表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/150

75.貴族ですか

「姐さん!なんすかココ!最高じゃないっすか!」


ああ、仲間は裏切れない。元仲間も裏切りたくなかったんだ。


接触禁止を緩めて貰い絶対こちらに引き入れてみせると約束して勧誘した。







領主の誘いが酷くて自由に調べられない。領民になっても特に困る事も無いからお前達も領民の手続きをして私の代わりに見て回って貰えないだろうか?と勧誘した。嘘を言ったつもりもない。


フェイ殿に声を簡単にかけられたのも、かなり頻繁に領主が私の元を尋ねてくるのだ。


欲しい服は無いかとか。食事でも一緒にどうだとか。家を見に行くと言えば別荘を貸してやると別荘巡りをした。


愛人でメグミと名乗る女性も一緒に来ることがある。


その女性の勧誘もしつこい。


領主がいない時でも平然と近づいてきて愛人の勧誘を始める。


やれ、金の不安が無くなる。屋敷が貰える。部下の人が色々気にかけてくれる。色々街の人が優遇してくれる。思ったよりも自由だ。というかだいぶ自由にさせてくれる。


恋人ごっこの延長と思えばいい。寂しいと思って連絡すると直ぐに来てくれる。工房を建ててもらった事もある。やりたい事を支援してくれる。


最初この娘も頭がおかしいと思ったが。なるほどまだ自分一人で支えているから増えればもっと自由な時間が得られると考えたのだろう。







「しっかし、この領凄いですね。なんというかこのプレート持ってるだけで雰囲気がガラッと。世界がまるっと変わった。」


「そうですね。その、酷い領主かと思いましたが。こんなに簡単に領民になれるとは。家も簡単に買えるし。というか冒険者で領の保証が貰えるなんて。」


「姐さんなんかしてくれたんですか?なんか凄い笑顔で迎え入れられたんですが。その、警備兵の人も色々謝ってくれたし。姐さんがなんかしてくれたんならちょっとその。申し訳ないと」


「姐さんがそんな事をしていないのは仕組みを見れば分かるだろう。領法。完全に裏をかいた正攻法。秘匿で文字を伏せれば文字通りの鬼畜領主。そして王への献金。経済力の偽装。、、、こんな貴族がいるんですね。」


仲間も賞賛しているな。そうだな。秘匿を伏せ文字通りの事実を伝えれば鬼畜領主が完成するではないか。


「これが本物の貴族。貴族の矜持。」


そう言えば愛人殿が言っていたな。そんな簡単に愛人に屋敷に工房にと金を使うなどと苦言すれば。彼女は不思議そうに貴族が金を溜め込んでどうするんですか?理由を付けて民に仕事を与えた方がみんな幸せになるじゃないですかと。


貴族が公共事業とやらをする建前に丁度いいではないかと。


そうだ。私はそんな遠回しな会話、建前が嫌いでその社交界から逃げ出した。意地でも拳で語ってやると。


だがここの貴族達はどうだ。領主はどうだ。正攻法で堂々と領民の為に抜道を見つけ出し。貴族としての建前を見つけ国と渡り合っているではないか!


何が拳だ。貴族として生まれた癖に。貴族の生活を享受しておきながら私は本当の意味で貴族の矜持を放り出し逃げ出したのだ。


何が領民を害する悪徳領主を誅するだ。貴族の戦いとはこういう事じゃないか!本音と建前。


領民プレートを見つめる。この領の人口は15000を既に越えているらしい。その全ての者にこのプレートを与え、迎えると宣言する。しっかりと相手をみて笑顔で手を取り。領主自身が仲間だと言う。


絶対に認めたのが領主本人だと。間違いなく領主が認めたと分かるような魔道具まで作り上げて血を使い一人一人と向き合ってきた。


そんな貴族いたのか?知らないだけで皆そうやって戦って来たのか。悔しい。私は貴族ですら無かった。矜持すら持ち合わせていなかった。何が高位貴族の令嬢だ!


フェイ殿が生暖かい目で見るわけだ。お遊びで潜入ごっこですかと。たかが貴族かぶれ風情がと。本物の貴族を見れば、知れば恥ずかしくなるぞと。



「そう言えば食堂で孤児の子と話をしたんだ。一人で生活してるらしい。寂しくないかって聞いたら。寂しくない仲間がいっぱいいる。それに私は孤児じゃない!税金をきちんと納めている領民だ。領主様が立派な領民だ。そう言ったんだ。次に孤児なんて言ったら仲間でも怒っちゃうからねって。笑いながら。」


孤児だから可哀想なのではない。一人で暮らせないから哀れなのだ。孤児に仕事を与え領民として誇りを持たせる。

自立した立派な領民だと。領民達も共に歩む仲間だと子供達に気にかけて、食事を誘い。泊まりで遊ぼうと誘ったりしているらしい。


義手義足関連もそうだ。義手義足だから働けないよね。可哀想だよね。ではない。

義手義足を用意し意地でも仕事を作り出し見つけ出し働かせる。普通に暮らせるように魔道具の義手義足を発明し実験段階だ実験中だと与え続け領民として働かせている。


異種族も沢山いる。彼にとって領民であれば種族は関係無くただの平民なのだそうだ。


異種族で喧嘩しても喧嘩両成敗。貴族の俺の言う事を聞け!だそうだ。


法を行使する者が変わるだけでココまで生活は変わるのか。


「酒は美味い。飯も美味い。風呂も入れる。トイレもある。仕事はいっぱい。勉強も出来る。注意すれば良いのは領法と余所者だけ。」


余所者だってこのプレートに魔力を通せば一発で見抜ける。ああ、だから領民はみんな必ず胸を見るんだ。持っているか持っていないか。近くに余所者がいたら胸の所を指差す。近寄って来れば後ろ手に合図を送る。


単純な動作だ。魔力を込めれば領主と自分の名前が光るだけ。


あの水晶だってそうだ。領主の血に反応するらしい。紙幣の偽金対策らしい。


どこまでもどこまでも、ここの領主、それに仕える貴族にその覚悟誇り矜持を見せつけられる思いだ。


貴方は貴族ですかと。貴族を名乗れますかと。



「ああ、もう一つあったね。派閥。」


そうだ。派閥だ。国王の後ろ盾にして過激派集団。


王族の言いなりかと思えば国王の言うこと以外聞かないらしい。王子の位階なぞ完全に無視して、しつこいと言って囲って言葉では無く物理で脅したそうだ。


言動も酷い。なに?喧嘩売ってんの?命令聞かせたきゃ王になってから言え。ただの候補の雑魚が!


という感じらしい。この領地もその派閥。実験地であり中核だそうだ。


つまりその派閥がこの国の本物の貴族集団。その派閥の貴族だけが本物の貴族なのだ。


仲間が指折り派閥の貴族の名前を言っていく。実家の家名は無い。



「姐さんも没落じゃなかったらね。領主様の役に立てたのにね。」


「そうそう。愛人じゃなくって正室求めてるんでしょう?」


「可哀想だよね。悪名で貴族の婚約者が出来ないって。」


「裏技で今の愛人さんに貴族位与えて奥さんになってもらおうとしたら。貴族にしたら嫌うかもって一言で諦めてそうとう落ち込んだらしいし。」



、、、は?いやいや。ワタクシイチオウホンモノノキゾクノレイジョウ。



あれ?彼女達まで私を没落貴族と。、、、冒険者か!そうかそれで。


平民なら高位貴族どころか貴族の名前も興味無いでしょう。今回だって判別の為無理矢理に派閥貴族家だけの名前を覚えたのだ。


派閥以外の名前を聞いても無視すれば良い。そこだけに敏感になっていればいい。


うちの実家。爵位関係なく彼女達にとってどうでも良い家。一応貴族名鑑で調べれば速攻で見つかるんだけどな。プレートの実家名を見る。


そっかぁうち派閥入れなかったんだ。


よくよく考えれば自分はだいぶ好き勝手に生きてきた。貴族社会を嫌い。そのくせムカつく貴族をぶっ飛ばし父親に責任をなすりつける。


貴族の矜持持ち合わせてないわね。


そう考えると別にこのまま黙って落ちぶれ貴族の領民で良いかと思えてくる。

父親も駄目っぽいし。駄目貴族家にしがみつく理由もない。



あれ、もしかして愛人の件って悪くない?父が領主に変わっただけ。領内限定だけど好きに暴れて良い。ダンジョンもある。

お?おお?派閥中枢らしいし。過激派の一員だ。もしかして領外でも愛人っていけるのでは?領主を盾にムカつくやつをぶっ飛ばす。

こじつけはたぶん派閥がやってくれる。拳で語れる派閥。おもしろいかも!



後日判明したのだが特に何処派ってわけでもないうちは悪運?にもロイ様のお披露目叙爵共にスレ違うことも叶わず。全くの接点が無かったらしい。兄弟親類に少しでも同じ年齢の者や接点がもてそうな者がおればといった感じ。一切そういう接点が無かったからこそ今が運命なのだろう。と言われれればそうかもと思った。








愛人の件ちょっと本気で考えてみようかな。

再び迷走はじめました。

更新止まったりしたらそういう事だと思ってください。

まだ続ける予定です。

私事もあるので予約でどこまでごまかせるか。


諦めた時に完結予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ