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おかしいと思ったわ!


ああ、私はこの国の第二王子をしている。

私が今何をしているかって?なんだ、その、文官見習いをしている。


王宮で文官見習い?王子が?

いや、その分かるだろう?バーナだよ。例の鬼畜領主と名高い。



弟がやらかして過激派の派閥に喧嘩を売ってしまってね。彼等の怒りをかったわけだ。当然私は無関係だ!とは言ってみたものの。王族だし兄ではなく自分が王になった時にその派閥の後ろ盾が無いととか王にならずとも、このまましこりを残したままだといずれマズイ事になるのは明白だ。という訳で留学、友誼の為にバーナで学んで来いと王命が出たんだ。平民として潜入せよと。国王の別荘を貸してくれるらしい。母上も潜入済みとのこと。


『なあ、私はまだまだ未熟。王たる器がない事を実感した。だからお前が王をやらないか?』


留学を先に終えた兄上が遠い目をして私にそう言った。なんか怪しい。私を罠に嵌める気なのだろうか。


『いえいえ、私など。兄上の能力に遠く及びません。何を弱気な。』


だって別に本気で王になりたいわけじゃないし。精々宰相にでも年食ってからなれたら良いかな位しか考えていなかったし。ちょっと今迄兄上をからかい過ぎたかな。


『そんな事は無い!お前なら十分やっていける。私が陰ながら補佐するから!』


なんだ。つうかなんて力で肩掴んでくるんだよ!痛いって!

兄上の側近が兄上を抑える。

と、とにかく私は留学を控えているんだ。


相手はあの超過激派閥の中枢、鬼畜領主と名高い男なのだぞ!

最近不安でパンが喉を通らない位なんだ。大丈夫だろうか。






「母上、そのココが。潜入先の屋敷ですか。」

なんともこじんまりとした屋敷だ。ほんとに平民として潜入するのだな。

というかこの都市おかしい。

何がってもう。色々おかしいんだ。放牧地は有名だから分かる。この領都の規模と隣町と呼ばれる都市。もうくっつきそうな勢いではないか。

そしてあの意味不明な石の橋。その橋からこの家に何かが接続されている。


先ず入り口に入って靴を脱ぐ?ああ、家靴に履き替える。なんとも不安な靴だな。かかとがない。何故か自慢げに家を案内される。


幾つかの個室、わかったよ。はいはい。自慢したいのはコレか。最新式のトイレ。そして風呂付きだ。

とりあえず臭いから風呂に入れと言われ。風呂に突っ込まれる。シャワー付き。紐を引っ張る。石鹸が3種類と壺?なんだこれ。あのー母上~。ふむふむ。

というかかなり広い風呂だな、木製の。なんでも改装したらしい。


え?二階が私の個室。へえ、机とベッド本棚と小さいながらもクローゼット。狭い部屋だし。それ位か。いや平民ならコレくらいで十分、ソファーが欲しかったが仕方がない。


母に呼ばれ。縁側という所に腰掛ける。父上のお気に入りの場所?ああ、綺麗に整備された庭ですね。はあああ?父上が弄ってる?え、ああ、まあ趣味は人それぞれですし。


え?母上が作るのですか?いや、私はパンでも買いに。平民は親が作ったものを食べる。外食なんて月に数回。それは嘘ですね。冒険者など毎日外食で。

はい、、、はい、、、たいへん申し訳ございませんでした。


「母上は宮廷料理人になれます!」

母上が作った料理は庶民の食事だそうだ。うん、嘘。王宮より美味いなんておかしい。え?この程度で驚いていたら即バレる。


それは困ります。身バレするのは最後。もしくは王宮に来た時。その時に身を明かし友誼を。その方がかっこいいではないですか。


しかし、これほどの料理がこの領ではコレが普通。ですか。







「「「はっはっは~。かんぱ~い」」」

仕事上がりの飯さいこ~。母上は昨日から側室の人達と釣りに行った。

「兄さん。分かります?仕事上がりの酒!飯さいこ~」

同僚と飲む酒は美味い!そして飯!美味い!


「長兄もすっごい馴染んでたんだけど。留学終えて帰っちゃった。」

そう。平民で派閥内の留学。それが建前。派閥内で結構来ているらしい。この集まりも実は学園で同期や近い学年だった者達でもある。黙ってもらって申し訳ないとおごることにしたのだ。


開発中の工房。施設、制作、領法。税法から何から何まで。よくこんな事を思い付くものだと感心される。試しては繰り返す。領法だって既に改訂版が100を越えているという。

「母上が言ってたんだ。本物の貴族を一度見たほうが良いって。」



領民プレート作成。私は平民潜入の為。他の平民と共におこなったのだが。この領に到着した翌日早速作りに行った。名だけだろう?甘く見ていた。

違う。一人一人に血と名を名乗らせ宣誓させるのだ。そして領主が血を垂らし。一人一人と確認作業。

笑顔で迎い入れられる。固く温かい握手と微笑み。



隷属契約かとも思えた。だが一連の説明。感涙する平民達。そうだよなあ。貴族がこの領の民であることを認める。他領に出向いて取り調べを受けたとしても必ず問い合わせがまずおこなわれ。身元の保証がされるのだ。

そして家。領主への借金。物価。紙幣。銀行。待機所。仕事の自由。



貴族としての発言も間違っていない。敬え、跪け、我を讃えよ。税を納めよ。

よくいる貴族の発言だ。秘匿情報にて色々と情報に制限をかけ民を守る。

完成される鬼畜領主。文字通りに鬼畜領主ではないか。



家臣が集める情報収集の速さ。伝達。申し送り。完全な余所者への警戒。

絶対に領民を守るという意思。






そしてあの行動。役人として案内役をした時に壁に立って見ていて思ったのだ。アレを平然とやっていると。針に深く指を刺す。プレートに垂らし。回復。指を拭いて笑顔で握手。何度もやる日があるという。


家に帰って自分でもやってみた。笑顔を意識して。深く針に指を刺す!自分のプレートに垂らす。回復!痛い。傷は治っているが痛いのだ。

母上が父は12回で笑顔が消えた。兄は7回で断念。そうだよなあ。コレ。回復するけど小さい傷だけど。痛いよなあ。


人口は15000を超える。その全ての領民がこのプレートを所持し、例の儀式を行っていたらしい。頭がイカれている。その人数分の儀式を行ってきたのだろう。


『クソ!今日のも駄目だった!』

向こうで飲んでいた。異種族バラバラな集団が荒れている。なんでも例の儀式の代用品を仕事の合間に研究しているらしい。


『私は恩返しも出来ないのか!!』

酒場が凍る。ハッとしたようにその仲間が頭を下げて彼を抑え込んだ。そうか、暗黙の了解なのかあの儀式は。


「あれが本物の貴族。あれが、、、」

弟の言葉がつまった。思うところでもあるのだろう。兄と私は入れ替わりでこの地に来た。弟はその間もずっと働いていた。色々見ているのだろう。

弟が首をふる。


「すまねえ皆!今日は無礼講でアニキの奢りだろう?楽しく飲もうぜ!領主様も言っていたじゃねえか。飲む時は楽しく!喧嘩はしない。嫌なことは忘れて楽しい話だけをする事を心がける!ってな!」

払うよ。払うけどさあ。手加減してくれよ?






この領は不思議だ。ちょっとした仕事の付添と休暇で同僚とやった釣りの帰り。牛車に揺られながら最後の休憩施設を目指す。

あの貴族、いや、領主と領民のやり取りがおかしい。

俺、貴族跪け!に対して領民の行動。慌てて祈りの姿勢を解いて跪くのだ。

なぜ最初が祈りの姿勢なんだよ!という領主の叫びに部下も領民も笑っている。領主も仕方ないなあなんて言いながら笑っていた。



母上の手料理。自分も最近手伝い始めた。結構楽しい。二人で準備している時にレバニラの話になる。ただでさえ例の儀式や紙幣の件で苦しんでいるのにあのクソマズイ増血剤は可哀想と愛人や部下達が開発したらしい。


領民も血が増えそうな料理開発をやっていると。で、試作品を教わったから今晩試そうと材料を持ってきたと。コレ本当に食べられるんですか?


これって家畜の腸じゃあ、、、

え?塩をそんなに。海水塩だから安いですもんね。はあ、え?揉みまくれと!


はあはあ、あと何回ですか?そろそろ良い?何度塩をまぶし揉んで洗ってを繰り返したことか。はあ。


え、料理の先生の開発中料理。コレが。


母上はタレというものを作っていた。醤油を基本に。果物野菜香草をすりおろしたり細かく切っては混ぜていた。

ご飯も炊きあがり。早速試食だ。



縁側の庭の部分にテーブル。レンガで組み上げた窯に薪を入れ火を付ける。上に鉄板。そしてテーブルの上に置かれた。例の腸。


「いい?じっくり焼くのよ。油いっぱい出るらしいから。」

「あの、ちなみに母上?どうやってコレ食べたら血が増えた証明になるのですか?」

「身体が元気になったらとか、力がこみ上げるとか。魔力が漲るでも可。」

そうですか。いえ、文句はありません。しかし、、、

鉄板の上で焼ける匂い。ちょっと臭い。母上がその上からタレを少し掛け回す。途端に立ち上る腹を刺激する暴力的な香り。

ヤバイ腹が減っているのに更に腹が減る。もう良いだろうか?もう良いよね?食べますよ?食べちゃいますよ?


「美味い!!!」

これは美味い。その料理の先生天才ではなかろうか!腸も美味いが何よりこのタレが旨さをさらに引き出している。タレを付け米の上にのせる。一口で!

「うまああああああああい!」


本当に美味い。くにゅくにゅこりこり、舌の上でとろける油とタレの甘み。母上も私の姿に笑いながら食べている。なんだろう。すごく落ち着く。ここに兄達も、それこそ父上がいたらいいのに。


「ねえ。どう思った。この領。」

食後そのまま庭でお茶をしている時だった。

「え、あ。はい。、、、あの当主。いえ。あの領主含めた家臣団一同が本物の貴族のあり方と思いました。」

「そう、でもねえ。あの家問題があって。」

「はあ。」

「協力して欲しいのよ。私時間無くて逃げられちゃって。」


ん?何を言い出してるんだ?

「ここの当主。婚約者いないのよ。決してモテなくは無いのよ?ただ結婚となると。お見合いも釣書で門前払い。結婚相手がいないの!」


えーっと。はあ。鬼畜領主と名高いですからなあ。ああ、跡継ぎ問題か。

「後宮でとっかえひっかえに捕まえようとしては話をしたら逃げられ。更には仕方がないと縄で縛って誘拐しようとしたんだけど。」


、、、普通にそれは無理です。王宮から出れるわけがありません。

「こっちに来るから仕事とかで忙しかったから、捕獲までの時間があんまり取れなかったのよ!申し訳ないわ。帰省を優先して諦めてしまって。」


あ~。なるほど。母上は領主の結婚その家の存続を自分の帰省とで秤にかけて帰省をとったと。ん?帰省?

「だからお願い!捕まえて来て!秘匿事項伏せたままだと逃げられちゃうのよ!新作料理も食べさせてあげたでしょう?」


まあまあ、母上落ち着いてくだされ。ふむ。情報の秘匿。開示できない情報。普通に考えるなら無理ですね。鬼畜領主の元へ嫁げ。嫌がらせだよなあ。俺最低な兄じゃん。うわ~。無理っぽい。

あれ?別にいいか。それを理由に王に成れないような悪評立ってもここに来ればいいし。


でもなあ。ココから出たくねえなあ。普通に稼げるし生活困らないし。仕事も困らない。釣りは出来るし。銭湯ってデッカイ風呂で皆と話しながら浸かるのも良かった。ああ、次はダンジョン視察の付添だったはずだ。そういえば子供達と狩りに行って焼き肉パーティーしようぜなんて弟が言ってたな。


「嫌でござる!」

ああん!と胸ぐらを掴まれた。しまったフェイ殿の口癖がついでてしまった。

「だが断る!あと一月留学延長してくれたら考えるでござる!」


言ってしまった!やってしまった。

久々の母上の拳骨を食らった。

連れてくるのを考えるではなく確実に実行しろと。

それなら策を考える事を理由に延長を父上に申請しといてやると。


甘いでござるな兄上!こうやって延長とはもぎ取るものです!

え?策?ここ超過激派閥の一員でしょう?力ずくで私が!そう私が!連れてきます。好みの容姿とかあります?


え妹達の意思?そんなの不要ですよ。母上だって誘拐しようとしてたじゃないですか。そもそも王族ですよ?強力な貴族との友誼のための嫁入りは王家の者としての義務!


父上の後ろ盾、しかも当主への嫁入りに何が不満だって言うのだ?貴様王族としての義務を忘れたか!


って感じでいこうかと。

しばらく考える母上。それもそうか汚名をかぶるのは次男だしと。


そうですそうです。危ない、兄上にしてやられるところだった。王様なんてやっていられるか!王にならないかなんておかしいと思ったんだ。

ところで兄上には頼んで無いですよね?


え?頼んだが物凄く困っていた。私の様にそこまで考えついていない。






母上。先程の言葉取り消します。延長せず今直ぐ王宮へ向かい妹をふん縛って来ます!


なんど読み返しても文章がおかしい。

直すとさらにおかしくなります。


思いつきで書くとこんなものです。

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