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136.魔道具とは

さあさあ。皆さん、異世界お馴染み魔道具作成始まるで~。






用意したるは彫刻刀。出来れば持ち手の木製部分はトレント等の木の魔物製が良い。刃先はこれまた同じく魔物製の牙などによるものが良い。


実際には鉄でもなんでもいけるっちゃあいける。


なら何で魔物製かっていうと魔力回路、刻印術式を刻む時は自分の魔力を込めながら刻印しなければならないから。


ただの金属に魔力を纏わせ続けるのはできなくはない。維持し続けながら回路みたいなのとしたい事をイメージしながら刻印施すんだぜ?


滅茶苦茶疲れるしそれなら魔物製の方が魔力の保持時間が長いからその方が楽じゃん。

ハッキリ言っとく。ただの金属だと疲れるんだよ!


あとそこに流し込む魔力液エーテルリキッドを用意する。


材料は粉末魔石。魔物の血。今回は共にオーク。黒炭の粉末。若干の水。そして自分の血をサラサラの液状になるまで入れると。


はあ~。入れるんだよ自分の血をピューって出しながらかき混ぜるんだよ。痛いけど入れるわけだ。


描いた術式との親和性?意思を術式に乗せるためにも自分の魔力同士の方が親和性、融着性みたいなもんが良いから触媒として自分の血を使う。


理屈やら理論は解るけどさ。痛いの嫌なんすけど。しかもあの理論だとワイの場合、魔物の血と水と自分の血の比率が、大分自分の血多めになるっぽい。慣れてないってのもあるだろうけど。


やるけどさ。


そういやロイ様がこの溶液の細かい比率とか術式の書き方とか魔力の込め方とかさ、研究書執筆してたけどさ。ガキの頃からの研究らしいんだよねえ。


うん。頭おかしい。マッドサイエンティスト。子供の頃からマッド様でした。







今回はトレントとオークの牙製彫刻刀でトレントの厚さ1cm直径10cm位の円盤を加工するでござる。先ずは円盤の中心に穴を開ける。んで独楽コマになるように棒をブッ刺す。んで一度回るかの確認をして棒を引っこ抜く。じゃないと描き難いから。更に魔石埋め込む用の穴を三つ程掘る。位置はなるべく円盤の端の方で正三角形になるように。


んで術式を描くというか彫り込むんだけど。ワイの場合ここで裏技を使う。


姿勢を正して一礼。


お願いします!ユニークスキル様!!


ユニークスキル:言語理解【ブットバシタイ】

       :言語翻訳【人生左団扇】


フハハハハハ。何とでも言うが良い!コレが持つ者と持たざる者の差なのだよ!


一応ユニーク様がねた時用にアンチョコは作成済みやで?だって怖いもん。一応暗記してる位写本はしてるけど怖いんだよ。ユニーク様の反応が。スキルもだけどさ。


んじゃ身体強化して工具に魔力纏まとわせてやっていきますかね。側からカリカリとなるべく正円になるようにっと。排出から始めるべ。だってインプットが多すぎてショート怖いじゃん。


んで円の次に放出の仕方、放出量、吸収、力の負荷、力場形成、を繰り返して掘る。文字数間違えませんようにとか思わずに大胆に掘る。イメージ大事。文字数なんざ文字の大きさを最後に調整すりゃいいんだ。


内円で吸収を描き、さらに内円を作ってその内円で魔石を繋げるように描く、んで吸収だ。そこに吸収、放出、出力調整をひたすら掘る。繰り返し掘る。


中心に向かって図形を繋げながら描くんだけど。今回は同じ図形で良い。丸と三角を組み合わせた図形だ。重力最下点まで力場形成。最上点にて最大力場形成をイメージする。それを五か所。


細けえなあ。もっと大きくしとけばよかったかな。でも重くなるし。つうかこれ魔力続くかな。急ぐべえよ。


力場の形成の仕様等を文字で彫り込んでいく。そしてココで棒をツッコんで棒に回路を繋げて更に力場仕様を書き込む。文字で。ほんと細かいよなあ。


ずっと魔力を込めながら動作イメージを頭の中で描きつつ彫り込んでいく。コレが第一段階。


コレさえ出来ればあとは魔力液の出番だ。


痛ってえなあ。ホンこれ。じくじく痛みますわあ。しかもかき混ぜながらサラサラになるまでやるんやでえ。魔道具制作ってこんなに痛いん?大変なん?失血死するで。マジで!


完成した魔力液を円盤の術式に刷毛でどんな動作をするかをイメージしながら塗り込んでいく。ココでも魔力を込めながら。


コレで完成。って言いたいんだけど。実は最後にちょっとした作業がある。


なので橋台。要は独楽が縦回転するように穴を開けた台で挟む。そして円盤にオークの魔石をはめる。これで最後だよ。魔力を流し込んで魔石から魔力を吸収するイメージで魔道具を作動させる!







回るねえ。回転してんねえ。そして研究員達が注目してるねえ。普通に円盤回ってんだもん。回ってるだけとはいえこういう事だろ?回転動力ってのはさ。


「何故木で作ったのですか?」

研究員の一人から質問を受けた。


「材質が軽いし魔力の出力が少なくても済むと思ったから。というかこういうの作るなら私の魔力操作練度ではこれ位しか作れないからです。」


マジそうなんよ。魔力操作練度が低いと掘り切れないというか魔石とかが反応してくれないとか出力されない場合が有るらしい。だからワイは最低ランクのオーク使用魔道具なんだよ!


しかも出力の底上げ狙いでさりげなく重力反応とかするようにしてるし。


「回っているだけですね。これ位なら皆作れます。」

パナスと言った主任のお姉さんがやっぱり否定してくる。うん。素人っぽいヤツにいきなり回転魔道具作られて悔しいだろうなあ。


でもそれだけじゃないんだわ。何故今回1cm厚にしたかって言うと5mm厚までで外周を削っているんだよ。なるべく均等になるようにギザギザにな。コレがあったからまた大変だった。今何時?夜中だおwって位かかったし。朝来たのにね。


みんなもう解るだろ。机の下に隠していたのを取り出したるは横回転バージョンのコマ。更に他にも各種のコマ。


繋げていきまーす。回りまーす。水車有るんだから気付けよこれ位!何で魔道具単体で完結しようとしてんだよ。もう一個作って繋げりゃ出力上がるかもしれないだろうが!そういったものから研究するべきじゃねえの?


ここのトップであるロイ様だって複合魔道具作りまくってんじゃんよ!科学技術取り入れてるじゃんよ!


つまりそういうところだぞ!きっとロイ様が指摘したいのは。

予算をかければ良い物が出来るわけじゃない。理想は良かったのだろう。着眼点も良かったのだろう。


方向性が間違っているんだよ。小型で模型を作ってこういう動作をするものを作りたい。ってまず方針を決めなくちゃ投資者だって不安になるだろうが!


上がってくる報告書が動きません。頑張ります。予算はくださいってどんだけアホなんだよ!だから貧弱素人のワイが視察なんぞに指名されるんだよ!


「そ、それは解っていますが。」

ああ言えばこう言うパート2。言い訳はしてもかまわない。だが意味の無い、感情だけの言い訳をするなっていうんだよ!

そんなつもりは無かったけど一つ一つ指摘しながらお姉さんに詰め寄ってしまう。


「そこまでだ。今日はもう遅い。報告は明日にするとして視察終了だ。」

キンさんに羽交い絞めにされながら研究所を後にすることになった。


いつの間にかワイヒートアップしとったわ。だってあれで金貰えるんだぜ?気持ちは分かるさ。でもこの領に役に立っているようには思えない。あのままじゃただのお荷物だ。仲間の足を引っ張るだけだ。


性根を叩き直してやる!って何故か思ってしまったんだよ。







後日、ロイ様に報告中。

「ということでございまして。その、視察したんですけど。何故かヒートアップしてキンさんに強制終了受けた訳でございます。」


「そうかあ。それは仕方ないね。しかしまさかキンも魔道具が作れたとはな。」


せやで。ワイの真横で同じもんキンさん作って同じ動作させてたんだよ。しかもワイより強力に回っとった。

そのキンさんですら出来た魔道具。オマイラ本当に研究者として、実力者として意識してんのって話だ。この領の魔道具研究所の職員てことはこの王国でトップの実力を持っている筈なんだ。なのにあの出来。使う予算額。


ブットバシタイ!


「ハッ!彼が真横で説明してくれながら同じことをしていたら作れました。」


独り言やったんやけどなあ。ワイより出来が良いとかマジ涙目なんやけど。それを聞いたロイ様が御機嫌で笑ってらっしゃるからええんやけど。


「刻印術式による魔道具作成は貴族たる条件の一つになる法案が通りそうだからなあ。まあ明日にはそうなるらしいけど。」


ロイ様のトンデモ発言。


いや?いやいやいや。あの刻印術式って、魔道具作成法って。邪法だと思うんだよ。


死んだ魔物の核と血液を。生きている自分の魔力でフィルターに掛けて魔力という力を指向性を持たせて強制的に従わせる。


それが魔道具の基本。己の欲の力で道具を染め上げる。それこそが真髄。


だと思うって前話してくれましたよね?


「仕方がないだろう。君が提案した地方紙幣の法案を通す為には当然の流れなのだから。魔道具が作れなければ責任が保てない。まあ私が作っても良かったのだが家臣達に止められた。」


「当たり前ですよ!ロイ様が作る必要なんてありません!そんなの自分の責任で持てる範囲でそれを作る。それが貴族の仕事じゃないですか!」


おっと思わず反応しちゃったぜい。貴族もっと苦労せい。なんかそんな気持ちがどっかに有るんだよなあ。


この領の貴族の人達見てるとイメージとかけ離れていてそんな気分も薄れてはいるんだけど、一部の貴族には日本人が思い描くような連中もいるらしいって聞いた事あるし。



「ん、んん。まあ。そういう事で君が提案した法案が通る事になった。この国の国法と貴族法でね。この領では施行済みなのだがな。」


咳払いしながらロイ様がそう言った。ん?ワイ提案の法案?ワイ平民やで?ええのん?


「バーナで承認施行され試験運用はほぼ終わっている。なので私が国に提出。所属派閥、領地持ちの貴族、王族が賛同している。間違いなく全会一致で通るだろう。従って領と国と何故か家臣から君に報酬が出る事になった。」


ウハ!領(ロイ様)と国と家臣(たぶんフェイ様達)から報酬ってワクテカやんけ!今回の姉ちゃんから(たぶん)嫌われた事なんかどうでも良くなる話やんけ。まさに左団扇!なハズ!


視察は仕事の一環だったから固定給にちょっと色(1万円)が付くだけだってフェイ様に言われてたんだよなあ。あんな事しても視察の一環って話だし。まあ暇だったし。ニート生活に対する後ろめたさもあったから別に良いんだけど。って思ってたのにココで来たお!


「国から1億、家臣達から5千万、わたし、いや。領から1億。締めて領紙幣で2.5億円だ。銀行振り込みで処理する。振り込みは来月末だ。」

「いいいいいいいいよっしゃああああああああああああああああ!!」


刀制作に投資した以上の臨時収入を得た!


ヤバかった!マジで。大の大人がロマン求めて固定収入有るからと投資してスッカラカンだったんだおw生活費考えて無かったんだおw







ところで所得税って無いですよね?

無いですかそうですか。


よっしゃああああああああああああああああ!


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