118.オレのお仕事
食事中に絶叫。
やっちまったお。
住む町のいっちゃん偉い人の前で。
「ハッハッハ。まさか間違えてあんな環境で頑張るとは。いやはや。大した男だ。よく不満が爆発しなかったな。」
「いえ、その。結局。耐えきれずに銭湯通いの食堂通いです。雨風凌げて寝れりゃあ良いかなと。」
「面白い。目の前にもう少しマシな生活があると説明されていたはずなのに聞き逃して間違えて、キンの話を聞いてさらに拗らせるか。良い話が聞けた。」
めっちゃご機嫌だ。久々に面白い話が聞けたと喜んでいる。というか周りも領主様が声を上げて笑っている姿をみてニコニコしている。
あれ、これこのままオレが色々話した方が良いんかな。怖いんですけど!
笑いを取るためにギリギリライン責めるとかしたくないんですけど!
「ふむ、そうだなあ。ならこうしようか。普通の生活保護は、光熱費、居住費、税金が差し引かれて日給5000円の予定となる。光熱費居住費は2000円程度3000円が積み立てとなり月に7万5千円の貯蓄が形成される仕組みだ。わかるかい?」
それ位は計算できるさ。月が30日で休みが月に5日で25日働くと。
「仕組み的に自主退所したければ3月の入所以降に就職が条件だ。その場合20万の支度金が、半年なら45万、一年で強制退所100万の祝い金兼支度金が貯金として支給される。」
ん?計算合わんぞ?ああ、支度金と祝い金の違いか。あれ?税率33%て高いんか?でも生活的には完全補償だし今んとこやりたい事無いし。社会主義的?職業選択の自由?働けるのに働かないことの方が問題だろ?
やる気がない問題ってのは他人への迷惑だしな。しかもここでは他人じゃなくて仲間への迷惑だ。そんなの仲間がやることじゃねえ。
「だいぶ理解しているようで何よりだ。でだ、利用実績が無い為ゴミ扱いだったんだがそれも使い方次第だという彼女の考えには俺も賛同しているわけだ。」
せやな。何事も使い方次第だ。現状ここ第一都市にしかないらしい。他の都市部でもって。あれ?
「ここって領都じゃないんですか?」
妙な沈黙が流れる。
「領都は公務員やロイ様の家臣が主な居住者なんだが。その周りを他の貴族が買い占めてどんどんこの第一都市に広まってきた。そしてこの第一都市も貴族や商人、領民達に大人気で拡大してな。正直どこまでが領都でどこからが第一都市なのか判り辛い。」
キンさんが成り立ちを教えてくれるがコレってキンさんも解ってないんじゃないか?
「俺は面倒になってなんとなくで言ってしまっている。フェイは?」
領主様は、うん仕方ないよね。興味なさそうだし。ってか面倒て。
「ヴィル殿とサバート殿が確か馬車乗り換え所と、衛兵と警備兵の合同詰め所が有る場所が境目と言ってたでござる。」
すげえな。繋がって一つの都市となってるやん。ってキンさんそれ知らないとアカン立場とちゃうん。細かい範囲は判らんがある程度解っていれば領内の巡回上衛兵には問題ないと。え?そういう細かいのは警備兵の領分。仕事が違うって。それで良いんかい!
あ、良いんだ。領主様がへえって顔してる。あれ?じゃあオレはなんでキンさんが案内してくれてたん?
特殊事例の間者疑いと変な奴ってので警備兵の管轄外という事、フェイ様の指示と友達だからって。
友達ってところで声小さくすんなよ。そこは堂々といこうぜ!
「話が変わったな。それでだ。利用報告書を君に依頼したい。体験記とでも言うのだろうか。利点と欠点。もちろん報酬も出そう。期間は。そうだなあ。どの位やれそうだい?」
領主様寛大だお。話の腰バッキリ折ったのに平然と続けてくれる。ってか。
「えっと。やる事は決定なんすね。良いですけど。3食付で休みが6日に一度有給は無しだから。税金の心配が無いけど消耗品は有るとして。週に2万5千円が手元で自由に使えるお金。家賃光熱費通信費とかは無い。なら使うとしたら衣類とかか。共同で風呂トイレ付。たまに外食やら銭湯を楽しんだとして。ああ、移動費って必要になります?」
「独り言で凄まじい計算をするな。しかも移動費まで気付くか。メグたんどうなの?」
メグたんwが考えている。普通必要経費やろ。公共交通機関やろ。ええやろ。
「牛車限定無料。馬車は自費。乗り物移動時間上限を1時間以内までに設定、、、いえ30分を上限にしましょう。乗合所までの距離も15分位だからいけるでしょう。ただし必要と認められた場合馬車の使用も無料。例えば牛車の移動時間一時間超えの場合に限りとか。」
「その中間は?朝早起きとか辛過ぎる。」
甘いお。絶対あやふやにしたらいかんとこでしょ。
「この無職が。、、、それは公務員判断でどうよ。利用実績が無いからデータが無いの。遅刻になるかどうかも分からないし。頑張っている人が早起きして牛車で通うのに無職が馬車なんておかしいでしょ。」
一理ある。確かにその通りだ。この姉ちゃん。頭の回転早いな。だからオレが実際に利用して色々な気付きを報告すると。さじ加減を間違えないようにか。
施設を悪用されたくも無いし、色んな領民を見捨てたくもないってやつか。なら移動費はなんか有ったら自腹切って後で応相談にしてもらえば良い。
でも3月、半年、上限1年なら、、、
「1年いきます。利点欠点を上限いっぱい使って確認しましょう。生活だけが利点欠点じゃない。資産がどうなるのか。領にとって税収は良い方に傾くのか。そして利用者の精神状態の変化もみたいですよね。精神管理は施設長とかでしょうか?」
「驚いた。君は、ユウスケは本当はかなり有能なのだな。」
ヤバい。名前で呼ばれた上に有能とか初めて言われちゃったおw
「報告書はレポート形式って言っても分からないよな、体験記形式でしょうか?」
「そうねえ。その日の仕事も知りたいし。生活内容の感想も欲しい。利点欠点は気付いた時よりは書き溜めて纏めての報告の方が良いから月に一度。休日の実態も知りたいわね。」
、、、ワイ領主様と話しとるんやけど。メグたんw割り込んでくんな。
つうかブラックやん。よくよく考えたら超ブラックやん。仕事終わって報告書の作成サビ残。休日返上で報告書の作成とかキッツイで!待遇改善を要求したい!
けど、言ってる事わかるんだよなあ。
という事でやって来ました。生活保護施設。
、、、デカい。最大収容人数500人。3階建て。税金でコレ作ったん?アホちゃうの?
あ、あの人達が施設管理の職員さんやな。ワイ手荷物はリュックと一回使用済みの冒険者道具(狩猟道具)だけ。
あ、この人達義足や義手や。噂の公務員か。なるほど。
「ユウスケと言います。1年間よろしくお願いします。」
「施設管理所長のリウです。」
「副所長のケーナです。」
女性二人。こんなバカでかい施設を?二人管理とかやっぱメグミの姉ちゃん馬鹿じゃねえの。
しかも結構若いやん。茶髪で、赤毛とか。しかも結構可愛い。
あ、やべえ。思わず手を差し出して握手を求めちゃったけど。
普通に握手できた。
はあ?あ、そうか魔道具だった。クソ慣れねえ。
手、温かかったなあ。これはもう惚れられたんじゃないかな。うん
スキル:危機感知Lv1【君に危機感覚えるわw】
ですよねえ。言ってみただけだおw
異世界転移物語で異世界生活始めて生活保護が職業ってあるんか?




