻で散開。その後。木槍で代わる代わる突く殴る。うん。やっぱり馬鹿だわ。必ず攻撃された方に振り返る。
いつも通りに刺殺して終了。重いんでこの場で解体して残りは焼いて撤退。冒険終了。
うん。何体もオークを倒すとかってイメージ有る思うけど。この領の冒険者っていうか狩りのマナーなんだ。無駄な殺生意味有るか?食える物は持ち帰れ。それ以外は焼き捨てよ。ゴブリンなら倒して魔石抜いて残りは焼き払う。
何より食える肉を捨てるなんて勿体ない!!
それが領民の精神。
今日はゴブリン狩りって気分じゃなかったんだ。
異世界食材を食べたかったんだ。
今日のは本当に狩り。木槍使ってチクチクと。刺さるからには血管や急所を狙え、殴りつけろ。お高い鉄製の武器を使うなんて勿体ない。木槍で十分だろ?
ええ。本当に。武器は刃が通らなくなって初めて使うべきだと思ったわ。
ゴブリンをショートソードで倒した日の武器の手入れ。
ゴブリンの血がベトベトしていてしかも臭い。拭った布は焼却処分。面倒。
刃が欠けて研ぎに出した時の請求金額。
オークの首を跳ね飛ばして剣自体が駄目になって作り直しというより買い直しとなったあの日。お金貯めて折角買ったのに。絶望したね。
考えてみれば製鉄技術が低い世界で鉄製の武器を買う。小さいナイフで1万円位。たったあれだけの量の鉄を使って1万円。
最初に買った安物の解体用ナイフで5万円。
買おうとした安物のショートソードで150万円。
ただコレには裏技があって領民価格で紙幣払なら若干安くなるけどね。それでも100万越えた。
最初の武器。自分で稼いだお金を貯めて買った初めての異世界武器。あっという間の寿命だったわ。そもそも剣術って技術があるのに。
素人に毛が生えた程度の腕で生物の首を跳ね飛ばしたらそら折れるわ。
なんで皆いつまでも木槍なのかと思ったけど。使い捨て出来る。折れたら薪。買値も安い。
冒険者の先輩達が木槍で十分だろうって助言してくれてたけど。
買ったからには試し切りがしたい。結果は数度の冒険で駄目にしたと。
仲間達のあちゃ~みたいな表情。絶望する私。
木槍にしておけば良かったと。あれほど悔やんだ時はない。
今は剣を折ることなんてほとんど無いよ。出番少ないし。彼氏に良いの買ってもらったし。1000万位のやつ、、、
そういえば包丁はピンきりで1万から買えるけど私が持っている、というか特注した包丁セット。2000万円。勿論ポケットマネーで買ったわ。
誰のポケットかって?彼氏のポケットだけどさ、、、
そ、それに比べて木槍の値段。手軽さ。なんなら使い捨てで良い。
何より安全圏のアウトレンジからの集団フルボッコ。
領民が仲間って安心感があるから呼びかけて集めて突っ込むという手が使える。
武器は損耗品。壊れない武器はない。手入れは必要。維持費がかかる。維持費を減らすためには安い武器で十分。木槍だって立派な武器だ。
一応今回みたいにはぐれなんて珍しいから鉄製武器は使わなかったけど。
オーク集団が相手だったら牽制して木槍を使い捨て、鈍った所を鉄製武器でトドメがセオリー。その方が効率がいい。
今回の狩りは食べる分だけって言ってたから。みんな一匹で満足。さっさと帰って焼き肉で宴会。そういう事になってる。
オーク肉で焼き肉美味しいよね。
私の思っていた異世界ってこういう世界じゃないんだけどなあ。
私用が多くなり始めて投稿頻度たぶん落ちます。
というか落ちました。
不定期になります。すみません。
可能な限りがんばります。




