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62.鍋の底

同種族なら仲が良い。

ああ、くだらない妄言だ。


オヤジたちも言っていた。

同じ種族が争う?おかしい話だ。


共に手をたずさえ力を貸し合い歩んで行く。

それが正しい姿であるはずだと。


ロイ様が人間同士でも戦争してるのに?と言われてその通りだと思った。









ああ、そうだ。結局話し合いはまとまらず父親は殺され、我等が住んでいた土地は奪われ追い出された。


そうだなあ。数十年以上旅したなあ。


ああ?なんで全滅するまで戦わなかったか?


まあそのなんだ?爺や婆共が鉱山を守ろうと徹底抗戦している時によう。


あと数年で掘り尽くすだろう鉱山に命を賭けるのもどうかと思ってな。


みんなで逃げてきちゃった。



まさかの拍手喝采。この領民、いや仲間が俺達を賞賛してくれている。



うんこの地に賭けて良かった。


やるからには最後まで賭ける。最悪の事も何度も考えた。しかし、日に日にやつれる仲間達。そして通り抜けて来た国々の現状。聞こえてきた噂。その領を目指す間に見かける光景。調べれば大陸の最南端。最後の地。


目標の領、その入口。というか既に入っていて。もう丘目前。


代表者達での会議だ。


「最悪俺の首を賭ける!皆を助けるつもりで交渉するが。」


もうどうしようもない。行く所も他にない


「何を言うんだ。もう皆も疲れ切っている。他の国々の惨状を横目に逃げて来たろうが。家畜でも奴隷でも何でも良い。皆生きたいのだ。」


そう言って代表達が肯いた。


情けない。情けない!本当にどうして、なんでこんなに不公平な世の中なんだ!








ああ、その時は当然そう思ってたぜ?


え?玄米粥?別名家畜の粥をよく喜んで食べたなって?


おいおい贅沢言っちゃいけねえ。いや?この領だとそうなるのか?



いやな。俺達はずっと何十年も大陸を旅して渡ったんだ。


消化吸収っていうんだろ?夜間学校でやっていた。


つまり石とかそういった消化吸収出来ない物以外は何でも食ってきた。



食わなきゃ死んでいた。ただそれだけだ。

それに比べりゃ臭いだけの粥なんてご馳走だったんだよ!


自慢気に言っているが事実だ。本当に神を呪った。


なぜ我等はこんなに惨めなのかと。



そういえば蜂の巣はみんなで分け合って食ったけど美味かったなあ。成虫よりもやはり幼虫が、なんて領主様であるロイ様にそう言ったら。興味をもたれ話相手をさせられた。



ああ、あまりにも興味を持たれ美味いのかと聞かれた。護衛の方達の目がヤバかった。嘘は言わなかったぜ?


この領地で食える飯の100分の1程度の旨さだが美味かったと。


だよなあ!俺らならそうなるよなあ?他の領地で食えるパン。この領地で普段俺達が食べている飯の100分の1程度の旨さが有るかって話だ。


俺は当然無いと思って、おい最後まで言わせてくれよ。



ああ?この領の領民で、もし他領のパンがここの飯の100分の1程の旨さが有るってやつがいるなら連れてこい?百万円やると?



くそ。金は欲しいが勝てない掛けはしたくない。


すまんが賭ける方を逆で、、、しないよなあ。



え?他領や他国の不幸は自分達の幸せを確認させる大事な戒めだからもっと聞かせてくれって?


、、、奢ってくれんの?はあ?領民仲間だろって。確かにそうだなそうだった。すまん恩に着る。絶対借金返し終わったら倍にしておごる。








す、すまん。まさか人間にこうまで。

、、、領民だろうって?そうだな。



ここの領主様いるだろ?



ああ、我等全員受け入れてもらった。



そうかあ、そうだよなあ。なあ領民になる時宣誓したよな。



ああ、間違いなく!この血と!名にかけて!



何人だ?



八百人全員だ!


なんだ?相手が数字を聞いて苦い顔をした。





え?どれ位期間掛かったかって?一月掛からない位かな。


領民カード作る時痛くなかったかって?


ふん、そんな一瞬の痛みなど!あの仲間にと領民として受け入れて貰えたと分かった瞬間に比べれば些細な事!


気付くの時間かかるって?嬉しさが先に来て思いつかない考えられない?どういうことですかだ?


仲間だからそういう気持ちでずっといてほしい?


でも後で気付いた時に後悔されるのはわかっているから言っていいものかと?


一瞬の痛みって言うけど。正直痛くなかったかって?痛いには痛いが回復魔法で治ったしな。


そうじゃない?痛かったかって?そりゃあ少しは痛かったさ。一応契約の血を流さないとダメだからな。


相手に血が出る程に針に刺されました。その後笑顔で仲直りして握手出来るか?30回近く一日にそれを繰り返せるか?それを一月続けられるかと。


え?ああ、ああ!


、、、はあ。そういう事か。ただスマン。我等の同胞はこれ程深く受け入れられたことは無く、、、


え?そうじゃない?ただ知っている人が仲間が多い方が良いと思った?ただそれだけで?他意はない?




俺達が領主様に何か出来ると思うか?求められたらその時は全力だが。




そう言って笑う彼に返す言葉が直ぐには出なかった。


何故って。その時ですらなんとなく共感して、後になって当然って思うんだぜ?


余所者にバーナ領の領民として言ってやる。さっさとこっち来いよお~。










そう言えばこの間領主様に聞かれたんだ。昔作った事あったな。出来ます!


迷走継続中です。

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