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141.石橋は叩いて渡る

なかごの刻印を眺める。


製作者の銘は同じ。でもナンバリングが058。


悲しい。物凄く悲しい。超希少価値のあったコレクションがすり替えられた気分だ。

普通に買ったんだけどね。


もうわかるだろ?カツアゲされた気分だ。001を渡さにゃワイにはもう手がなかったんや。良いけどね。これもネタにさせていただきますんで。


でもさあ。見てこの中途半端なナンバー。001が058。


分かる人にしかわからんかもしれんが。


後悔してるさ。ミスリル買ったことを!でも後悔はしてない!ミスリルっていう異世界名物で刀が手に入るんだから!


って強がってはいるんだけど。


玉鋼で鍛え上げられた日本刀。初期ロッド。みんなどう思う?


しつこいって?


初版本とか原書とか原画セルとか復刻版とか新作とか新商品とか興味ない人には一切伝わらない感情なんだろうなあ。


絶対資産価値有った筈なのに!









腰にぶら下がる新たな刀。購入資金?5億の借金前借りで買ったさ。借金とか途中開発中止とか怖かったんだよ!途中中止から再開発って更に金かかるんだってよ!彼女に忠告されて良かったよ!心折れたよ!


新しい刀は1本約2000万円。ってかナンバリングから察するに最低58本以上は売れてるんだ。他の人も作っている事から考えるに100本以上は売れてるんじゃないかな。


特許料いっぱい入ってこないかなあ。


契約は交わしたから今後は請求が来たら彼女に借金を申請すれば良いだけ。


3本以上で借金無し。4本目からはむしろ利益。


、、、鍛冶屋連中嘘言ってないよな?なんか心配。


ふらふらと。それはもう気力が抜けた状態で町中をふらつく。


ふと鼻孔をくすぐる腹減るニホヒ。カレーやなあ。カレーでも食って気分変えるか。転移者が先にいる異世界。正直すごく助かる。食料衛生の革命を起こした領主様を利用して料理革命を起こした愛人様メグミさん


カレーなんてよく作れたな。材料さえ揃えられればカレーは作れる。材料さえ揃えられればな。


一応言っとくぞ。胡椒、クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、唐辛子、ターメリック、クローブ。こんなのを揃えて粉末にして調合して研究していけば作れる。ちなみに簡易的で良いならコリアンダー、クミン、ターメリックでいけるはず。


そもそもそんな種類の香辛料集められるか?しかもこの領香辛料をかき集めて研究し量産まで開始しているらしい。


ああん?コリアンダーってどんなのだって?オマイラ話ぶった切ってくるなあ。せやなあ、パクチーとか香菜シャンツァイって言ったら分かるか?


え?クミン?実は一番説明が面倒。たしかセリ科の一年生草本で20~40センチ位で葉は1センチ位。花が傘型で2~3センチ。花弁がピンクか白。花が春位に咲いてひと月で種が出来る。種は白い剛毛に被われていて小舟型。んで苦味と辛味が有ると。


ターメリックなあ。ウコン。根っこが黄色いやつ。生姜みたいなやつだ。え?探し方って。あのなあ。どんな事にも言えるけど。異世界で全く地球と同じ植生だなんて思わない方が良い。食ってのたうち回って確認するしかねえんだよ。領主様みたいにな!


そもそもの味知らないと確信持てないから、今からでもそれぞれの風味と特徴は知っておいた方が良い!某メーカーでパウダー売ってたから、さっきの3つは特に確認しとけ!あと塩忘れんな!塩味無いと風味だけだからな。


、、、最近脳内オーディエンスの筈なのに。自立型オーディエンスがいるような気がするんだが。








食堂に入ってカレーを注文する。でてくるのはカレーライス。バーナだとカレーといえばカレーライス。ナンとかパンで食べるんじゃないんだよ。カレーライスが標準なんだ。何故ならこの領の主食が米だから。


転移者の彼女が作り出したのかと思えば納得出来るんだが。異世界物語でよく読むじゃん?日本人。魂。米。醤油。味噌。食えなくなりゃ恋い焦がれるってな。


まさか彼女が転移した段階で既に全て揃っていたって話。麦が税の対象なら他食えば良いじゃないか。その辺にワラワラ生える稲の実なら税金かからないから良いよね。って脱税推奨の領主様思想。そりゃそうだ、個人で米の増産に進もうとしても限界がある。しかも当時は米は畜産の餌で飼料だったのだ。


豚のエサ食えって言われてみ?正気疑うし拒否するだろう?でも言っているのがこの世界の絶対的権力者の貴族様でトップの領主様だ。しかも臭い部分。糠を落とせば美味くなると研究済みだった。


更には発酵という概念を正しく理解し研究していた。チーズって醗酵食品なんだよな。青カビチーズなんかが判り易い。だって見たまんまカビじゃん。


故に豆が腐る、もとい発酵すると味が変わる。問題は何をもってして発酵させるかだが。あんだけ色々研究してりゃ納得ってもんだ。金有るし権力有るし好奇心旺盛。非人道的という言葉を気にしない。


そしてこのカレーライスは彼女が作り出した。カレーは米にかけて食うという常識を植え付けた。美味すぎだ。様々な香りが鼻孔をくすぐり。臭い辛い、が慣れてしまうと中毒性を持つ。しかも体にも良い。



ただ。言わせてほしい。ジャパンメイドのカレーと違ってかなりスープっぽいし小麦臭い。


シチューもそうだった。小麦の香りが強いのだ。トロミは有るんだよ?だから不思議なんだ。確かにこっちの小麦粉はっていうか麦は香り高く味も濃い。パン屋が作る焼きたてのパンの香りなんか暴力的だ。


なので小麦の所為かと納得してはいたのだが。そういえばシチューは有るのにグラタンが無い。グラタンが無いというか微妙なグラタンなんだ。私はアレをグラタンとは認めない。


認めない。絶対だ!







って訳でやって参りました。豪邸に。


「刀を取り返しに来たのかと構えて見れば、まさかのカレーとグラタンへのクレームとは。しかもグラタンだけ強調してるし。」


「仕方ないだろ!ワイが勝手にホワイトソース作って普及させたら料理王(笑)が切れるかも知れないじゃん!あと、刀の件はネタにするから!」


やいのやいのと料理研究室というか厨房へ向かう。だって材料集めるのめんどいし。台所ある部屋に住んでないんだもん。公衆厨房に行ってもいいけど。こっちの方が料理普及早そうだし。


「私だって小麦粉炒めて入れてるわよ?でも。確かになんかイメージと違うってたんだけど。」

「炒めるって煎るって意味じゃねえし。そのままやったらアホだおw料理王(笑)様。」


詳しく聞けば彼女はちゃんと小麦粉を炒めていた。正確には煎っていただけで。そのままカレースープなどにぶち込んでいただけだった。


「仕方ないじゃない。日本ならルウだってホワイトソースだって市販されてるし。そこから作れば手作りって言われる時代だったんだから。」


彼女の言う通りだろう。だから知らない人が多いんだよなあ。例のカレー粉の缶をスープに入れればお馴染みのカレーになるなんて勘違いするやつがでてくるのとか。小麦粉ぶち込んで煮込めばトロミが付くという方法を知っているのはまだマシなのだ。


「本当に対価は活動資金の当座のお金で良いのよね?」


「あと出来ればミスリル刀が出来た時に高値での買い取りキボンヌ」


刀の件はもうネタ話で良いや。噺家の仕事みたいな職業をやっている自分にとっては領内や国内旅行をした時に美味しいものが食べられることの方が先決だ。だってこんな彼女でも国内最先端の料理法を発信する料理学校の校長だ。是非とも広げてもらいたい。


用意したる材料は小麦、バター、ミルクだけ。

ホントは塩入れたりコンソメが欲しかったんだけど、代用のスープも有るけど説明に必要なのは最初の3つだけだ。バターの代わりに油でも可。



先ずはフライパンを火にかけてバターを溶かす。んで同量の小麦を入れる。んで手早くひたすら混ぜる。焦げ付かないように気をつけながらだ。


「むしろ粘土っぽいんだけど」


現状ダマの塊やからなあ。火から離して温度調節しながら今度は少しづつミルクを数回に別けて投入。投入するたびに火にかけながらしっかり混ぜ合わせダマを潰すようにする。


「ヌタヌタになってきた、、、」


ヌタヌタってすごい表現だな。彼女の表現力は意味不明だな。


「ふわふわでプルプル、、、ホワイトソースだ!」


せやからホワイトソースの作り方だって言ったろ。


「で、さっきも冒頭で言ったように小麦粉とカレー粉を一緒に炒めて以下略。他にもこのソースをミルクの代わりに出し汁で伸ばせば色々なソースになるんだお。異世界調味料で醤油が最高峰なんてそんなの日本人にとってだけで、世界中の昔の料理が不味いなんて自意識過剰も甚だしいお。フランス料理やイタリア料理に醤油が昔から使われていたかい?」


「それは分かってはいたけど。デミグラスソースとか作り方知らなかったんだもん。」


彼女はモドキというか原点までは作っていたのにね。片栗粉探しをしてたみたいだし。発酵調味料の研究もしていたみたいだけど。昔からの手作りって意外と現代っ子は知らないんだな。


彼女と一緒に来ていた料理人?使用人みたいな人達が工程を確かめながらホワイトソース作りを始める。それこそカレー粉はもちろん出し汁を投入したりと色々試行錯誤を始めた。


まあ、日本人同様に大豆の風味に飼い慣らされた領民に流行るかは知らんがな。







という訳で報奨金プリース!

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