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27.金策は領替えで

ロイ様はおかしい。




うん、久々に言うけど頭おかしいです。


最近婚約したヴィルです。




ええ、そんな事はどうでも良い。


何がおかしいって。今回も行動が斜め上に行ってたんだ。


塩利権?ああ、それも有ったね。


違うんだ。本当に頭がおかしいんだ。









領内の領主館に追加で建物が増設された。


その建物は両替所。お金を換金する所だね。


うん、そこまでは普通だろう?




違うんだ。やりやがった。かねを作り出したんだ。


鉱石の金じゃないよ。貨幣だよ。違法だよ!


国法で貨幣の鋳造は違法行為と決まってるんだよ!




でもさ、ロイ様はまた抜け道見つけるわけさ。


領内にのみ通じる貨幣の鋳造は違反じゃないもんね。


って言ってたが。流石悪童。場数が違う。




貨幣の鋳造ではなく、紙幣を刷ったと言い切りやがった。


魔力紙という物を作り出し領民カードの技術を使い。


紙幣という物を作り出したんだ。因みに紙幣単位は円。


貨幣が円形だからだそうだ。




そう例のピカピカ光る奴。


領法で今後は領内通貨は紙幣を主軸とするという事まで決めた。


うん続きは領法知ったらわかるよ。流石悪どい。




この紙幣。水に濡れてもそれなりに頑丈。ある程度の力では破けない。


そして何より軽い。一月掛からず領民全員が紙幣と貨幣を交換した。




そしてこの両替所。隣に銀行というお金を預かる施設があるんだ。


お金無くしたら困るよね?って感じで。ここでもまた領民カード技術の転用。




使い方はお金を預ける。


預けた金額の確認。


最後の預けた金額の合計の日付の所に自分の血を使って拇印。


その書類にカードを乗せて魔力を通すと最後の合計額の所がカードと共に光る。


ただそれだけだ。




預け先は領主館で公務員が対応してくれるから安心。と領民が我先に預けている。


ロイ様がこれで俺だけプスプスじゃねえって喜んでいる。


それでも日に何度も預ける人っているんですかね?









領内で貨幣はもちろん使える。しかしこの紙幣が曲者なのは。


領民しか使えない事、いや買えば使えるんだが。恐ろしい仕掛けを施してあるんだ。




領民が紙幣を使って払う時。当然カードと紙幣両方を水晶の上にのせる。普通の値段で買える。


領民外の人が貨幣で買おうとすると規制品は当然買えないのは変わらず。規制対象外のものを十倍で購入する事になるのはいつも通り。


領民外が紙幣を使うと規制品以外の商品が3倍の値段で買えるのだ。




しかし当然罠がある。紙幣を手に入れるには貨幣との交換になる。


それがちょっとした手数料なら分かる。普通の両替がそうだからだ。


違うんだ。ここのは正確には領替って言って。


領民ならある程度の金額を交換しても大銅貨一枚程度で済むんだけど。




流石ロイ様、そんな生ぬるい事はしない。


領民で有れば大銅貨5枚で500円。


が領民外が交換を求めると大銅貨5枚で100円




そう5倍なんだ。しかもそれだけじゃ終わらない。


当然領外へ行くことがある。その時にはその紙幣は使えない。


鑑定水晶も他領には無いから当然意味がない。




下手に濡れたり破れたりしたら。無価値になってしまう。


なら換金するしかない。


領民は変わらずのレート。


他領の人が換金しようとすると、200円で大銅貨1枚となる。




本当に余所者を殺しにかかっていると思ったね。


来るんじゃねえ感がすごい。




「人はこれを為替という」


ロイ様がまた変なことを言っている。為替レートって何よ。




この話を婚約者のアイシャに話したら。最初わからなかったみたいだが。


実際に紙幣と銅貨でやり取りしてみたら、如何に極悪なのか理解したらしい。


そしてため息をつく


「これでまたロイ様の結婚が遠のきましたね。」


本当にあの人何やってんだ。









イバーナへの塩の輸出と共に領都隣の街で塩の一般販売が開始された。


派閥からの塩の供給はまだされていないので情報は流れていない。


偶然目ざとく見つけた行商人や冒険者が他領よりも激安で塩を買えるとあって少量お試しで買ったらしい。




あっという間に買付に走る集団。購入規制量目一杯買おうとする商人。


その値段は十倍。


哀れみの目で領民から見られる余所者達。


しかもその先にはイバーナでの関税が待ち構えているのに。




今僕が向かっているのはその街にある元豪商の店主たるのお爺さんの店。


「お久しぶりで御座います。ヴィル様。」


うん、迫力が違うんだよなあ。なんか威厳が有るっていうか。


「うん久しぶりだね。バロータさん。」




「しかし、やってくれますなあ。ロイ様は。」


内密の話があるとかで呼ばれたんだ。ロイ様にはバレたくないらしい。


僕の屋敷では近すぎる。なら来るしかない。


なんだろう嫌な予感がする。ロイ様なんかマズイことしてるの?




「いえいえ、ロイ様は悪くありません。ロイ様は派閥とこの領を守るための行動を起されただけです。しかし、あまりにも無茶が過ぎると言いますか。」


どこまで知ってんのこのお爺さん。




「これだけの経済規模です。二年前に商業ギルドからの査察が参りましてな。」


はあああああああああああ!


これは驚嘆せざる負えない。どうやって忍び込んだんだよ!


ってか二年前?なんで二年経ってから言うんだよ!そもそも警備兵何やってんの!




「取り込みました。」


「はいぃ?」


もう取り込んだのかよ!


気付けよ領主。気付くわけないか。


最近アレやる前の目が死んでるもんなロイ様。




「して、その、なんと言いますか。帰りたくないと。」


そうなるよなあ。仲間売れないもんなあ。


自分の血と名を持って領のために働くと決意させられちゃうんだもん。




「当然叱り飛ばして一度は帰れと言ったのですが。ふと思いつきましてな。」


何を言いたいんだ?段々怖くなってきた。



「商業ギルドを誘致しようかと。出来れば冒険者ギルドも。」


無理に決まってる。


ロイ様はいずれはと思っていた。


けど領内の商人と冒険者で現状うまくいってしまっているから放置していた。


もしかしたらロイ様は忘れているのかもしれないが。




「大変申し上げにくいのですが。既に商業ギルド、冒険者ギルド、共に領民を忍び込ませてまして。」


本当に何やってんのこの爺さん!ロイ様切れる案件だぞ!


「さらに上位の者をこの領に引き込みましてな。あとは許可さえいただければ領民構成によるギルドが作れるとこまできてしまったのです。」




、、、ナニイッテンの?いや、いやいやいや!許可もクソも無いでしょう!



え、どうしよう。


隠れ蓑に商業ギルド、冒険者ギルドの職員からギルド長まで領民に出来ればとか。


誘致した後。


送られてくる人材をなんとかして領民にするかとかロイ様色々悩んでいたのに。




「全員領民予定です。ギルド長から職員まで。ですがギルド出店に際して最大の問題が発生してしまったのです。」


うん。その先は言わなくてもわかります。




「領主様に無許可で出店寸前まで来てしまいました。既にギルド長予定者含めた領民がこちらに向かっていると。」


ハイ終わった。聞いちゃったよ。僕聞いちゃた。


「平民には平民の意地が有るのです。共に巨大な組織です。敵対すれば脅威ですが取り込めれば領主様のお役に立つはず!彼等が気付き、ちょっかいをかけられる前になんとしても領主様を、この領を守らなくてはと。」




卑怯だよ!


その言い方。


それは分かっているんだ。


ここの領民が裏切るわけがない。


そんなのは百も承知だ!


問題はどうすれば良いかって事だ。



素直にいってロイ様が許すか?


独断だぞ?


領主様の意向を聞かずに、、、




動いちゃったんだよなあ。もう。んで相談なわけですか。



「儂ら主導で動いた者は罰せられても構いません。出来れば儂一つの首という事で収められませんでしょうか?」



どうしよう。


何か考えつかないかな。


ここまで領主の事を思って動いた人間の領民の首をはねるなんて出来ればしたくない。



こんな時ロイ様ならどうする。




考えろ!


抜け道。


そう!抜け道だ。


領法ではどうなっている?


確か領民であれば店を構える事ができるとかそんな話が有ったな。


ギルドを店で押し通すか?


そもそもギルド誘致の議題は上がっていたんだ。


ならそこを突いて。いける?いっちゃう?




「僕に話したのはそういう事?」


「はい。全てお任せ致します。」


喰えない爺さんだな!




わかったよやってやんよ!











「ロイ様、ギルド誘致の件ですが」


「ん?なんだいきなり。」


ここは強気で言い切る!


「御指示の通り、領民の潜入成功により商業ギルド、冒険者ギルド共に領民主導での運営が可能になった事を報告致します。」


「は?」


ここは強気、ここは強気。ただの報告。


「既にバーナ領の領民のみで構成されたギルド職員がこの地を目指していると報告も上がっています。」


「ん?んん?あれ?そんな指示だしたっけ」


「そうおっしゃられたではないですか。領民のみで構成された商業ギルド、冒険者ギルドが欲しいと。」


ヤレヤレだぜって肩をすくめてみせる。自分のいつもの仕草だ。


「言った、、、な確かに言った。でも欲しいだけで作れとは。」


ここはめっちゃ驚いた表情で。


「そんな、御領主様が欲しいと言われれば叶える為の努力をするのが家臣の務め!今更いらないと申されましても。」


ここは困った表情で。


「いるよ!いるけどさ!なんだろう腑に落ちない。まあ良い。良くやった!」


お褒めの言葉ゲットだぜ!









やれば出来る子なのだよヴィル様は!


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