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77.王宮より

王宮内国王執務室。


王妃が、側妃を2人連れて入ってきた。


「ただいま。あなた」


うん、すっごく嫌そう。

王妃は分かる、側妃まで嫌そう。

「お料理教室で次はパウンドケーキという物を習うはずでしたのに。」

、、、すまん。

「今度こそ主を釣り上げようと思ってましたのに。」

つ、釣りに走ったのか?


慣れ過ぎじゃねえか?確かに王妃と一番仲が良い二人が試験的に行ったのに。永住先として満喫してねえか?まだ退位俺してないのに。隠居先でしょうとか、なんで隠居先から出向いてこないと行けないのかとか。早く帰りたいとか。ぶちぶち言い始めた。


王妃が絶対味方に引き入れやがったな。くそう。俺もバーナの領都でお茶飲んで縁側でゆっくりしたい。





「呼んだ理由はわかっているんだろう?仕事しろ。」

もうぶっちゃけていうもんね。遠回し?するわけねえだろ。はっきり言ったるわ。儂は当然現役だが、お前等も現役なの!公務しろ!


「あなた、最近私調子が悪くて。現役を引退しようかと。」

「わたしも最近頭痛が激しくて現役を引退しようかと。」

「私は、最近調子が良いけど王都に来たとたん不調になったんで呪われてるのかも。だから静養の為に数十年ほど王都を離れようかと。」


、、、何がそれだ!っだこのクソババア共。いや、ばばあじゃないよ?


「ロイ殿も言っているだろう。貴族とは責務を果たしてこその」

「「「貴族辞めるわ」」」


そんな笑顔で言われても。後継者とか色々支障が。


「教わった通りだわ。優秀な領主の領地の平民の方が幸せ。金持ちならなお可。」

「貴族の矜持責任ノーセンキュー。私は自由に生きる。」

「権力欲って何?名誉って何?美味しいの?私は米酒と干物を焼いたものの方が美味しいと思うんだけど。」


ナニソレ絶対美味いやつやん。じゃなくて。今日の話は実は本題はそこではない。


「まずは後継者筆頭の第一王子、そして第二王子をバーナに留学させようか悩んでいる。第三王子は、その派閥と揉めたからなあ。しばらく謹慎。おそらく継承はもう無理だろう。」


「大丈夫です。息子は首輪を付けて隠居地で領に幽閉します。なんなら今から連れていきます。」


側妃がコレ幸いと直ぐに動こうとするのを止める。

問題は。息子達が儂の命令で行ったとして素直に学んでくるか?隠居地だ保養地だで済むか。暴れて第三王子みたいにならないか。きちんと王族として国の頭として学んでこれるか?最大の問題は。


「なんて考えてますわよきっと。そんなの決まってるじゃない。他の派閥当主と同じく嫡男と当主の引退阻止、後継まだ早い、さっさと引き継げ戦争の勃発ですわ。うちの場合追加で王の継承譲り合いの追加で三つ巴ですわね。」

「そんな事よりも早く王女の確保に向かわねば。ロイ様が、というか家臣の方が困ってらしたわ。恩を売っておくチャンスです。何かあったときに新作を回してくれる可能性がありますわ。」

「さっさと仕事終わらせて、王女捕まえて。こんな臭い所おさらばですわ。」



い、いやあ。そうな。そうなるわな。これでもたぶん水洗トイレの導入で多少はマシになったはずなんだけどな。

三人がはしゃいだまま。儂の事無視していってしまった。

もういいんだが。はあ。






バーナで当主のロイ殿と縁側で何度かお茶を飲んだことがあった。元はロイ殿設計でかなりの自信作の隠れ家だったらしい。とても心安らぐ設計だと言ったら。涙目で肯いていた。うんエマ殿が押し通したんだな。

その中でヒントを見つけた。ロイ殿との会話からなのだが。

「領主って国王と同じって言ったら不遜だろうけど。やっぱり領内の最高権力者なわけで。こうしたいああしたい。こっちの言うこと聞いてあげたいでもこっちの言うことも聞いてあげたいって事が多々あるわけじゃないですかあ。」


そうなのだ。すっごい胃が痛くなる話。


「そもそも僕が実験したくて作った領地に何を遠慮する必要があるの?俺がトップ!俺の言うこと聞け!聞いてほしくても相手と内容がかぶったら俺が納得出来た方の事だけの話を掬ってやる!ってブチ切れちゃった。」


そうなんだよなあ。かぶるんだよ。でもそれが出来るのはこの領地の領主ロイ殿の如く絶対一番って力持ってないと。儂みたいに部下に御機嫌取らないと、、、ってあれ?儂もしかして既に王宮内、王都でその力つけてるんじゃ?


「ある時聞かれたんだよねえ。10人と100人ならロイ様はどちらを救いますかって。呆れて何も言えなくなりそうになったよ。」


辛辣な質問だな。


「だってそうでしょう?そんなの馬鹿な貴族でも答えられるわ。ただの10人と100人なら当然100人。男女10人と男100人なら男女10人。逆も同じ。貴族なら即答えられるわ。そんな事もわからないんかねえ。」


いやいや、は?え~っと。ああ、そういう事か。貴族なら未来のありそうな方をとって弱者を切り捨てるのが常。そういう無常を平然ととってこそ為政者と。

ロイ殿の執務、領主館のヴィル達の仕事の見学をさせてもらった。



信頼関係、忠義。本物の貴族。本物の領主。本物の為政者。本物の家臣。そこには全てがあった。民を困らせないよう。身を削る本物の領主。その領主の負担を削ろうと必死に走り回る家臣。


ヴィルはすごかった。ロイ殿があそこ見に行こうかなと言えば事細かに情報を伝え。視察が必要ですか?とロイ殿に聞けば、知りたい事は知れたからもう良いと言っていた。ロイ殿の表情は少し嬉しそうだった。その表情を見てやり遂げたという表情のヴィル。


もうね。何ていうの。ロイ殿と家臣一人一人の会話がもうカッコイイんだ。遠回しではある。でも言葉の遠回しじゃなくて結果とついでの情報の話。全て意味がある内容。


王宮の遠回しは、長々と言葉の飾りを飾りあげた後の結論。無駄じゃん。カッコ良さそうに仕事出来ているように見せかけを頑張ってるだけじゃないか。


本気で羨ましい主従関係だったわ。

当主がおかしいから。当主がそこまでやるのに自分は諦めて良いのかと。

フェイという護衛が言っていた。


偶然だった。ロイ殿が例の執務を終え。私はフェイと少し内部の事を聞いたあと部屋を出るとヴィルが壁を殴っていた。フェイが言うにはたまにこういう事があると。魔道具の開発が遅々として進まない。ロイ殿の血でなければならない方法を減らす。痛い思いをもうさせたくない。資金を投入せずとも領民が必死で探していると。支援もしている。でも見つからない。今回も駄目だったのだろうと。

出来たって驚かせたいんでござろう。喜んでもらいたいんでござろうな。



忠臣ってこういう者の事を言うんじゃないか?そこまで思わせるのが当主ではないのか?自分の時を思い出してみよう。

いたずら心では無かったとは言わない。ワクワクしながらやった。彼はどうだったろうか。

躊躇せず針に指を深く刺し、血を流しプレートに垂らして回復後きれいな手で私と笑顔で握手した。


人口。その全て。

家に帰って針に指を突き刺す。血がプレートに落ちる位出るまで。ようやく出た。

王妃が心配して回復してくれる。もう一度頼む。また突き刺す。回復。妻も気付いたらしい。8度目。こんな事程度で、、、15回目。痛くてもう、、、

妻に肝心な事を聞いた。私は何度目まで笑顔でいれた?と。12回目までは、と。


これは部下も下手したら領民も試しているな。馬鹿げた自傷行為。自己満足と言えばそれで済むだろう。

しかし、確実に領民に安心を与える為にその手法を使い続ける。他の手法が出来るか探し続けながら。



ああ。その後。派閥の当主達も気付いたのか知ったらしい。例の血判技術そっくりだと。儂は何も言わん。知らん。そういう態度を決め込み。会議を眺めておった。

結論。バーナ方式の領主によるプレート作成は断念。領紙幣は段階を踏むという事の提案をロイ殿に言われ、まず金貨の交換から始めるようだ。

技術はさほど難しくはない。ちょっとした気付きと。本気の覚悟が必要なだけ。最低でも紙幣から始めねばと。領民プレートは時期領主世代でと。あ、現当主(コイツ)ら逃げたと本気で思った。

いや。紙幣の技術ってだってやばいよ?あれ狂気なんてレベルじゃないよ?領主の事本当に人だと思ってんのって言いかけて。実際にやってるロイ殿見て黙る。

サバートが耳元で囁いた。『それが貴族の仕事だそうです』と。






さてどうしてくれようか。幸いロイ殿が国王への献金というお小遣いアップの約束してくれたし。派閥が軍人や文官の勧誘で狩りに来てるし。

派閥の為に追い風を作らねば儂ってただのお荷物じゃん。

やるっていったのよ。後ろ盾を守ると。守れずとも優位に動けるように仕掛けると。

ロイ殿はバレたら愚策。バレても笑われるような内容でも本質に気付かないトラップは多々あると。


王国に届く税収から調べる。どの位階(いかい)のものが何処まで納めているか。通常どの位なら納められるか。多めに納めた場合の利点と釣り合うのか。


ああ、なるほど。見た目がこうなる。王宮から監査が来た所で価値があるものが王宮とは別のその地域土地で見合うものとは限らない。

なるほどのう。ならば派閥連中がいずれ気にするであろうことに今から仕掛け仕込むのが儂の仕事。






ああ、ロイ殿言っておったな。学園て意味あんの?負け惜しみじゃないよ?

家庭教師雇える貴族にとって入学試験と卒業試験同じって意味あんの?

兄がアッサリ結婚したからって僻んでるわけじゃないよ?

そういう意味の学校である事も知ってる。

ねえそれって集団お見合い生活と何処が違うの?

そもそも主軸ってどっちなんだよ!


ああ、あれなあ。マジいらんわ。むしろバーナの学校形態で十分だわ。読み書き計算までは無料。それ以上は有料。金がなくても追加でやりたい事への情熱があれば、試験クリアと成績次第で領から補助金。生活に必要な事知ったらもう良くね?追加で技術欲しけりゃ金だしな。無えだと!なめてんのか。こちとら開発費にいくら掛かったと思ってんだ。仕方ねえ借金で教えてやる。ココに拇印をな。


ってかんじ。うん腐っても過激派閥の一員だわ。まあ。そんなんで。仕掛けてみますかね。


魔法ネタが思いつきません。

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