表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

 社員旅行、とかけまして恋人を同僚に取られた自分の心情、と解く。

 その心は、どちらもイキタクナイ・・・。


 最悪すぎる。最悪すぎてくだらない謎かけまで考えてしまった。

 何が最悪かというと、同僚と彼女・・・だった女と同じ会社な事。現在進行中の行きたくなかった社員旅行でイチャイチャを見せつけられ、挙句の果てに社員旅行の場所が二度と戻るつもりのなかった実家の近くな事。

 なんなのコレは。精神的にも視覚的にもツライ。耳に入ってくる声にイライラし、気分も落ち込む。

 あー死にたい。こんなはずじゃなかった。実家の稼業を継ぐのが嫌で喧嘩別れのように無理やり都会の大学行って良い会社に入って彼女も出来て上手くいっていたと思ったのに。

 親にも彼女にも言われたな、お前は自分の事しか考えていない。もっと人の話を聞いて思いやりを持て。


 「滝沢君、あたしらの番だよ」

 「あ、はい」


 先輩の声で我に返る。現在社員旅行の真っただ中の俺はかの有名な戦国武将たちが取り合ったとされる寺院に来ていた。

 正直、子供の頃から何度も来ていたから新鮮味は全くない。

 

 「胎内巡りだって、これ何なの?滝沢君こっちの人らしいじゃん、教えて。」


 今はそんな気分じゃなくて思わずそこの説明書き読めや、と心の中で毒を吐きつつ仕方ないと口を開く。

 

 「この洞窟を進みます。中は薄暗いですけどじきに慣れます、多分。で、奥に扉があるんですけどそこがちょうどご本尊の真下になってて扉の錠前に触れて出てくると母親の胎内からまた生まれ出てくる、生まれ変わるという意味になるみたいですよ」


 「へぇ、そうなんだ。あ、中って薄暗いんでしょ?どうやって進むの?」

 「大丈夫ですよ。そんなに広くないし、壁沿いに数珠があってそれ掴みながら進めば問題ないです」

 「そっかそっか、んーでもちょっと怖いから目が慣れるまで服掴んでてもいい?」

 

 え!?マジかこの人、もしかして俺が彼女と別れたことをどこかから聞いて早速俺にアピールを・・・、と思ったけどこの人彼氏いるじゃん。俺は人の恋人取るとか絶対したくない、と思ったら浮き立った気持ちがまたどん底に沈んだ。

 ダメダメ。男ってのはちょっと異性に優しくされたり仲良くされると勘違いしてしまう愚かな生き物なのだ。思い上がっちゃ駄目よ、俺。

 

 仕方ないですね、慣れたら離してくださいよー、と愛想笑いを浮かべて中に入る。


 「わ、くらーい、それにちょっと寒いねぇ」

 俺には涼しいくらいだったが否定しても仕方ないので、そうですねーと返した。

 ここなら同僚と元カノの声が聞こえなくて良いと思ったがそう思ってしまって逆に思い出してしまい気分が沈む。

 薄闇のせいもあって最初は「滝沢君てさ、時々言葉訛るよね」と、突然言われて、訛ってます?方言言喋ってる気はないんですけど、なんて他愛ない会話をしていたが先輩は歩くのに集中し始めたのか次第に喋らなくなり沈黙の中、慎重に進む。

 こうなると頭は退屈を埋めるために必要のないことを考えてしまう。

 あの時、親と彼女が言ったこと。

 あの時、もっと相手のことを考えていれば今こんなことになっていなかったんじゃないか、そうすれば逆にこの場で楽しそうに旅行できていたのは俺だったんじゃないか。

 悶々と考えていたら最奥まで来ていた。

 先輩はまだ俺の服を掴んでいる。


 「あーこれかぁ、触った、触ったよ。お祈りもしとこう。」


 先輩が俺を掴んでいた服から手を放す。まだ悶々としながら俺も扉の錠前に触れようとする。

 もっと・・・。

 もっと人の話を聞け、思いやれか・・・。

 あぁ、もう悔やんでも仕方ない。やり直すことなんてできないし、出来たなら今度は親の言うことを守って、彼女のことをもっと想ってやって・・・。

 思考が定まらない霧散した意識の中、錠前に触れた。

 瞬間、目の前で光が瞬いて俺はあまりの眩しさに目を瞑った。

 

 

 何だ?一体何が起こった?

 ゆっくり目を開けると、視界の先に広がる闇。

 薄闇どころではない。数十センチ先も見えない状態、これでは目を開けているのか閉じているのかすら分からず、自分の目に何らかの異常が発生して突然視力を失ったのかと混乱し戸惑い焦った。

 そうだ、先輩は?近くにいるはず!


 「先輩?」


 恐る恐る声をかける、が返事がないどころか気配すら感じない。

 聞こえるのは自分の上ずった声と衣擦れの音だけ。


 「先輩?先輩!?ちょ、ちょっと冗談やめてくださいよ、どこです?先に戻っちゃったんですか?先輩!?」


 周囲から反応は帰ってこない。

 本当に先に戻ってしまったのか、と考えて俺も戻ろう決心する。

 自分が来た方向であろう方向に体の向きを変え足を擦るように進む。

 クソ!ふざけんな!なんだよ!最初からからかってたのか!?

 壁、壁に手をつけて進もうとするも壁に触れる感覚がない。おかしい距離的に何かに触れてもおかしくないし、地面の感じも土の道だったはずが摩擦もなければ滑りもしない妙な感触だ。水の上を歩いているかのような・・・。

 それに、なんだか体が重くなってきたような、疲れたのかうまく身体が動かせなくなってきた。

 足もふらついている。ダメだ、手を地面に突いて四つん這いで進もう。

 あぁ、クソ。これじゃまるで赤ん坊のハイハイだ。

 息が苦しい、体がうまく動かない。

 耳が、心臓の鼓動を拾う。自分の心臓の鼓動だと思ったが自分の鼓動だけではない。周りから鼓動が響いてくる。

 おかしいな、何だろう。焦っているのにこの鼓動を聞いてるとなんだか落ち着いてくるし、眠くなってきた。

 あぁ、先に光が見える。

 良かった、俺の目ちゃんと見えてる。

 もう少しだ。あと少しであの光に届く。

 もう・・・すこ・・・し・・・。

 光の場所まで着いたと思われる頃にはもうすっかり体の自由が利かなくなり瞼も開いていることができなくなった。

 俺はその場で自分の身体を丸めるように横たわった、というか自然にそうなった気がした。この態勢が今は正しいのだと感じた。

 自分の鼓動と周囲からの鼓動を感じる。

 眠気が勝ったのか身体が疲れ切ったのか抱いていた混乱と焦りは完全に消え去っていた。

 


 


 


 


 

 

現実逃避で書き始めました。

読みにくいと思いますがご容赦を

文法とか知らんもん・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ