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79.水晶

我等の派閥は過激らしい。


そうなんかね?王様って偉いでしょ?言うこと聞けって普通じゃないか?

貴族の頭なんだから当然だよな?


まあそんな事はどうでも良い。


儂らの派閥内にダンジョン所有している領は3家。ロイ殿の領を含めれば4家。

でだ。今後必要になるであろう鑑定の水晶。


これ基本ダンジョン産。うちの領もダンジョンあるから当然手に入る。

実はこれすっごく安い。理由?


ああ、何ていうのかな。浅い層で獲得出来るから簡単に手に入るんだ。ただなあ。魔石の出来損ない扱いでな。赤だったり青だったり色んなの出るんだけど。魔力もほとんど入ってない。せめて透明だったら良かったのに。クズ同然。え?鑑定水晶として人気あるだろうって?


前提条件で刻印式魔術を施した台座等が必要。

で、鑑定出来るのは精々悪意とか悪い事したかとか嘘言ってないかとかの微妙な感情の流れ程度。

商業ギルドや冒険者ギルド。領の出入りとかで使えるだろうって?まあ何かの方法の刻印術式でそれは出来ているみたいだけど細かくは照合出来ないっぽいんだよね。


それにそこまで需要あると思う?その程度の品を。皆持つ?刻印術式が彫り込まれた台座もって歩く?そこまでしているそれ?






って感じだったんだけど。派閥内で需要高まるのが決定した。もう買い占め始めてるんだわ。優先的に派閥内でやりくりしてる。


やっぱり天才だわ。なんか自分の血を混ぜてちょっといじるだけとか言ってたけど。あの歳で古代魔術の刻印式改造するなんてな。ほんとスゴイワ。


「旦那様。準備が整っております。」

いや~凄いよね。これ。この刻印術の入った台座。見てコレ。こんなんで鑑定出来るんだよ?凄いよね。

「全て準備が整っております。後は旦那様の血液だけです。」


いや~綺麗だな。この水晶。赤だよ赤。ほら、青も有る。っておい、腕を掴むな!足を持ち上げるな!儂当主!貴族様だぞ!偉いんだぞ!言うこと聞け!


「旦那様が言い出したことでしょうが。」

そうだけど!そうなんだけど!!!





で連れてこられた秘密裏に製作した部屋。中にあるのはなんかの木製の板。コロコロ回る棒。箱に入った砕いた魔石。瓶に入った特殊な液体。そして小さなワイン樽。

ワイン飲もうかって。んなわけ無いよね~。覗き込む。空っぽ。そして台の上に置かれた。針。というか管。ハッキリ言えば空洞のあるデカイ針。それなりに太い気がする。そして切先。鋭い。

部下が洗浄と浄化の魔法をかける。


絶対痛いやつ。コレ絶対痛いやつ!

腕をまくって樽の上に腕を持ってくる。部下がライトの魔法で腕の血管がよく見えるようにしてくれる。使用人達が私の身体を支える準備をしている。

血を抜くんだからな。抜きすぎると倒れるらしい。

そこまでしないよ。え?多ければ多いほどいっぱい作れる?


そんな事は分かっている!や、やるぞ!本当にやるからな!針を受け取る。


痛ってええええええええ!!


一瞬そう思ったがそこまで痛いわけでもなかった。ジクジク刺さったところが痛い位だ。

樽をみる。儂の血がピューっと入っていく。自分の血。そこに部下達が例の粉と液体を入れかき混ぜる。色が変わる。どんどん流れ出る血。変わる液体。


ふいにクラリと身体から力が抜けた。というか力が入らない。使用人が身体を支え。針を抜き部下が回復してくれる。


インクは出来たらしい。しっかりと革をかぶせて縛っている。

今日はもう無理。

よくあの子こんな事思いついたな。





ベッドから起き上がる。目の前に粥。血に良いとされる葉っぱ類。増血剤。

そして部下からの忠言。

「溶ける破ける可能性も否定できないのでしょう?幸い、判板全種類送られてきています。まずは価値の安い銅貨分辺りから制作された方がよろしいかと。」


クソ!あの悪魔め。絶対こうなること分かってて全種類送ってきたな。ああ、やってやるさ!さっさと銀行作るぞ!このままでは死んでしまう。そうだその前に息子呼んどこう。最近歳のせいか体調悪いしそろそろ引退したいんだよね。






なんて奴らもいるんだろうな。ああ、ヴィル父だ。今?今紙幣製作中だ。で、例の鑑定魔道具の血液刻印魔術。あれ何人登録出来る?とロイに聞いてみた。


なるほどのう。試したら同じ血族なら5名まではいける事は親の家で実験確認が取れたとそれ以降になると精度が落ちる。紙幣の価値や偽造、内部分裂を考えるなら止めたほうが良いと。


親とか親戚とか実家を実験台に既にしていたというのもどうかと思うが。絶対わざと黙っておったな。嬉しそうに技術提供してきた辺り仲間が増えるとでも思っておったのだろう。現にその話を出した時、苦虫を噛み潰したような表情をしよった。


仲間だよ。仲間だけどさあ。ロイには申し訳ないがロイの家はロイ一人。他の家には仲間がいるわけだ。使える者は使って何が悪い!


ふん。当然弟達と嫡男ふん付かまえたわ。弟達に銅貨用を。嫡男に銀貨分。儂が金貨分。これでいけるじゃないか。


まったく少しは頭を使えば良いものを。金貨の両替用だけ儂の血のみに判別できるようにすれば高額偽造の心配もない。銀行も早速施行した。あんなもん既存の役所使ってやらせれば良いのだ。文官大量に雇ったし。領民証明書使うだけだし。


外貨の溜め込みは早いほうが良い。それに為替レート操作方式。さっさと導入せんと。派閥に文を直ぐに送るか。派閥一丸とならねば。他派閥にここで一気に差を付ける。


あん?息子が兄弟喧嘩?え?今更継承権変えろって?弟の方が優秀、兄がって三人で殴り合い?

紙幣の時は覚悟を決めたみたいに、、、領民カード。気付かれただと!マズイ。と、とりあえず三人とも呼べ!


今度はなんだ!はあ?私の弟達が?爵位返上するからもう勘弁してくれだと!今更取消せんわ!え?他の兄弟が名誉いらないからただの代官で?ただの文官や武官でも良い?貴族怖いって。名誉も外せんわ!何を今更本当に。


「旦那様。その、貴族って大変なのですね。」

ああ、だから貴族だ。



なあ。なんで最近親族全員静かになったんだ?え?継承権いらない。平民にしてくれという嘆願書が届いた?子供達も怯えている?いつ引張りだされるかという恐怖に耐えられない?






お主ら!貴族としての矜持はどこに行ったんだよ!


適当なこじつけです。

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