33.誰?
うん、何?
平身低頭?起き上がらない?
えっと、何、こいつら。
人の顔も見たくないってか?
喧嘩うってんのか?ああん!
「落ち着いてください領主様。彼等は獣人です。」
、、、?獣人?ああ、獣的特徴を身体に宿した連中な?
で?なんでこいつら喧嘩売ってんの?
おっさんうっさい。ケモミミヤッホーイってなんだよ?
「それは、その、貴族には彼等を人として扱わない方も」
ん?何言ってんだ?ただの平民だろ?
「おい、ヴィル!王国法変わったのか?」
「は、はい。え?」
「だから王国法典だと平民の獣人は平民だよな?変わったのか?」
ん?なんだこの空気。全員でシカトか?
おっさんいきり立ってるぞ?喧嘩売ってんの?ヤルかコラ?
俺のほっそいうでからナデナデ拳が炸裂するぞボケ!
「か、変わっていません。間違いなく平民です。」
「で?なんで余所者入れてんの?」
「その領民になりたいそうで。」
「そうなの?んじゃなんでコイツら人の顔見ないように背けてんの?」
そうなんだよ。こいつら人の顔見るなり。見たくないと丸くなりやがって。失礼にも程があるだろうが!
「いえ、これは跪いているのです。」
「はあ?嘘つくんじゃねえよ!おい、ナナ俺に跪いてみせろ!」
ナナは俺の前に素直に出てきて。
片膝を立て片膝を折り、胸に手を当て頭を下げる。
だよな?そうだよな?
「ヴィル?ナナのこの姿は?」
「跪いておりますね。」
「で?あの姿勢は?」
「その、だから跪いているのです。」
「ナナ?お前あの姿見て跪いているって思う?」
首を振るナナ。だよな。俺間違ってないよな?
「恐れを成しているのかもしれません。」
ばあちゃんそれは言いすぎだろ?
人の顔が怖いって?
やっぱ喧嘩売ってんじゃん!
「ち、違います、その顔を上げてもよろしいでしょうか?」
、、、喋れんじゃんよ。なんだよ口も聞きたくないと勘違いしたぜ。
「君達。大丈夫だから。まず顔を上げてくれ。」
ヴィルがこの場を取り繕ってくれるらしい。
ん?なんだ?めっちゃ不安そうな顔してるな。
「口をきいてもよろしいだ、、ですか?」
「普通に話せるじゃないか。口も聞きたくない。顔も怖くて見れないと喧嘩を売られているのかと思った。」
「いえ!違うます!そ、あ、ま、前に住んでいたとこで貴族様にあった。会いました時。に、黙れ、手を地につけ頭下げろ。顔をみせうな。だまっていろ。言いました。ほかのひと、貴族も同じですた。」
「ん?んん?お前等平民だろ?跪くってのはこのナナの姿勢を言うんだ。」
そういって再び姿勢を取ってくれたナナを指差す。
慌ててその獣人共が同じ姿勢を取る。
うむそうやって私を敬うのだ!ハッハッハ!
で何しに来たんだっけ?コイツら?
おっさんが落ち込んでいる。ケモミミうっさい。
「先程の獣人の件ですが。かなりの貴族がああいった姿勢を求め口を聞かないというのが通例です。」
「あのさあ。あんな姿勢見たこと無いぜ?あんなのお前なんか見たくねえよ!って感じだし。口も聞かないなんて。お前なんかいないってのと同じだぜ?」
ん?なんだよお前等のその表情。俺間違ってるか?
「、、、いえ。ロイ様は間違っておりません。よくよく考えれば確かにロイ様がおっしゃる通りの姿勢、そうとれます。」
だろ?ヴィル。俺の言うとおりだろ?
ほらほら。皆も納得してんじゃん。
「俺らから見ればただの平民だろ?誰だって顔ほとんど違うよな?」
同じ姿形なんて双子くらいじゃないか?よく見れば牛や馬だって全然違うし。鳥は見分け難しいが。
なんだよ。なんでみんな黙って考え込むんだよ。
「平民、ですね。確かに我らから見ればただの平民です!」
なんで当たり前の事をコイツラは納得した表情してんだよ!
本当に意味がわからない。
ん?そういえばこの領初の獣人じゃね?職業は、、、
うむ、当然でござる。
俺表情に出なかったし、声も出さなかったからバレてないよね?
ロイ様の言う通り!ロイ様の言う事が全て正しい!
唱えながらロイ様が聞いてくる度に当然ですと肯いて見せたはずだ。
うん、一瞬正気を疑いかけたがロイ様を信じて正解でござる。
ヴィル殿は疑い過ぎでござる。
その辺の貴族同様の反応が心配でそのまま連れてくるなど、
ロイ様が普通の貴族に見えるでござるか?
ロイ様は本物の貴族でござる。
それが証拠に平民に違いは無いと区別出来るのかとハッキリ言い切ったでござる。
貴族とは本来平民に区別をつけないもの。平民に変わりは無いのだ。
ちょっと焦ったでござる。
当然の獣人の反応にまさかの喧嘩売ってるのかって。
後から言われたあの姿勢と反応。そして自分が貴族という立場。
うむ、よくよく考えればやっぱりふざけて見えたはずでござる。
本来なら、ナナ殿の姿勢で待ち。声をかけ顔を上げさせ。
問答を開始。
話しかけても丸まったまま。顔も上げない。
うむ拙者でも喧嘩を売られている気がしてきたでござる。
そうかあ。ロイ様は獣人にはああいった反応かあ。
今のうちに素の獣人会わせといて良かった。
今後絶対にこの領に獣人が押し寄せてくる。
ロイ様は平民に区別を付けない。
予想通りだった。
コレからの工事関連で身体能力が高い獣人は絶対必要。
これが通らなければ塩田開発が遅れる。
黙ってやるか、素直に行くかと悩んだが
素直に行くが正解じゃないか。
そういう演技すれば良い。
王国にいる貴族ならどういう反応か。
僕がもっとも嫌いな貴族ならどういう反応をするのか真似る。
きっとロイ様はそれを否定してくれる。
今回は、ちょっと、まあ、まさかの切れるだったけど。
貴族の印象を通り越した。本当の貴族の姿だった。
当然の反応ですね。
ただ、自分は初めて獣人をみたのでどう反応していいか解らなった。
さて、私はどう動きますかね。
あれから数ヶ月たった。うん。
冒険者だったよな?
なんで塩田開発の仕事を見に来るたびにみかけるのかな?
この間は依頼だったよな?今回は?また休暇で暇だからかよ!
金むしりに来るなよ!
え?家貰って借金の返済をさっさとしたい?
献金が目標?
神様へ捧げなくては?
、、、なにけいびへいどもみたいなこといってんだこいつら
まもなく仲間(信者候補)が到着する?
何言ってんだこいつらは。




