104.再び
自分はいったい何の為に生きているんだろう。
何の為に働くんだろう。
奨学金で借金してまで大学に入ったは良いもののやりたい事は結局見つからない。手当たり次第に受けた企業は殆どお祈りメールだった。
受かった企業はどこもネット上で評判が良くない。でも働かないと奨学金が返せない。諦めて入った企業は評判ほどキツくはなかった。でも手取り15万ちょっとって、税金やら控除で減るのは知ってる。
家賃6万、そこに光熱費、スマホ代、保険、奨学金返済、食費。服だって消耗品だ。生活雑貨だって消耗品だ。飲みだって断っても限りが有る。
ハッキリ言って生活がキツキツだ。年功序列って何よ。なんでこんなギリギリの生活で飲みに誘われたら付き合わにゃならんのよ。頭下げなきゃあかんのよ。
2年で辞めた。今の時代は楽して稼ぐIT関連が良いらしい。ネット広告でやってた。
IT企業に務めた。うん、金は良い。が、基本給がクソ!基本残業代って何よ!何がインセンティブだよ!物量に対して単価安すぎねえか?
ああ、金は溜まったさ。残業に次ぐ残業。使う暇なんかねえよ!なんだよ。あんな仕事お断りだよ。楽しくねえよ。
辞表を提出した。受理されない。今辞められると困る?知るかよ!
頭にきたので内容証明で送った。
今の時代は派遣で工場よ。楽勝やろ。毎日同じことやりゃあ良いんだから。そう思っていた時期もありました。うん、某有名企業の下請け工場勤務。体力が続けば良い。金も良い。ただ、同じ事の繰り返し。ずっと工場。
頭が狂いそうだった。面白くない。つまらない生活。
、、、半年で辞めた。
土方始めました。分かんないことだらけでめっちゃ怒鳴られた。心折れそう。体力もキツイ。周りおっさんだらけ。でも、なんだろう。休憩中とかやさしい。飯奢ってくれる。年下のなんか偉い人が飲みにも連れてってくれた。
学校は違うけど同じ大卒だった。年下なのに偉いなあ、なんて思っていたけど。うん、ブラック。年上だらけ、指示通りに動かない。下から上からの圧力。サービス残業当たり前。
彼は何回も奢ってくれた。その度に会社や仕事の愚痴を言う。最後らへんは涙を流し、そしてブラックへの勧誘。
勘弁願えませんかね。
でも彼は良いやつだった。友達のいない俺を飲みや遊びに誘ってくれた。気付けば3年たっていた。
そんな時だった。彼の訃報を聞いたのは。ちょっとここ数ヶ月連絡ないなと思ったら亡くなっていた。鬱病を発症し、自殺したらしい。
相談してくれなかった悲しさ。会いに行かなかった自分への悔しさ。普通の作業員で良いじゃん。なんてお気楽な自分が情けなかった。
でも、自分が悪かったのだろうか。誘いに乗り仕事を助け、自分が頻繁に連絡して相談にのる。そんな自分想像できない。
自分は悪くない。悪いのは社会。悪いのは会社。悪いのは世界。
こんな世界。無くなれば良いのに。
引きづられるらしい。仕事を辞めた。自分も鬱病になりかけているのかもしれない。もう良い。どうでもいい。
アウトドアでパワースポットを巡るのが良いらしい。ネット情報だ。登山をして自然の空気を取り入れ体内で循環する。悪い気と入れ替わるそうだ。
最悪だった。道に迷った。入山料って何よ。山小屋どこよ。登山道整備しろよ。愚痴りながらもとりあえず山頂に向かう。霧が出てくる。ほんとついていない。泣きそう。
とりあえず頂上だ。うん。見渡す限り山。濃い霧が山を覆っていて下山への道が見つからない。今度はとりあえず下を目指す。
軽装備過ぎた。現在夜?もうどの位こうしてるかわからない。ってか寒い。腹も減った。本当についてない。
あるうひい、もりいのなかあ、ごぶりんに、であああああああああああ!!!
ああ、意味がわからないかもしれない。何も考えられず、このまま死ぬのかものなあ。どうでもいいけど。などと迷うこと2日目。
うん、ガサゴソ何か木が揺れてんなあと思って熊とか警戒してたんだけど。
ファンタジー生物代表格のゴブリンそっくりさん登場。見つめ合うこと数秒。手に持った棒切振りかざしながら襲ってきた。
ゴブリン、間違いなくゴブリン。情けなくも現在逃走中。
戦えって?
無理。素手でどうやって戦えっての。その辺に棒切とか有ればヤッても良いけど。怖えんだよ。なんかこう。心臓バクバクいってるし。逃げてるから当然だけどな。
森に光が差し込んでいる。明るい方へ明るい方へと逃げ続ける。
異世界転移ってか?有名な異世界転移ってか?
開けたらそこに人!開けたらそこに人!森を抜けたらそこに町!
そこを抜けたらそこに、、、平原、、、
オワター。




