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137.異世界露店事情

バーナ領第一都市自由市場。




自由市場とは名が付くものの実態は違う気がする。確かに誰でも自由に店を出せる。


イメージ的にはフリマだろうか。藁で編んだ茣蓙を敷いて商品を並べる。値段交渉は自分でやれってやつ。値札が無い。


商業ギルド所属なら仮看板みたいなものが貰える。領民なら役所に先に申し出れば同じく仮看板みたいなのが貰える。両方だと商業ギルドで領民商人用の看板が貰える。


自由市場なんだけど。税金も取られないけど。取引は基本紙幣。そして何故か売れる店とまったく売れない店が存在する。


景気は凄まじく良い筈なのに商売が成り立たない者がいる。何故か。相場が分からない人。素人。流れの商人。


つまりそんな人間が出した店は信頼が無いから最初から見向きもされないんだ。

来るだけでこの好景気にありつける?(ヾノ・∀・`)ナイナイ


基本的にこの好景気を享受できるのは領民商人、領民、商業ギルド所属商人、流れの商人。余所者の空気読めないやつ。そして領外から流れ着いた貧民等の余所者。って順番かな。


領民商人。商業ギルド所属の領民商人。信頼と実績があり、基本的には店舗を構える大店が多い。


行商人もいるにはいるが大半があっという間に実績を積んで店舗を構えてしまう。それ位この領は経済活動が活発なのだろう。


でも何故か自由市に店を出す領民商人がいる。なんでも市場に活気が無いと寂しいからって理由と祭り感覚で楽しいからという趣味として出している者がほとんどだそうだ。


市場の領民商人の店の特徴。組み立て式の屋台みたいな店。


領民出店は同じく趣味や小遣い稼ぎみたいなものらしい。信頼と実績というより領民同士のたまり場みたいなお遊び感覚じゃないかな。


農民みたいな人が野菜や果物を売ってたり、冒険者みたいな人が肉や毛皮で出来た敷物みたいなのを売っている。他にもアクセサリー等の小物や色々な服が売られている。


領民の店の特徴、組み立て式のテーブルとタープみたいなテント。


商業ギルド所属の余所者商人の場合。うん。なんだろう。行商人。相場知らないっぽい。珍しい商品なら売れるだろうって意気込んできたんだろうけど相場が合ってない。


この領じゃ意外と常識みたいな商品が高額で置いてある。だが全部が全部そうではない。ある程度相場を調べてから需要と供給を理解した商人がこの領で大金をつかむ事が出来ているらしい。


ただ、そういったやり手の商人は人気が高い為、あっという間に商品が無くなり何日も店が残らないらしい。


行商人も博打みたいなもんなんやね。当たるとデカい。店の特徴は仮看板横に荷車おいてあるから一発で判るだろう。


流れの商人。先に言った商人とあまり内容は変わらない。ただし、ハズレが多く危険な商売の可能性、違法取引に当たる商品の可能性。出所不明商品。危険が一杯でかなり嫌煙されるようだ。


店の特徴は横に荷車があるだけ。衛兵か警備兵が泳がせているのではって噂があるのだ。可能性としては濃厚だ。この第一都市で犯罪?厳しくない?なら何で?って思うじゃん?いつものアレです。プスってやつです。


余所者。たぶん旅行者とか貧民。言い方悪いけどゴミ拾って茣蓙に並べているようなもん。一定期間店が出た後いつの間にか消えている。


偶に貧民っぽい奴が領民から声かけられてるからそういう事なんだろう。これもいつもの。

いつの間にか領民ってヤツだね。


そんな感じの自由市場。税金はかからないけど入領税は取られんのに良いんかね?宿代だって馬鹿にならんだろうし。相場情報知らんかったら大赤字確定の地獄ロードまっしぐらなのに噂だけで来ちゃうらしい。








って訳で相変わらず情報収集の街ブラです。ほんと祭りみたい。ガヤガヤ騒がしい。市場から離れたらあっという間に静かになるのに。街中にある個人商店行った方が間違いなく安いのになあ。


しかし、今のワイの財布の紐は緩い。何故って理由いらんやろ。大金掴んだも同然なのだ。

グフフ、政治家万歳。権力者との縁最高。金持ち大好き。



、、、この人何やってんの?ゴザ敷いてその上にテーブルとイス。冒険者っぽい人が酒盛りしてる。


仮看板がある。んでテーブルの端位に銀塊が三つ。売り物はたぶん銀塊。屋台飯を堪能しながら昼間っから酒盛り。


「あの、その銀塊いくらですか?」

一応聞いてみよう。


「あん?コレは売りもんだが売りもんじゃねえ。っと言いたいんだがお前、金のにおいがするなあ。一発やるかい?」


胡散臭い冒険者の一言。一発とは一発で値段を決める商人との勝負事みたいなものだ。相場ギリギリなら滞在費等の経費如何で売ってくれる事が多いそうだ。


そりゃあ在庫抱える位なら損切した方がマシってヤツ。条件は前金を払う。この前金が最初の掛け金みたいなものだ。つうかコレ博打だよね。


ただし、今回の相手は冒険者。領民同士。喧嘩にはならないし笑い話で済む。


「前金は1万で良いぞ。」


銀塊の掛け金が1万ねえ。確かに喧嘩にはならんけど。


、、、胡散臭えぇ。


サイズ的には一個100万?いや300万位じゃねえの?一個あたりがかなりデカい。しかも売り物なのに売りもんじゃないの?何それ。


「おおっと。あんまり商品を見ないでくれ。」

そう言って銀塊に布を被せて隠してしまう。益々怪しい。しかし相手は同じ領民。危険はないはずなんだが。しかし1万なあ。酒代かなんかなのかな。


「はっはっは。マジで乗るのか。良いんか。1万なのに。」

あれ?いつの間にか紙幣渡していた。


相場通りなら全部で1000万位なんなんかな。1個30キロ位はありそう。未精錬だとしてもまあ1000万位なら買ってやって良いか。


この冒険者さん強そうだし。仲良くなれたら良いだろうし。ちょっと損して徳取れ縁取れって感じで1500万とかなんなら2000万位払っちゃおうかなw今金持ちだし。


「そうですねえ。銀の相場なら全部で900万と言いたいところですけど、いっせ、」


「いっせ?どうした。」


2000万はやり過ぎw1500万と言いかけてハタと気付いてしまう。


このテーブル中央一本足で足場が円形だ。中央から半分は屋台飯と酒だけだ。何で100キロ位の重さが掛かっている筈なのに倒れないんだ?


冒険者は肘を掛けてるだけだぞ?身体強化使っているようにも見えんし。冒険者がすげえ力持ちって可能性もあるけど。


偽物?笑い話なら確かにそれで済むんだが。900万て答えるヤツがいたら詐欺で訴えられる、、、事もないか。


領民を騙す仲間はほぼいない。こんな堂々としてる。売り物としてこの銀塊を登録しているから看板出してるんだろうし。


まさかなあ。いやでも。もし本物ならそんな値段じゃねえぞ。


「ば、ばら売り、一個買いしても良いですかね?」


「そりゃあな。元々そのつもりでいたしな。」


ホッと胸を撫でおろす。いや、待てよ。

「少し、もう少し考えさせてください。」


コレが本物ならば話のネタになるかもしれない。先に述べたように巻き上げられる心配はない。ならやっぱり本物にかけるべきだ。ならこれ全てが本物だとしたら今後自分が入手できる可能性を考えてみる。


ねえなあ。ねえよなあ。ついでに一個くらい領主様の手土産にしたら超絶評価高まるんじゃねえかな。超大物貴族の御機嫌取りってこれ位いるんちゃうやろか。


「あの、支払い月末まで待ってもらえます?手形とか契約書は書きますんで。」


うん。冒険者さんが驚いた顔で頷いてくる。せやろなあ。ワイがコイツの正体がわかった事に気付いたようだ。


当たり前だ。本物ならこんなところで取引出来る額の代物じゃない。


この大きさなら普通は貴族が買うレベルだ。小金持ちが買えるレベルじゃねえ。


いや、ここには趣味人の大金持ちの商人やら鍛冶屋が店を出して遊んでいるんだ。そいつらなら買えるだろう。


だから酒飲んで彼らが店じまいするのを待っていた可能性もある。なら即決価格が良い筈だ。

確か相場的に全部で8000から9000位やろか?駄目だ。金銭感覚狂いそうだ。


何で異世界物語ってあんな金額ポンポン動かせるんだよ!こちとら小市民だよ!








「1億2000万!」

ワイの値段を聞いて冒険者驚く。なんか周りの空気が変だ。


いつの間にか周りから注目を集めていたらしい。


「いくら何でもこいつにそれは高過ぎだ。どっかに借金して払うならお断りだぞ。」


おお、やっぱり領民同士だと心配されるんだな。逆に高すぎて断られる場合もあるって事なんだな。


「心配無用!今月末にちょっと大きな報奨金が入る予定ですので。」


「生活苦しくならんか?」


すげえ心配されてる。ワイ的にはこの額なら払っても良い筈。ネタになる筈!


「なりません。コレは絶対欲しいです。次いつ入手の機会に巡り合うか分かりませんので!」


今度は冒険者が考え出した。売り物なのに売り物じゃないってのが気になるなあ。本当は売りたくないって事なんやろうか。


「はあ~。1億で良い。まったく。」


「いえいえ。一発なのですから1億2000万で良いです。その方がコイツを手に入れられる貴方と縁が出来そうなので。」


「お前、面倒そうなヤツだからやっぱ1億で良いわ。」


サラサラと契約書を書いて渡してくる。1億円。血判が押してある。


自分も名前を書いて、さらに1億の記載の所を二重線を引き1億2000万と書いて金額の所と名前の所に魔力を流しながら血判を押す。


おおっと冒険者さんよ。本当に面倒そうなヤツに絡まれたって顔しないでくださいよ。

しかし。マジで手に入れてしまったおw

皆さんお待ちかね異世界名物魔法銀。ミスリルってヤツw


被せていた布を外してミスリル触れて魔力を流してみる。ウハwスルスル魔力が通る。三つ共間違いなくミスリルだおw


「よく分かったな。酒代に良いカモが来たと思ったんだが。」


そりゃあ、アレだけヒント有ればね。


「貴方の様な強そうな冒険者がただの銀を売るとは思えない。何より魔法銀がただの銀より軽いって知ってましたんでね。机が倒れないって事は見かけより軽いって事だし。」


冒険者がまた驚いた顔をしている。せやろwワイの観察眼もなかなかのもんやろw


「いや、普通に重いぞ?俺が手か足で机を押さえておかなったら普通に倒れるぞ。」


ん?

んん?

落ち着いて一個を両手で掴んで持ち上げてみる。あれ?普通に重いぞ?20キロ位あるんじぇね?他の二つも持ち上げてみる。やっぱり重い。


って事は計60キロ以上をこれから持ち帰るって事?そういえば家賃貸や。セキュリティガバガバやなあ。貴重品預り所にでも預けとくかあ。


「はっはっは。運が良かっただけか。まあ良いさ。金になったしな。」

くそう。冒険者さんの言う通りってことかよ。否!ワイの感は当たってたんや!問題は此奴をいかがするかだ。未加工品をそのままロイ様に献上してええんやろか?


貴族様に未精錬のミスリル。うん。アカン気がする。フェイ様に聞いてみるしかないか。とりあえずこれを運ばなければならない。どうする?いけるかワイの身体強化で。集中力もつかなあ。三つの金属の塊を身体強化使って持ち上げて振り返る。








「おい兄ちゃん!良いもん持ってるやないけ!」

速攻で絡まれマスタ。


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