120.あれから
あれから随分経ったもんだ。
ああ、オレさ。オレオレさ。
残念でした。オレでした!
「ちょっと見ない間に随分やかましくなったな。いや、元からか。」
「キンさんひでえよ!ちょっと聞いてよ!オレがこの一か月どれだけ大変だったか!」
え?今キンさんと飲み会中。奢ってるお。奢るよそれ位。前回奢ってもらったし。前回?二週間前だよ。
二週間でちょっと見ないだってwプークスクスwええ友達なんですけど!
「なんだ。そんなキツイ仕事ばかりなのか?この間は楽勝だって言ってなかったか?」
「ちげえよ!増員されたんだよ職員が!しかも二人も!」
「何が言いたいかわからんのだが。」
「所長も副所長も可愛いんだけど。増員組二人も可愛かったんだ!」
「、、、で?」
「でじゃねえよ!四人とも可愛いんだよ!据え膳だよ!仕事上ナンパ出来ねえし食事時間とか帰所時間とかあるから、彼女達!が俺!を待っててくれるから色町にも行けやしねえ!」
わかるだろ?男なら!
「普通に休日に声かけちゃいかんのか?」
「こっちは仕事でしてる。真面目でクールな俺を見せてるんだからそんな事したらカッコ悪いだろ!」
「あら?普通に声かければ良いじゃない。」
ギギギっと振り返ると、見知った方がお一人。だけではなくとんでもない方を横にというか腕組んでるし。
「領主様!お久ぶりでございます!」
取りあえず挨拶!これ大事。
「やあ、ユウスケ。キン。久しぶりだね。ユウスケがここにいると報告を聞いてね。丁度話がしたかったんだ。」
、、、サッと周囲を見渡す。警戒せねば。客無視。というか他の客が俺よりさらに周囲を警戒している。キンさんも同じ。簡単にくんなよ領主様!
「報告書は読んだよ。相席良いかい?って言っても勝手に座るがね。そうそう。気楽に座って。うん、それでいい。でだ。初日で大分見つけたね。」
「やっぱり実体験は違うわ。改善点やそれに対する対処法の考察。収容人数の大小で対応が変わる可能性とか。面白い報告だったわ。」
「ありがとうございます。」
ドヤ!初回から二人から高評価だ!
「それでね。今こんな冊子を作らせていてね。役所に置こうと思うんだ。明日から。」
、、、それって断れないやつじゃん領主様。で、なんでキンさんに読んでみろって渡すんですか?
「何々?ユー氏の生活保護生活体験記。だってさ。」
キンさん。それ俺しかいないから速攻体験者身バレするタイプ。
「えっと。初日から6日間は施設の掃除に奮闘。しかしこれは仕方がない。施設運営費を節約するためだろう。清掃員、使用人の見習い期間となるらしい。ただ、職員さんテラカワユスw」
声に出さないでほしい。公開処刑?そういうプレイなん?
「ようやく初めての外部の仕事だ。見送ってくれる職員さん。彼女達から離れたくない。」
「、、、」
言葉が出ない。
「穴掘作業は職業選択期間の時の仕事と内容は変わらない。あの時はただ疲れただけだったが今の私はひと味違う。何故なら待っててくれる人がいるのだから。職員さん。待っててください!」
「、、、、」「、、、、」
そこは感情入れずに読もうぜ。
キンさんと見つめ合うと互いに言葉も出ない。一応ワイ笑顔やで。言葉が出てこないだけで。
「職員さんが増員された。この二人もかなり可愛い。いや。天使だ。四人とも天使だ。私はいったいどうしたら良いのだろう。コレはモテ期到来恋の予感。ハーレムルート確定では?ってユウスケこれは、、、」
「なんでこの内容にしたあ!」
メグミさん。テヘペロじゃねえ。せめて冊子作る前に一言俺に聞いてくれ。領主様。不思議そうな顔をしないでください。
「とりあえず1月目の体験記としてはコレが最善と思われるが。施設云々の改善点は別の話だからな。君が感じた生活をそのまま載せただけだが。違うのか?」
止めてください領主様。間違ってない。体験感想としては合ってんだけど。
そうじゃない。たくさんの改善点示したじゃん、ってそれとこれとは別なんだもんな。そうなると生活の感想文の部分だから。
合ってるな。確かにそんな事しか書いとらんわ。いや、食事の感想とか。
「彼女たちが私に食事を作ってくれるのだが。この一月おかずは肉を焼いたもの。料理のレパートリーが少ないのだろうか。安心してほしい。私は他の料理も作れる。それに彼女の料理が例え肉だけだとしても私は幸せに美味しく食べられる男なのだから。」
書いた。確かに最近それ書いたよ!公開処刑ってレベルじゃねえぞ!
「一応ユー氏って著者にしてあるでしょう。かなり気を使ったのよこれでも。あなた後半妄想垂れ流し過ぎでしょう。改善報告はまともなのに。私生活の方が頭がおかしくなったのかと思って正気を疑ったわ。同一人物が同じ日に書いているなんて思えない内容だもの。」
ですよね~。素直な心とか思いながら思った事羅列しただけなんだけど。
、、、あれ?そうすると。
「四人から誰か一人なんて選べない。全員オレの嫁。四人の為に今日も稼がねば!」
お、おう。キンさん読み終わってから眉間を揉まないで。朗読お疲れちゃん。違うよ?フィクションだよ?
「大金稼げなくとも、四人と気持ちが通じ合って協力して生活できて本人達が納得するなら問題ないんじゃない?」
「変態固執犯防止法に抵触する恐れが、、、」
キンさんの発言にメグミさんの発言が被る。お、おう。助かった?のか?ストーカー防止法とかあるんやね。
「良かったわね。ユウスケさん、いえユー氏。この国は一夫多妻OKよ。私は別に残念でもないけど。遺伝子鑑定が未発達の国だから多夫多妻は認められないのが現状よ。もし多夫多妻が認められていれば奥さんの不満を受け止めてくれる第二の夫を用意すれば話は簡単だったろうけど。顔とか。」
一言多いわ!、、、一夫多妻かあ。喜んで良いのそれ。男が少ない世界なのかわからんが経済力って前提がくる話で。奥さんに序列とかありそう。んであぶれる男増えそう。キンさんとか大変だろうな。
「キン。お子さんは元気かい?」




