6. スキルの進化
横たわるゴブリンを見下ろしふぅっと息をつく。
圭祐はゴブリンを狩り続けるもレベルに変化はなく、しかしそんな日々に嫌気が差している訳でもない。
ゴブリンを倒した圭祐はスキルウインドウを開く
〔EXスキル〕
【スキルポイント】
【略奪の魔眼】Lv8
次のレベルに必要なポイント 640
〔Nスキル〕
【鑑定】Lvmax
スキル進化に必要なポイント 256
【分身】Lv9
次のレベルに必要なポイント 1024
【身体強化】Lv5
次のレベルに必要なポイント 64
【炎魔法】Lv5
次のレベルに必要なポイント 64
所持スキルポイント 残 256
分身を取得し毎日の鍛錬でTEC値が上昇した圭祐は、毎日50体以上のゴブリンを倒しており、それなりのスキルポイントを取得していた。
そんなある日、必要なスキルポイントの少ない鑑定のレベルをあげると、スキルのレベルが最大となった。
そして最大レベルとなったスキルは進化するらしい。
スキルの進化と聞くと早くしたくなる圭佑は、いつも以上にゴブリン狩りに熱を入れ、わずか3日で必要なポイントを獲得したのであった。
「さあ、どうなるかな〜っ!」
圭祐はわくわくしながらスキルウインドウを開き、鑑定を進化させる。
《Nスキル【鑑定】が Evoスキル【詳細鑑定】に進化しました。》
「お!詳細鑑定!今までより詳しく知れるようになったってことか?」
運良くそこにゴブリンが現れる。
(あいつに詳細鑑定試してみるか。【詳細鑑定】!)
〔ゴブリン Lv1〕rank G
HP 10/10 MP 0/0
ATK 6 DEF 5
AGI 7 MAG 0
所持スキル なし
スキルポイント 残2
弱点属性 火
緑の体を持つ小柄な亜人。知能はほとんどなく好戦的。ダンジョンでは最弱のモンスターのうちのひとつ。
と表示された。
(なるほど、ステータスと弱点が表示されるようになったか、これは大きいな…。火が弱点だったのか。ナタでも簡単に倒せるから気付けなかったな…。)
試しに【火魔法】を使用し、ゴブリンを攻撃する。
「【ファイアボール】」
【火魔法】のファイアボールを使用すると、ソフトボール程の大きさの火の玉がゴブリンを直撃すると、ゴブリンは吹き飛ばされ勢いよく燃えた。
「グギャッ」と鳴き、火を消そうと暴れるゴブリンだがすぐに息絶える。
「そうか…火か…」
そう呟き、青いゴブリンを思い浮かべる。
(あいつの弱点も火だとしたら、この情報は役立つ…。もういけるか…?見極めるためにも奴を見つけないと…。)
そう考え、再びダンジョンの探索を始める。
ちなみにこの【火魔法】というスキル、ファイアボールだけでなく他にも、
威力はファイアボールに劣るが、スピードの速い【ファイアアロー】や、剣に火を纏い攻撃する【ファイアソード】。広範囲を火の波が襲う【ファイアウェーブ】などいくつかの魔法がある。いずれの魔法もスキルを取得した時から使用でき、レベルアップでは威力が上がり、そして消費MPが減っている。
その後も何日か1階層の探索し、ゴブリン狩りを続けていると遂に奴を発見する。
他のゴブリンより一回り大きく、圭祐を2度殺した青いゴブリン。
視界に入った瞬間圭祐の緊張感は最大まで引き上げられる。
すぐに陰に隠れ鑑定を使用する。
(【詳細鑑定】)
〔ゴブリン Lv8〕rank E
HP 69/69 MP 10/10
ATK 43(+11) DEF 31
AGI 29 MAG 8
所持スキル 【剣術】
スキルポイント 残11
弱点属性 火
(やっぱり他のゴブリンと比べるとステータスが圧倒的だな…ただ、弱点はこいつも火だ!こいつを倒せないことには先へ進めない。……ビビるな……いける……前に出ろ……)
自身を鼓舞する圭祐。
その時青いゴブリンが一瞬こちらを見た。
そして圭祐を見て嘲笑うかの表情をした後、来た道を引き返そうとする。
(…いま、あいつ俺を見て嘲笑ったか…?!俺には興味がないってか?!
………上等だ、次は俺が…コロスっ!!!)
圭祐は負けず嫌いである。
過去に辞めた仕事もこの性格のせいで上手くいかなかったのかもしれない。
負けたまま、バカにされたままで終わる事が出来ない。ダンジョンの地下2階層への道を発見したにも関わらず先へと進まないこともこの性格が影響している。
さらにそんな彼が、ダンジョンの魔素を多量に取り込んだ。ダンジョンの魔素はダンジョン・シーカーを無意識下でより好戦的に、より熾烈に、より苛烈に変化させていく。
そんな彼が、例え勘違いだとしてもだ。見下された事を許せるはずがない。
仮にも2度も自分を殺した相手だ。怒りにより苛烈に、しかし冷静に、慎重に、そして緊張感を高めていく。
はぁ。とため息をつく。そして前へと力強く躍り出る。
「おい!」
その声で青いゴブリンは圭祐を振り返る。2度殺したはずの彼がなぜ生きているのか不思議に思う。しかしそれよりもだ。彼から発せられる濃密な殺気。過去に殺したはずの彼とは明らかに違う気配。このゴブリンは生まれて初めて危機感を覚える。
しかし生まれて初めてのこの感情をどう対処すべきかわからず圭祐と対峙する。もしこの時逃げ出していたら違う運命があったかもしれない。
本来ユニーク個体とは生まれながらにして種族における特別な存在である。仲間を率いて敵を襲い、さらに自身を強化しより高みへと昇華する。そうすることでいずれはゴブリンキングとなり、災害級のモンスターになるはずだった。
しかし圭祐により、ダンジョン内のゴブリンは大量に討伐された。
また、圭祐のほかダンジョン・シーカーがやってこない為思うように強くなれなかった。
圭祐と対峙するゴブリンはショートソードを構える。対する圭祐もナタともう片手にはサバイバルナイフを構える。
「さあ…待たせたな。…次は俺がお前を殺す番だっ!」
戦いの火蓋が切られた。
前話のスキルについて少し変更させていただいてます。