101.大魔法とは
海を割り、地を割り、天を割る。
それが大魔法。
やあ、引き続きロイ様の大魔法実験だ。
おい、オーディエンスがやけに静かなんだが。
単に興味ないだけなんじゃないか?
え?興味ないわけじゃない?さっきの気化魔法は大魔法に分類するかしないかを協議中だと。雲に穴を開けることが可能な魔法が大魔法であると言う派とまだ威力が足りない派で分かれていると。
魔法って大中小で良いんじゃないの?おっさん。
そうだなあ。世界観によるかもしれないが小魔法で小さい炎の球を敵に当ててダメージ。中魔法で複数体にそれなりのダメージ。大魔法で敵全体に大ダメージ。みたいなイメージかな。地形変える等の天変地異を極大魔法などと分類する場合がある。
敵複数とか敵全体とか漠然としすぎ。大ダメージとかなんなん?威力ってどういう基準なんだよ。火の小魔法で目を焼いたら大ダメージではないん?水の小魔法で鼻とか口を水でふさいで窒息させたら大ダメージにはならんの?風で首の動脈切るのは?土操作で転ばせて骨折なり捻挫させるのは?
お前はえげつなさがすぎてやしないか?ひねくれ過ぎだわ。だが、オーディエンスには悪いがやはり俺はロイ自身でもあるからな。ロイに賛成だ。前にも言ったがこの世界では個人保有の魔力量なんかたかが知れてる。基本は魔力操作。そして練度が魔法影響に左右していると思われる。
そうそう。大気中や地脈?みたいなやつに自分の魔力を働きかけて魔力操作で行使するってイメージがこの世界での魔法ではないかってのが俺達の予測なんだ。だから太陽光?ってヤツでそいつを魔力に変換?操作出来ないかってのが今回の課題だったんだ。
古代文献で天変地異を起こすことが大魔法って記録されているからな。確かに雨雲に穴を開ける魔法が天変地異じゃないかって言われたら答え辛いが。
上空を見れば雲に穴が開いて日が差し込んでいる状態。差し込んでいる先は浅瀬。船で行かないとダメなんかな?面倒。
日の差し込み先の計算なんぞする余裕あるか!ついでに指向性持たせれるかの実験をし忘れた。
おっさんどうしようか。さっきの実験で指向性持たせる事が出来るかの実験忘れた。もういっちょいっとく?
雲を穴だらけにしたいのか?構わんが。太陽光を変換イメージでこの間のエネルギー波で良くないか?圧縮弾は威力が強すぎる可能性有るからな。虫眼鏡方式で連続吸収圧縮放出変換で取りあえず試さないか?この間のエネルギー波は指向性持たせられたわけだしな。
なるほど。なら当然船であの場所まで行かなきゃいけない、、、マジで面倒。
、、、浅瀬を見る。日が差し込んで幻想的ですねってそうじゃねえ。
木を見る。
身体強化でぶった切って杭打ち込んでそこに立てば良くないか?
もう一度木を見る。
どうなっているのだろうか。意味不明だ。執事やメイドがワラワラと集まってきて自分に一礼する。
一閃で木をナイフで切り倒すメイド。倒れ掛かる木に執事やメイドが流れ作業のよう枝打ちをし、樹皮をはぎ取り、倒れるころには一本の巨大な木杭へと作り上げる。
爺の執事長が木杭を片手で持ち上げると日の当たっている浅瀬に投げつける。斜めに刺さった木杭に跳躍したメイド姿の婆ちゃんが蹴りを入れ垂直にしてさらに踵落としを叩き込み反動で戻ってくる。
浅瀬にそそり立つ木杭の完成だ。
「身体強化訓練の賜物ですな。トレント義手義足で常に訓練している彼らなら余裕でしょう。エマ様は、、、その。アレですから。」
フェイよ。訓練の賜物とか言われても分からんのだが。それに婆ちゃんの事を濁すのもどうかと思うぞ。言い方を変えよう。婆ちゃんが腰だめに拳を構えてお前を狙っている。
「いえ、アレとは。バーナ家筆頭という意味でありまして。声を大にして言う事ではないかと思ったでござる!」
フェイそれ間違い。バーナ家筆頭は俺。バーナ家俺一人のぼっちだし。婆ちゃんはナート家筆頭俺同様ぼっち家。言葉濁すなら家族家筆頭が正解。、、、婆ちゃんの戦闘態勢解けたから別にどうでも良いか。
身体強化で跳躍ひとっとびで杭の上に着地する。結構広めだな。さて、ここからはお遊び抜きだ。
嘘つけ、お遊びガチ盛りじゃねえか。
おっさんのツッコミが容赦無い件。
検証についてだが。指向性は魔力制御の練度。可能な範囲の制御でするとして。太陽光の集め方の問題。集める範囲。出力変換。制御。これも同時に制御しなければならん問題になる。
おっさん。この世界でも太陽や月がそのままの名前で変換されている件について、
却下。宗教言語名称問題は面倒だ。
お、おう。、、、切り捨てられた。
大気中ではなく空間に満ちる光の中から魔力を吸収変換。光合成みたいなもんだ。そいつを行い続けて雲に向かって撃ち放つ。エネルギー波と言ったが結局は熱運動だから熱線だよな。
光線ねえ。この明るさの原理である光の粒子が暴れまわっているのを無理やりとっ捕まえて魔力変換。連続圧縮放出にてエネルギー波として放出すると。
問題は光速を吸収するという観点だな。光の速さってのはだな。
問題ないっしょ。魔力として光の範囲を認識して吸収。掃除みたいに吸い取れば良いわけだろ?早さよりも認識出来るかが問題なんだけど。やってみりゃわかるっしょ。
目を瞑って周囲に感覚を研ぎ澄ます。
身体に差し込む日の暖かさ。日ではないな。陽だ。そいつに意識を集中し自分の体内へと無理やり引きずり込む。ただ引き込むのではない。引き込むと同時に魔力として認識し使い勝手の良いエネルギーとして変換するのだ。
太陽光すげえ。物凄い勢いで魔力が溜まる。制御を続けながら指向性を持たせ。
いくぜ!
カッと目を見開き対象を、対象を。
、、、おっさん。
何も見えんな。そりゃそうか。周囲の光を集めりゃ光はなくなる。適当に上空向けてぶっ放せ。
たぶん上空は上だと思う。確かに俺は杭の上に立っていた。姿勢も変えていないはず。だから姿勢に従いそのまま撃てば良い。良いはずなんだが。おっさん大丈夫だよね。
すごいな、視界が闇に染まっただけでどちらが上なのか下なのかわからん。盲目者は温度や香り空気の流れに敏感だというが。温度も何もこの状況では全てが魔力変換されて意味が解らん。太陽光だけじゃなかったのかよ。
無茶言うなよ。太陽光って簡単に言うけどさ。全ての速さの上位だぜ?捕まえるんなら全て捕まえる、吸収するイメージじゃないと無理だって。
もしかして酸素もか?
そいつは大丈夫だ。なんとなくいつものヤツを感覚で捕まえたら呼吸出来てるから。でも、正直自分の中でそろそろエネルギーが弾けそう。
指向性は?
イケると思う。
方向やらはもう仕方がない。とにかく上空だ。幸い杭に足はついている。上に向けて、、、いや自分を信じよう。前方上空へ向けてぶっ放せ!
任せろおっさん!魔貫光〇法!!!
だからそれアカンやつ~~~~!!!!
せやった。ソーラレイってネーミングなら翻訳の問題だけで済んだ筈やった。
出力終了。急速に視界に光が戻る。
、、、モ〇ゼの十戒天空版。
これは、立証成功って事で良いんやろか?おっさん。
まさしく天を割くだな。魔力源の立証には役にたったとは思う。問題は威力の確認が曖昧な点、距離の点だな。
威力はわからん。指向持たせた事によって向こう側に行くように制動出来ただけと信じたいけど。やっぱりわからん。距離は有視界範囲が限界と今のところ思う。もしかしたらエネルギー弾を放物線描くように投げれればあるいは。
だな。弾道ミサイルみたいに飛ばせばあるいはってところだな。
天上より差し込む日の光。
二つに分かれた雨雲。
この日バーナの天空に大魔法が再現された?




