116.で?何すれば?
そうだよ。お笑いこそが世界を救う!
人々を笑顔に出来るって素晴らしい職業じゃないか。
今度こそ幸せな世界を手に入れる!
「へえ。お笑い芸人になるからスポンサーになれって話かあ。」
「お笑いこそ世界を救う!」
「で?とりあえず即興で良いからネタ見せてみて?」
「え?やった事ないから無理です。時間ください。」
しばし流れる沈黙。メグミさんは笑顔のままだ。笑顔のままというか青筋たててねえか?
「私、もしお笑いを広めるなら後押しするわ。だって、これはジョークです冗談ですって言いながら処刑の可能性の高い社会風刺なのかの擦れ擦れを攻め続けるのが時代の主流よ?これほど尊敬出来る仕事なんて無いわ。日本のお笑い芸人だって有名大卒、そこに入れる進学校は当たり前。何なら後から賞をもぎ取って証明して見せた人。更には個人の性の沽券にかかわる部分をさらけ出してでも食い物にする強者もいたわね。計算や先を予測できる人しかなれない。かなり知能指数の高い職業よね。」
やべえ。なめてた。土下座?土下座しちゃう?日本人なら同情買えるんでね?
「キンさんから聞いたけど。貴方簡単に土下座という昔の獣人の謝罪方法の真似事するらしいわね?誤魔化しの見せかけだとメグミ殿から聞いている。くだらない時間稼ぎは見せないでおくれよ?」
ミネーヴァ様から釘刺されたお。
「じょ、冗談はさておき。」
「逃げるのね。」
メグミさんの視線が冷たいお。
「まあそうとも言いますが。実際わからないんですよね。世界が違うと」
「ちょっと待つでござる!」
突然割り込んでこないでよフェイ様。え?ここでする話じゃない?フェイ様が何かの合図を行ったのだろう。受付の人から番号を呼ばれる。
うは、すげえカッコいい。こういう事を何気無い仕草で出来るってのが、やっぱり本物の貴族なんだろうなあ。
ところ変わってメグミさん邸。
え?メグミさんとミネーヴァ様名義の館と。
うん、大豪邸。貰ったて、一人プラス彼氏の別荘としては無駄に広すぎると。雇用が生まれるから良いけど自分にはもったいなさ過ぎるて。そりゃそうだろうなあ。
立派な石造りの西洋風館だ。寮完備住み込みOKとか、ワイもここで働かせてもらえませんかねえ。
「あんた使用人の仕事なめてない?交代制とはいえ一日中この館の仕事をするのよ。まあ他にも別荘とかあるから転々とできなくもないけど。炊事に掃除、屋敷の備品管理から資材調達、人によっては帳簿や商品購入の」
「わかってますって。ただ、本当は本気半分なんすよね。」
彼女達にこれまでの自分の話をする。フェイ様、メグミさん、ミネーヴァ様、キンさんが真剣に俺の話を聞いてくれる。キンさんはただ単にこの場の面子に緊張していただけかもしれないが。
「で、空気を、自分の中に溜まっているであろう悪い気を良い物に入れ替えようとしたら空気どころか世界が入れ替わっちゃったおwテラワロスw今ここw」
「あんたも大変だったのね、、、なんて同情するわけないけど。この領に流れ着く人は、生きるに困った人が流れ着いて形成された領だから悲観話ならその辺にいくらでも転がってるわ。」
「そうなんす。だからさあ。悲観にくれるのも速攻その辺にポイして新たに生活を始めようって思ったんだおwキンさんが領民になったら自分の過去は真っ新だって言ってくれたからさ。」
ついてない人生だと思ったけどさ。難民になるほど困窮した事は無い。食べるものに困ったこともない。友人を失った。ボッチの自分にとっては確かに大事のかもしれない。でもそんな話や過去を持つ人なんていくらでもいる。
馬鹿らしい。悲劇の悲観に暮れて酔う余裕があるじゃないか。生きる術がないなんて生活まで陥った事もない。
「俺は過去の罪の話を言っただけなんだが。色々意味不明な単語が多くて理解できんし。でもまあ、友達のお前がこの領で楽しくやっていければ良いんじゃないかとは思っている。」
「あ、デレた。」
「お前は茶化す事しか出来んのか。」
そうなんだよなあ。これから生活は丸っと変わって楽しく生きていければいいなあなんて思ってるんだよね。何をもって楽しいのか、何をすると良いのかなんてわからないけれど。
「って訳で。とりあえず仲間?領民の為に何が出来るかわからんからココの事を詳しく教えてもらいたかったんだおw」
「いい加減某掲示板よろしくネットスラング乱発しようとするのは止めてほしいわね。嫌よあのネットスラング浸食率高いんだから。しかもここの領民適応早いし面白い事好きだからあっという間に感染するわ。異世界行ったら用語乱発世界ってカオスじゃないの。」
「エロい人の家来ると緊張するんだおwこの位許してほしいおw壊れないとやってられないおw草生えるwwwm9(^Д^)プギャー」
「ぬっころす!」
「やった感染した!」
「してない!」
いやあ。久々に同郷の人と話すると落ち着くなあ。他の三人はあっけにとられてるけど。しょうがないじゃん。この部屋も某ホテルよろしく立派なんだもん。
「内政チート乙」
「あんた言うに事欠いてチート扱い?チートってのはねチートコードっていって、本来あるべき完成されたプログラムを書き替えて詐称してゲーム内で無双する卑怯者がやる行為の事よ!こちとら積み重ねの研究や実験から始めてんだ。主にロイ様がだけど。理論推論を立てられる発想力。実行する力(金と権力)。それがなければ無理に決まってるじゃない。現実なめんな!」
確かに。気付き、検証、実験の繰り返し。資金力。行動力。賛同する協力者。それがなければ無理ゲーだな。精米ってどうやんの?製粉ってどうやんの?味噌や醤油の酵母はどうやって手に入れるのって。理論は浮かんでも一発で何とかなる訳が無い。
地道に重ねる実験。それを続けられるだけの資金力。魔法でどうにかなる?なんの本当に?例えば風魔法で精米とか。可能か?出来そうだけど。いや出来るんじゃね?
試してみてえ。っとそれどころじゃないな。水道橋。下水道完備。穴掘り事業。道路整備事業。治水事業。
「ガラ紡とかは無いん?水力いける。風力もいけるでしょ。なら火力は?蒸気機関とか出来んの?ほら、内政チートおなじみ蒸気機関。銭湯いけるって事は蒸気機関もあるんでしょ?」
「無いわよ。そもそも原理は知ってるわよ。じゃあ蒸気機関ってどういう仕組みなの?ピストン構造?そこからどうやって動力を得ているの?私は知らないわ。」
ガラ紡なら構造が単純だった気がしたからいけるかと思ったのに。しかし蒸気機関ねえ。タービン回して蒸気を得て電気を得る。
ん?ちょっとまて。電、磁、力。あれ違うんか?クソ、もっとまじめに勉強しとけばよかった。
そうだモーターの逆回転で電気を得られるんだ。
「磁石ある?銅線ある?」
「あるわよ。何?あなたこの世界のワットとかエジソンやってみたいの?」
電気王にオレはなる!!!




