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22.お久し振りでございます

皆様お久しぶりでございます。


誰ってただのババアでございます。ババアでは解らない?


そうですね現在もあいも変わらずロイ様の専属侍女をしている年季の入ったババアでございます。









「ねえエマ。本当に付いてくる気?」


当然でございます。未開の地?関係ありません。私はロイ様の専属侍女ですから。


ところで肩書が専属侍女兼従士となったのですが?




「ねえ、エマおばあちゃん。お母さんやお兄ちゃんについてなくて良いの?」


言葉を変えて来られましたね。ええ。ロイ様と私は血が繋がっております。


十代の火遊びの賜物です。




「たかが未開の地如き。この私が焼き払って差し上げます。」


「焼き払われたら資源的に困るんだけど。」




冒険者になり魔法師としてグループで働いていた。16才の時、顔が良いリーダーと良い仲になった。


ちょっとくらい良いかと寝た。子供が出来た。リーダーが逃走。


3年後迎えに来た。貴族として。しかし彼の実家はいい顔をしていなかった。側室すら無理だった。


愛人として、娘の侍女として10年生活した。娘には悪いが実に退屈だった。




娘が結婚した。一年も経たない内に娘に呼び出された。


やることが無くなっていった自分としてはちょっと嬉しかった。


お母さんを助けるんだ。って言われましても。本当に困った甘えたちゃんですね。


お小遣いも良かったし。再び冒険者活動でもしようかと思っていたのですが。




娘が14で子供を生みました。この少女好野郎と。当時の次期当主殿を追いかけ回してやりました。


二年後またやりやがりました。再度幼女好きクソやろうと当時の当主様を追いかけ回してやりました。


冒険者なめんな。権威に媚びなきゃ力でねじ伏せられねえんだよこちとら。


言い訳に虫唾が走りました。愛の確認だそうです。


私を迎え入れる。お母さんを助けてくれるなら私はそういう人を愛してしまうかもしれない。


娘がそう言ったそうです。


本当に娘の、小娘の愛が欲しかったと。真性児女好きクソ野郎が!









数年もするとロイを発端にランにも私が祖母であることがバレました。


ええ、ガチのあなた達のババアですよ。


「家族しかいない時はおばあちゃんって呼んでも良い?」


そこはお姉さんが良かったのですが。




キッカケはロイに見られた些細なこと。


偶に娘が甘えてくるのです。そしておっぱいを求める。


幼児がえり。貴族とは様々な性癖があるもの。この旦那にしてこの夫人あり。


我が娘ながら情けない。え?私?そうですねえ。例えば女性同士もイケますが何か?娘には違いないですし。




そしてロイは物凄く勘が良い、、、気がする。


私ではなく娘を母親としての彼女に問うたのです。


必死に言葉を並べて取り繕う娘。次々と質問をし続けるロイ。


あっさり娘が音をあげてゲロりました。


お母さんがお母さんに甘えて何が悪いの!と。


そうかあ、お母さんにお母さんを求めていたのかあ。




結局ロイにバレてランにも同じ母親なのだからと平気な顔して四人しかいない時にロイにバラされました。


ええ、3才の時は偶々孫の世話でもしようかねえと近づきましたが、その時以降は私が自主的に専属を宣言させていただきました。


思春期をババアと過ごす。孫を愛しているのだから当然だと言い切りました。娘涙目でしたが。




数年も立つと孫二人の異様さが面白いと気付きました。特にロイはめっけもんです。


やることなす事予想外。少年そのままかと思えば大人顔負けだったり。




魔力枯渇で倒れているロイを抱き上げ膝枕をしてしばらくすると目を覚ましました。


撫でられて嬉しそうにしているロイ。急にハッとしたように目を泳がせるロイ。


撫でるとまた嬉しそうにウトウトとし始め。何かと葛藤するように私から逃れようともがくロイ。


たまにおっさん、おっさんと小声で言っています。まるで自分の中に誰かもう一人いるような仕草。


これは本当に面白い。










この領地に来て早数年。本当に目まぐるしく面白い日々でした。


私はこの領主館でメイド長?直属の従士?として直接孫にコキ使われてやってます。


書類仕事に飽きがきて絶叫し、針仕事?に絶叫し、


執務室から逃亡しようとする彼を羽交い締めにして拘束するのが私の主なお仕事です。




彼に次第に従い、染まっていく部下達。


世間に憐れまれても孫を崇拝する領民達と。


本当に関係性からして面白い。




「ねえエマ。何か必要な物は無いだろうか。」


最近私の見習いとしてナナと言う少女が付き従っています。簡単に二人きりにはなれません。


「そうですねえ。女性としてはやはり湯浴み関連が気になりますが。」


食関連は日々発展というか。私も調味料関連が豊富になってから料理が趣味となりました。


自分で実験するので必要なものは特に有りません。実験の被験者は主に孫ですが。





そうなると住は孫に広い部屋を用意して貰ってましたし。服だって簡単に買えるほどの給金が有ります。


なんかいつの間にか貴族になってました。名誉騎士爵だそうです。家名はナートとしました。


元お館様とその孫。貴様らが私の下なのだ!っとやったら。ロイ様が苦笑していました。




そりゃそうですよね。あなたその孫ですもんね。ごめんなさい。


え?私だって素直に謝りますよ。なんせ私の力でなくて私の孫の。


そう、ロイという孫の力で手に入れたんですから!!!




取り敢えず。ユングには手紙を出しておきましょう。


お前の孫世代、リアル孫の力で私は貴族になったぞってな!


お前にも!お前の親にも出来なかった事を!


孫は鼻歌交じりにやってのけたってな!




出しませんがね。いつか言ってやりたいと想います。同じ派閥内にいるのです。


いつかは機会があるでしょう。おっと、話がそれ過ぎました。


服なんかいつも制服の仕事着だし、あまり屋敷から出ない。


ロイ様以外と出るとしたら新調した魔力糸製の冒険者魔道士用のローブと内服位だ。




そうなると。当然美容ですよね。でも屋敷には小さいですが風呂が有ります。


ただいつでも入れる訳では無いので。いつでも自由に入れればなと思いますと。


あなたのお父様ですらあなたのお母様から求められても出来なかった事ですがね!とちょっと意地悪でしたかね。










二週間しなかった。金あげるよ平民共!で数百人が一斉に集まり。領主館に新たなる施設を作り繋げた。


物、人、金があれば大抵なんとかなる。冗談で放たれたと思える言葉は本当だった。


たまに聞こえてくる鼻歌が領主様のためならえんやこーらとかって聞こえる。本当に怖い。




完成した施設はとても大きかった。いくら掛かったのでしょう。


一日一人数時間で中銀貨1枚程度?


1000人以上投入されましたよね?


中銀貨2枚で大銀貨1枚。大銀貨10枚で小金貨1枚。少金貨5枚で中金貨1枚。中金貨2枚で大金貨1枚。


ロイ様に手をひかれ案内されます。




2階建てのその施設の一階部分が浴場なのだそうだ。2階部分へ案内される。


外から管が中に差し込まれ、その管から流れ込んだ水が一度貯められて、網でゴミが取り除かれて、それからでかい水槽に移されている。


水槽は全部で4つ。


溢れた水は全てイバーナに在った同じ機構の排水溝に流れ込む。




下の階に戻る。入り口は二つ。中に入ると服を脱ぐ場所。


完全に同じ二つの部屋どっちも同じ作りらしい。


浴場に入るというか広間と言うか。


奥にあるバカでかい浴槽に後から後からお湯が流れ込んでいる。


手前の方の天井にはお湯が流れているであろう木枠が通っていた。


木枠の下には樽、樽の下に穴があいた桶。手前が洗い場と言うことですね。




あの桶は見慣れている。


シャワーという浴槽に入る前に身体を洗う為のカラクリだ。


イバーナにも有った。というかロイ様が昔考案した代物だ。




それから巨大な浴槽で身を温めるのですね?部屋が二つ。


浴槽が二つに分かれているのは男女で別けるためですね。


ええ、判ります。お年頃ですもんね。貞操は守るべきです。特にロイ様は危険。




ところでロイ様?どこから水を?


当然手を引かれてというか手を繋いでやってきたのは外。外から水が入っていたのです当然です。


説明が難しいです。


その施設二階に石の柱みたい物が差し込まれているのがまず見えます。


それを支える橋が塀の外へ向かっていました。


それを追います。塀の外へ出ます。


そこからは塀から川に向かて長大な石の柱を支える石で出来た橋がかかっていました。




川の部分はもっとすごい。


塔みたいなのが立っていてそこには大きい水車が三つ並んでいます。


塔に組み込まれています。


三つは独立しているそうです。


そしてそれぞれが上に水を汲み上げる物を動かしていました。


正直あまりにも訳の解らないカラクリが乱立していてどれがどうとは説明を受けた自分もわかりませんでした。




この意味不明な水運カラクリ。


どうやって作ったのでしょうね。


水道橋と言うそうです。


地球人という人達ならそう言うのになと寂しそうに小声で呟きました。


ロイよババアを侮るなよ?ババアの耳は地獄耳なのだ。意味は分からんけど。









私は湯浴みがしたいと言ったのですよ?水浴びではなく湯浴みです。


そうです。このままでは水浴びです。


ですがロイが待ってましたとばかりに再度手を引いて施設へ戻る。


本当に単純で可愛いですね。


だって最初の案内の時浴槽には湯気が立ち上る湯が浴槽に既にはられていた、流れ込んでいたというのに。


疑う必要もない。




この子待ってましたとか。


そんな事もあろうかとって展開が好きなのよね。


多段構え。


性格を知っているし私の為の施設という名目の一種ですから付き合いますが。


魔石を使った魔道具ですね。


ゴブリン程度の小魔石を20個で浴槽が温まると。


温まった後なら5か6個位で一日持つと。




使い捨て魔道具の応用。


毎日使うとかなりのコストですが。


薪代に比べるとかなり安上がり?確かにそうですね。


因みに外から回って裏に入ると魔石も使えるが、薪でも炭でも温められると。




なんかどっかの施設で見た窯に似ていますね。


いえいえ。独り言です。


因みにここ普段は使わないのですよね。何故こんな物を?


ああ、そうでした。今は聞かれても困るんでしたね。


ところでさっきの水道橋ですか?




あれここより人員掛かってません?


掛かってないと。


実はそこまでの技術不要で単純作業と既存技術使用でたぶん990人程度と。


、、、あんまり変わらないじゃないですか!










はい、では一緒に入りましょうか。


「え、おばあちゃんと?」


せっかくナナを返したのです。


一番風呂と行こうではないですか。




なに、これでも結構胸には気を使ってきたんですよ?


ああ、思春期や精通も見届けてきました。侍女の特権です。


若い侍女を何度も接触させ貴族の義務を果たせるのかどうかと色々な娘を充てがってきました。


全て知っているんですよ。孫のそういった事情をね、このババアが!




それで気付いたんですよ。どっちのロイか分からないが。


大きな胸が好き!あなたの性癖は把握済みなのです!




ならばなぜこのババアで処理をしなかったのかと!


呼ばなかったのかとハアハアしました。




思わず欲望と冗談が同時に声に出て漏れてしまった。


反応が無い。いや悲しそうだ。


「そっか、足りなかったか。ごめんね。おばあちゃん。」


とっさに全身低頭全身投げ出し五体投地で弁明をする。


「とんでもございません。このおばあ、孫の孝行にあまりに感動して混乱しました!」


そうか、もう一人のロイが、おっさんがいない場合はこうなるのか。


むしろこっちが今回の主導だったんだ。祖母孝行したい。


一緒に来てくれた祖母に喜んで欲しい。


ただそれだけの純粋な感情だったんだ。




やっちまった。


「そ、そっか冗談か。喜んで貰えたみたいで嬉しいよ。」


ちくしょう。例のおっさんめ。こういう時だけ絶対出てこない。


しかも孫からのプレゼント。こっちの軽い冗談に対する超特大だ。


嬉しいに決まってるじゃないか。


からかえない。おもしろくないが嬉しい。









私にどうしろっていうんだ!!!


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