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73.王都の冒険者

王都の冒険者ギルドに貼られた調査依頼。


例の鬼畜領主が治めるバーナ領の調査だ。


依頼人は、、、秘匿。


達成条件・・・領内のどんな些細な情報でも良いから持ち帰ること。

達成報酬・・・情報内容精査次第。最低少金貨3枚。大金貨1枚以上の可能性有り。

失敗罰則・・・依頼人秘匿の為こちらの依頼内容を出さなければ罰則無し。

常設依頼受付不要のため。この依頼票を剥がさないでください。




くだらない依頼だ。貴族が貴族の内部調査の為に出した依頼だろう。

だが、相手は超が付く過激派の派閥だ。手出しすれば危ない。でも依頼者も貴族。挟まれて依頼を出しただけであろう。

不思議なのはこの依頼が取り消されない理由だ。これだけ堂々と張り出されているのに派閥が動く気配がない。


最初は最低大銀貨3枚だった。どう考えても往復費にもならないのだが何かの依頼のついでなら大したことはない。情報だけだから小遣い稼ぎにはなる。

現在報告されている。内容とかぶらなければ良いだけだ。現状報告内容は領民に家畜の餌を食べさせている。麦関連が重税で内部でも麦を使った料理やパンは他領の十倍以上の値段。領民は穴掘り、街道整備、魔の森開拓、農地開拓、大規模な牧畜を主流産業としている。

これ以上情報は入ってこない。


調査依頼の報告をした冒険者達が再度、今度こそとその領に向うがほとんど二度と戻ってくる事はない。


殺されたのでは、奴隷にされたのではという憶測が流れ寂れた依頼となっている。


そんな依頼票を眺めていた女性がその依頼票を破り取り受付に向う。

内容の確認だろう。かなり憤怒の表情をしている。

貴族の片隅にも置けぬと。



彼女がそのままの足でドスドス表に去っていく。仲間が必死に追いかけている。


彼女、いや彼女達は最近集まった集団で。金級が3人、銀級が2人のグループだ。


その勢いは凄まじく。この間ロックリザード討伐という高ランク依頼を短期間で達成した。強者集団。通称アマゾネス。グループ名は別にあるのだろうがあまりの苛烈さにそう呼ばれる。


例を上げれば。酔っぱらいが近づく。臭いと殴り飛ばされる。肩がぶつかる殴られる。男が声をかける。蹴り飛ばす。普通の平凡そうな男が声をかける。臭い近寄るなとマジックボールで吹き飛ばされる。本当に上げていってもキリがない。しかもリーダーが貴族関連らしくギルドも黙っている。これだから貴族は!








憤りを感じた。こんな奴を貴族にしておけない。遊んでいる場合ではなかった。社交界にもっと興味を持つべきだった。


領民に家畜の餌を食わせている。麦に重税をかけている。貧民をかきあつめて領民としやはり家畜の餌を与える。


孤児を金で買取、同じく家畜の餌を与えあまつさえ仕事までさせている。そして重労働。


道中探りを入れてみたがどこで聞いても同じ様な内容だ。


貴族が?領民を家畜として扱っている?奴隷より酷いじゃないか!


寒村の村へ訪れた時に見たあの貧しい者達。身体はやせ細り。子供達も何年も生きられないと。あまりに頭に来たのでそこの領主館に殴り込み領主を誅してやった!


当然軍務で支援活動として行っていたので上官に怒れれるわ、頭にきて辞めて帰ったら父に注意されるわ散々だった。意味がわからない。貴族の矜持であろうが!


絶対にそんな領主は誅してくれる。消してくれる!








ああ、牧畜が盛んなのだったな。ふん、民に食料を与えず、家畜にかまけるとは!なんだこの広大さは!


ただ、なんというか。凄まじい街並みだな。


王都、いやそれ以上の発展具合では無いだろうか?石の橋が丘の上の館へ。他にも色々なところへ石の橋を繋げていってるようだ。


なるほど領民に重税をかけ強制労働させているのだな。許せん!


「あの、姐さん。なんか働いている人達かなり健康そうというか王都の人達より血色良さそうですが。」


む、確かに、聞き込みをしてみるか。


「すまんが。教えて欲しい。コレはなんだ?」


取り敢えず当たり障りのない事を聞いてみる。すると尋ねた労働者の男がこちらの様子を伺う。ちっ!やはりいやらしい目で私の胸を見てくる。肯いて笑顔になった。


「へえ、よくわかりませんが。石を積んで橋作っているんでさあ。」


見たまんまじゃないか。


「その、何のために?」


「さあ?お貴族様の考えることはわかりません。」


なんと。戯れでこんな重労働をさせているのか。


ん、何か後ろで手を振ったな。感じるぞ?金級冒険者を舐めるなよ何を隠している。脱税か?なんだ。クソ、特に変わった様子もない。


「まあ、確かにお貴族様が考える事はわからんな。ところでここの領民は家畜のその、なんだ。アレを食べていると。」


「へえ、家畜の餌食わされてます。腹一杯食っていいと。確かにマズイですが慣れれば食べれますから。」


間違いないらしい。平民とは腹が満たされれば何でも良いのか?


クソ、訳がわからん。とりあえずギルドで調査するか。








なんだココは?茶屋の間違いでは無いのか?本当に意味がわからん。


「ん、なんだ。余所から来たのか。ああ、そこの水晶にカードをかざしてくれ。」


なんだ。なぜここで鑑定水晶を使うのだ?あやしい。ゆっくりとギルドカードを水晶にかざす。白く輝く。見えた!この職員の瞳に一瞬光が赤く映った。

どういう事だ?


「それでどういった内容で?」


笑顔で尋ねてくる。なんだ?何を隠している。


「何か良い依頼は無いかとな。」


「左様で。特に今は良い依頼は無いですねえ。普通の依頼はあちらのボードに貼られていますが。」


ボードを眺める。片方は普通の冒険者の依頼だな。


狩り。草とり。どこにでもありそうな依頼だ。反対は。似たような内容だが、、、価格が違う!気持ちこっちの方が高い!複雑な計算でわからなくしているが。絶対にこっちの方が高い。


対象は。領民専用?領依頼。どうなっている。つまり領民以外は受けられなくしているのだ。


ますます怪しくなった。ちらりと視線を向ければ。先程の受付の所に少年少女がやってくる。というか子供ではないか!

しかしやけに対応が優しい。怪我の心配や森の様子を聞いている。その時少年たちがカードを二枚重ねて水晶にのせた。ココからでは白しか見えない。

だが間違いない。この領は領民と他領の者を明確に区別している。








おかしい。区別はしている。パンの購入は予約制。今日は食べれそうにない。


となると当然安い家畜の餌となる。ここの領民も冒険者も親切だ。笑顔で店の場所も煮炊場がある事も教えてくれた。


そして必ず店や施設にある鑑定水晶。


そして住民の行動。領民プレートと呼ばれるカードだ。それを水晶にあてている。


煮炊き場で食べた粥。クソマズイ。臭い!だが領民冒険者が旨そうに食っていた。購入場所も同じ。後ろにくっついていたからな。ただ、向こうの方が白かった。理由を聞けば領民は精製に失敗したものを食わされる義務があるらしい。


だから同じ値段。なのでよその方には正規品をと。だが普通のザザの実を精製するか?粉か?それさえ食ってみれば。


試食を頼むが領法で禁止されている行為で我々に食べさせると重罪だと。


コレではないか!コレが!絶対だ。しかしそれをやれば彼等に迷惑をかける。

証拠だ。証拠がいる。なんとかして手に入れなければ。








一週間調査する。怪しい施設が山ほどある。だが全て領民以外立入禁止だった。

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