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39.派閥会議

久しぶりに王宮に行ってきた。


相変わらず臭いマズイ。


私の対面に座るのはイバーナ子爵ではなくランナート殿だ。


そして私とランナート殿を囲う様に派閥け当主が座り。

その後ろに次期当主の後継者達が立っている。









「ランナート殿先日の技術提供。計画の立案報告は助かった。」


ああ、正直驚嘆だった。海水塩の利用。輸入に輸出。差額の収入は全派閥家が潤ったのは間違いない。しかも実にいやらしい足元を見た計算だった。


そして技術開示されたのは水車だけではない。井戸ポンプと呼ばれる仕組み。既存の井戸に取り付けるだけで良い。空気の気圧差というものを利用したものらしい。


あれは子供でも容易に水を汲み上げることが出来た。


「ああ、井戸ポンプですか。ロイが『うちの領だとあんまり使わないんだよね』だそうで。設計図ごとポンとくれました。」


本当に恐ろしい。だがおかげで労力に余裕が生まれた。資金も獲得出来たので。その資金を使い、今後必要になることが予想された水車の増産、治水工事の増強が出来た。


「水車はお主の言った通り。全家100基を越えた。治水事業も全家予定を越えた。ようやく次の段階だな。」


手紙に書いて出した通り。我々はこの後イバーナへ向う。その後バーナで視察派閥会議となる。




思い起こせば。次期当主の倅を使いランナート殿と密に打ち合わせをした。


水車を増産してどうなる?


他家の追従が始まる前に製粉事業を派閥内で独占する。


価格競争で圧倒的な立ち位置に立てた。




治水事業。領内で資金を使いどんどん労働力をつぎ込む。


公共事業なので領民にのみ労働者として働く事を許可する。


違反者には罰金罰則。重罪とみなされれば死刑だ。


領民の労働者には金が入る。そして領民には税金がかかる。



また、仕事の有るところには人が集まる。稼げる所には人が集まる。


他家から人が流れ込んできた。


戸籍登録。登録書の発行。



よくこんな手を思いついたものだ。


「ロイが国法だと平民戸籍は領に登録されてるから人数しかわからない。領に登録されてても貴族は平民なんか興味無い。有ったとして証拠はってなったら同じ名前が何個もあると。証拠としては弱すぎるそうで。」


領民に戸籍と数字をふる。領地の名前、地域の名前、本人の名前、そしてその本人の血判。控え、本人への発行書類。


そんなに簡単にポンポン出すものでは無いと思っていたが。


領主とは治める地域の責任を負うことだ。その地に暮らす者の責任を負うのだと。それが貴族の矜持だと。




おかげで領民が領民として誇りを持って働いてくれる。


領法に興味を持ち。また家の貴族に敬意を表してくれる。


雰囲気がガラリと変わった。









今後の方針について話をする。

まずは注意点。


「技術秘匿を守るため。我らも協力せねばなりません。」


そうだ。技術を手に入れたとしてもどこからか情報が抜け、他の領に他の派閥にすぐ真似されたのでは意味がない。


「ええ、なのですが。ロイのやつがやらかしまして。というか領民が頑張り過ぎたそうで。予定の10倍は進んでいるようです。」


、、、さらっと言うな!いや、本当か?たしか予定では食料関連生産の増強。労働人員の増員による様々な生産物の圧倒的生産量。富国強兵。



「正直、仮定話に派閥はマズイですので、ある国が攻め込んだとしましょう。まず間違いなくロイが圧倒的に勝利します。」


えーと。つまり国軍であっても勝てないと。


ヤバイヤバイ、マジか!


周りを見渡すと全員が驚愕している。圧倒的生産量。圧倒的戦力。十年掛からずに国を越えてきた。


これは危惧すべき事態か?いやそれならばランナート殿が来ないだろう。そうであるならばイバーナと協力して国を倒せばいい。がしない。興味が無いのだろう。


なら喜ぶべき状況じゃないか?派閥を強力な生産力、技術力で牽引する。



「それなのですが、一人でやっても意味がない。皆で強くなる。の派閥内精神は変わってなかったのですが、派閥内強化しようと思い出すのが遅すぎて技術格差が開き過ぎてどこから手をつけて良いかわからないとロイが。」


ランナート殿が苦笑しながら言う。それほど差が有るのか?


ああ、だから会議がいるのだったな。その為に時期を合わせ隠れ蓑を使いバーナ視察へ向うのだったな。しかし、長期間領地を空けるのは間違いない。


本当は跡取りもと思ったが。そこまで差があるとすれば視察先も膨大の可能性がある。ならば。


跡取りは残し、自分達だけでとりあえず向う。帰還後に留学として技術者を派遣する準備をさせておき入れ替わりで向かわせるか。


他の注意点を聞いてみる。


「これだけは絶対というのが。あそこの領民の前では決してロイを傷つけない、いや、下として扱わない方が良いでしょう。」


そりゃあ国力差を認識すれば我々も態度を改めるが、ん?領民?


「あそこはですね、正直、領民全てロイを崇拝する狂信者です。」


は?狂信者?目が違う?自分でさえ弟扱いで軽く話しただけで目が変わった?


ロイが嬉しそうに対応してくれなかったら夜襲もあり得た?



「ああ、取引にはなるでしょうから大金の用意が必要です。」









それは覚悟している。はあ、いくらかかるんだろうか。

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