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25.兄襲来

開いた口が塞がらない。


なんだろう。なんて光景を見せられてるんだ?


いや、違う。そうじゃない。




バーナ領に兄上が来ました。


ええ、派閥の監査という名目です。視察です。


そこまでは良い。予定通りだ。



予定通りじゃない光景が目の前に広がっている。


領主館前で部下を引き連れ自分が先頭で馬車をお出迎え。


うん、そうだよな。これが正しい出迎えだよな。




で、なんでお兄様の後ろは女性の大群なのですか?


ハーレムですか?ハーレム見せつけに来たのですか!


だから視察に来なかったと。


喧嘩売ってますね!買いましょう!ええ、買いますとも!




「私の隣にいるのがリリアン嬢とメッシーア嬢。私の婚約者だ。その他は派閥の娘たちだ。」


ん?どういう事?婚約者?そりゃ要るよね、そういう歳だもん。貴族だもん。


じゃあ残りの女性はハーレムじゃなくて派閥の娘?どういう事?






真剣で意味が解らない。いや混乱中よ?


色々ありすぎてどうすれば良いのかわからないんだ。




まずなんで兄上領民カード求めんのさ。いや作ったよ。


特殊だよ?ヴィルと同じ仕様で表が俺の名前と家紋。


裏が相手の名前と家紋。水晶にかざすと領民と同じ色に光るやつ。


婚約者分も同じカード作らせて、家名イバーナってよ。家紋付きでな。


見せつけられるわサッサと海へ向うわで取り残された。




ああ、兄の事はもう良い。


問題は。




「何?見せつけてんの?独りもんって俺を笑ってんの?」


いや、荒れまっせそりゃ。


引き連れてきた派閥の娘。部下達の妹や親戚の女性。


部下達と派閥内で入り乱れての婚約と相成りました。




はっはっは。


俺派閥から喧嘩売られてねえか?




「笑ってませんよ。行き先の無い妹達ですから。自分達が大量に貴族になったので押し付けられた感じですね。」


言い分は分かるんだよ。


でもさ、目の前で立ち会って。プスプスやらされて、で君等の家名が後について宣誓される。


婚約?目の前で大量に事実上結婚宣言だ。独り身の!この俺に!




「ちなみにランナート様の婚約者ですが自分の姉とフェイの姉です。しかも直系ですね。」


本気で派閥が俺に喧嘩売ってきた!ヴィルとフェイの姉。家格的に上の家の本流が嫁ですか。


良いだろう。買ってやる!その喧嘩買ったあああああ!




「買わないでください。そもそもこちらも反論も出来ない立場なのですから。」


まあ、実家からの命令じゃ逆らえんわな。うんそれは認めるよ?


「見知った者達ですし例の領法に自身の名前で宣誓です。裏切られないかと。」




そこじゃねえ。そこじゃねえんだよ。何その嬉しそうな顔。


「おめでたい事なんだけど素直に喜べない。」


「そこは素直に祝ってください。」


サバート、うん君だけは祝って良い。貴族年齢的に遅いくらいだ。




でもさ、気付いたんだよ。気付いちゃったんだよ!


俺も婚約者の一人や二人や三人!愛人の一人や十人位いてもおかしくないんだよ!


当主よ俺!本物の貴族様で、単独で金持ちよ!


なんでいないんだよ!




「実はその、ロイ様に婚約者いない事自体も我々に取ってかなりというか。」


サバート君、濁さなくていいよ。どうせ俺はモテないよ!


「違うでござる。ロイ様に婚約者がいない。結婚していない。跡取りがいないでは我々家臣一同が後々困る事になるでござる!」


うん言ってる事は分かる。


もし俺の代で途絶えたらイバーナに戻るか国に返還のどっちかだしね。


そうなったら君等も廃籍だろうし。


でもさ。フェイよなんで婚約者の肩にわざわざ手を置いて言うんだ?




お前ら全員喧嘩売ってんだろ!









昼食後に歓迎会と称したお茶会を領主館庭で行う事になった。


うん自分のテーブルに要るのは女性でなくていつもの面子。


ヴィル、サバート、フェイ、そしてまさかのキン。




キンは最近超昇進して衛兵隊の部隊長になった。


それで何故ここにいるんだ?


というかお前ら婚約者は良いのか?キンは既婚者だし。




何?やっぱり喧嘩売ってんの?


「そうでは無いです。それよりも本題に入りましょう。」


そうなるよね。これ兄上からの警告兼忠告兼課題だ。




「お世継ぎ問題、、、か。」


全員が頷く。


ヴィルの予想ではロイナートは男爵。


もしかしたらそろそろ自分達に婚約者が送られてくる。


そこまでは予想通りだ。


ならそのタイミングで派閥家の直系の誰かが婚約者に押されてくると思っていたそうだ。




「まさか、ランナート様とは。」


サバートも頭を悩ませている。


「領民の女共になら、有無を言わさず連れてこれるんですが。」


キンさんよ。そういうのダメ、ダメ。


ダメじゃないし無理じゃないけど。


問題解決になってない。




「貴族の正妻は貴族が望ましいでござる。家格的にも当主という事を考えると男爵家直系の長女かさらに高位貴族の直系の娘。それが貴族法でござる。」


そういう事だ。


貴族法なんだよ!


ここで貴族が争わない為の貴族法が出てくる。


嫌がらせだよね。


国法を盾に平民貴族にして結婚しちまうか?




「それは最終手段でお願いします。出来れば他家からも舐められない家格がよろしいかと。」


ヴィルくんよ~。


そんな事言ってもさ。


婚活なんざ出来ねえぜ?


現状領から出れないんだよ。




そうなのだ。問題を抱え込みすぎて現状動けない。


「あ、あの。よろしいでしょうか?」


ふと女性三人が近づいてくる。ヴィル達の婚約者だ。取り敢えず挨拶したいと。


さっきしたじゃんよ。いや邪険にしたいわけじゃない。それどころじゃないんだ。




「これほど発展された領地とは思いませんでした。」


うんうん。せやろ?


ヴィル君婚約者の、、、アイちゃん?


や~いヴィルのロリコン。3歳も離れてない?犯罪やがな!




「家畜の餌を食べさせられると聞いていたので。」


せやな。領民健康そうやろ?


フェイの婚約者の、、、アイちゃん?どういうことだよ。


名前は違うけど愛称同じってさ!でもフェイもロリコンなんだ。


え?5歳も離れていない?それ地球だと犯罪なんだよ?




「領民を強制的に働かせると。」


庭から丘下の向こうに見える街では。


今日も嬉しそうに穴掘りしてるな領民共。


、、、、サバートの婚約者のユリセリアさん。


これ言って良いんかな?どうみても一番年下なんじゃ。








「悪評が広まり過ぎて辞退者が多発と。」


皆が肯いた。


そうだよね。


そうなっちゃうよね。


あくどい事して稼ぐとこうなるんだよ。


わかっていたよ。


分かっていたさ。


でもしょうが無いだろ。


試したかったんだ。





使用人に椅子を持って来させ三人を座らせる。


「領法の運用、新技術の開発と秘匿。どれも素晴らしいと思いました。」


とヴィル君婚約者のアイシャさん。


「確かに食べてみれば素晴らしい食事です。今迄の食事がゴミだと言われるわけです。しかし流出は不可と。」


せやでフェイの婚約者のアリシーシアさん。


ならアリちゃんで良くね。蟻ちゃん。


「領民の給金は家のと食事の借金返済に当てている。借金返済が終れば給金が払われると。」


そうなんだよ。


ユリセリアさん。そこが今研究中の課題なんだ。


昔からいる領民の殆どが借金返済終わっちゃって。


給金払われているんだ。




給金が払われている領民の人数は実に4割を越えてしまった。


みんな頑張りすぎ。


「秘匿技術の流出は死活問題。秘匿事項。何でもかんでも秘密では文字通りに事実を並べると悪徳領主でしかありませんわ。」


せやな。


事実だけを並べるとそうなるのは知っている。


「しかし、お世継ぎ問題は貴族としてだけでなく領の死活問題です。」


お、おう。


いってくれるねユリセリアさんよ。


年下にそこを突っ込まれるとは。




静まり返るよな。そうだよな。八方塞がり。


まあ、取り敢えずみんな来たばかりなんだし。


家で旅の疲れをとってくれ。


今は解散指示を出すしか無い。




新婚さんいらっしゃいってか!


問題棚上げしてしまったな。









派閥に喧嘩を売られたと思ったらまさかの忠告だった件。


おまえ悪評過ぎてお断りされてるぞと。


このままじゃマズイぞと。




分かってんだよそんな事は!めっちゃ目を逸してたよ!


ああ、悪かったさ!


でも楽しかっったんだ。




考えるのも面倒くさい問題だ。










もういい!やってやる!


手元で光る紙。実験成功だ。


どうなっても知らないからな!


乾かした別の紙に木彫りの判子を押し付け魔力を通すと光る。


全員道連れだ!


完成したのは自分の名前、家紋が浮かび、紙の真ん中に数字が並ぶ。


何が忠告だ!俺は好きなように生きてやる!


最後に重りを乗せてみたり水をかけてみたりして強度の確認。




完成だ。やってやる!!!


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