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88.もう一度聞く

久しぶりだな。

そうだヤンナートだ。ヤンナート伯爵だ!


息子のおかげとか事実は言わないで欲しいな。


子供はのびのび育てるべきと。


ああその通りだと思う。


だが、アレはのびのびなのか?好き勝手にやっているだけのような。







濡れ手に粟。うむ。海水塩。素晴らしい金づるである。というか関税をここまで露骨に利用するとは。


ロイから税金について調べて欲しいという要請。


官司が何処まで考えられるか。税金の対象になるのは何処からか。見極めてほしいと。


王様に献金は良いのに他は駄目なのか?


派閥内の貴族に献金してみる。


派閥内の貴族が困ってるからお金を融通します。


代わりに他の輸出物を融通してください。


コレには関税かけて良いですよ。


アレには関税かけないでください。


帳簿の見た目を複雑化させてみた。


試した結果いけたわ。


当然これを考えたのはランナート。なんなのあの子。派閥に提案一発許可って何者よ!

私お前の父親!そこまで派閥内で発言力持ってないぞ!



そういえば。領でも例の米が食える様になったんだ。

建前は失敗粉。領主家も責任を取るってやつ。


でもその前に発生した?いや塩利権の目くらましである新しいパン作成技術が広まっているから。柔らかいパンとコメが人気を二分しているな。


ああ、この技術があるならさっさと出せよ!って本気で思った。なんでも結構前に出来た技術だが。バーナでは麦が高すぎて需要が見込めず忘れていたと。


そうだな~。あそこ麦が馬鹿高いもんなあ。お前は自分さえ良ければそれで良いのかと聞いたら。普通そうですよねと。

こいつ子供まだいないしなあ。


ふと思い付く。

このパンの技術がもっと早く流れていたら。兄弟妹が喜んでくれたはずなのになあ。とボソリと言ってみた。


面白い。

自分はなんて事を!と地面に膝を付いて後悔している。

なんて気持ち良いんだ!自分の事だけを考えているからそうなる。







順風満帆。まさに当家の現状に相応しい言葉だ。


そう思っていた。ロイのところの領民プレートアレやるの?

派閥決定らしい。領民カードの普及を後々の為にこれからやっていこうとなった。

ああ。きっとコイツら簡単に考えてやがるな?絶対後悔するぞ!



以前私達がロイに頼まれた実験協力。私と王都にいる弟、伝令になった弟。ロイの兄ランナート。ロイの弟妹が協力した実験。

派閥の為にやっておくべきと。主流になる可能性があると。


血液刻印魔術。鑑定水晶を用いた判別は何処まで出来るのか。何処から精度が落ちるのか。


バーナでやったアレだろう。そんなん大したことないわ。


そう思っていました。最初は大した事無かったんだわ。

でもな。これ続けると地味に痛い。苦行かと思ったわ。


全員で血を入れた時の鑑定水晶の精度の確認。人を減らしてみる。入れ替えてみる。色々やった。


プレートの方はランナートも嫡男として付き合ってくれたが。結局どの主軸も私だから必ず私の血を使う。だから地味に痛いんだって!


ロイが笑顔でさらに紙幣の作り方を教えてくれた時は恐怖したわ!



その紙幣が先って!あれはアレで結構血を使うよな?こっちは知ってるんだぞ!

はあ?派閥俺殺す気?いや、やるよ?やるけどさ。


侯爵からの文。うん強制しよう。家族の痛みは共に分かち合うもの!


まず当然の脱落がロイと私の弟。私の弟は王都の仕事がと言いながら逃げ出し。次の弟が仕事で用がと去っていった。ロイは言わずもがな他家扱いだし。


ランナート?ギリギリまで付き合ってくれていたさ。彼にとってのぎりぎりな。派閥の使いが伝令で来て、いの一番に去っていったわ!


それを脱落と言って良いならアイツが一番最初だ!



使用人がゆっくりやりましょうねって。結局戻って来たランナートしか手伝ってくれないんだけど。しかもまたすぐ呼び出されてるし。


ランナート。頼むから派閥の仕事断ってくれ。いや、一生懸命断ろうとしている姿勢は感動する。このままでは父が苦しむって。泣けるじゃないか。

で?なんで最後仕方がないとあっさり諦めて去っていくんだ?


信じているよ。信じているけどさあ。なんか納得いかない。


結局は弟達に文を出し当主命令で銅貨用紙幣の製造を命じた。







バーナからその文が届けられた時。ふ~んって最初思ったさ。また何か始めるなと。

中身読む。目をこする。中身読む。頬を叩く。使用人に読み上げてもらう。間違いない。一応確認で妻にも読んでもらう。間違いない。


人体実験をしたいんで死刑囚買い取ります。査定は応相談。他犯罪者も人体実験の為に買います。金額はやっぱり応相談。出来れば元気なやつが良い。

特に腹捌いたりしても元気そうな人が良い。四肢切断程度で死なれちゃ困るんで生きの良いやつ程高価買取予定!


うん、何言ってんのコイツ。気が狂ってるわ。お前は婚約者諦めたんか!?



もう一通手紙が届いている。一応確認。

同志諸君宛。差出人はバーナ領司教。


嫌な予感がする。相変わらずの暗号文かよ。えっと今日は月がアレで差し出し日がこの日だから。


、、、はあ?いや。マジか。ヤバイ。ロイが聖人に見えてくる。


この手紙か?一応ロイの行動の事を正しく理解する為の教団と聞いている。そこからの会報だ。ロイには隠された目的があるとか。ちょっとカッコイイ。


バーナにしかない経典みたいなものもが存在する。

ランナートがロイの導き手?聖母ヴィアーヌ。

私?父親。うん貴族の父親だって。

暖かく家族を見守り守ってきたと。良い話なんだけど。なんだろう。聖父とかないんかな。



嫌な予感どころか正に聖人じゃないか!これが本当なら、、、


思い出す。ロイの行動と習性。


うん。ないな。


だが会報を読みすすめると辻褄が合う。


クソ!行動と建前。目的や達成した場合の結果が辻褄とあっている。


これが狂信者の力。こじつけ辻褄合わせ。



でもなあ。これで婚約者探し絶望的にならんかな。人体実験の為に人を買うなんて。

一応早急で犯罪者を選定して送るけどさあ。







残虐領主ねえ。どうなるのかね。


なんだろう。

何度書いてもこれじゃない感が強い。

後日書きなおそう。

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